2008年 10月 26日 ( 1 )

今年の9月に開かれたヨーロッパ臨床腫瘍学会(ESMO)第33回大会で、以下のような話があったとのこと。
・進行した転移癌の患者での有症状VTEの発生率は9%である
 ⇔しかし無症状のVTEの発生率は50%を超える
・VTEは見つかりにくく、病院で死亡する患者の70%から80%はPEの診断を受けることはない
 ⇒ハイリスクグループをうまく抽出し、適切な血栓予防を行うべきだ


癌患者への血栓予防療法で予後が延長するという話は、東北大学の先生方が言われていたように記憶しています。

Development and validation of a predictive model for chemotherapy-associated thrombosis
Blood, 15 May 2008, Vol. 111, No. 10, pp. 4902-4907. (米国)

Background
・癌があるとvenous thromboembolism (VTE)のリスクは高まる。
・癌で入院している患者(特に手術を受ける患者)に対しては、予防を行うべきとされている。
・しかし、外来癌患者においては、どうすべきかよく分かっていない。現在用いられているrisk factorからは、これらの患者において、high-risk groupを分類できない。

Prupose
・外来で化学療法を行う癌患者において、ベースラインの臨床情報からhigh-risk groupを予測する予測式を作成する

Materials and Methods
・prospective study
・2701の外来癌患者を対象⇒VTE発症の独立因子を抽出(derivation cohort)
・上記の結果からrisk modelを作成し、1365例の独立した外来癌患者で検証(validation cohort)

Results
・derivation cohort
 5つのpredictive variablesが多変量modelから得られた
 ①site of cancer:2 points for very high-risk site, 1 point for high-risk site
 ②血小板≧35万:1 point
 ③Hb<10 g/dL、もしくはerythropoiesis-stimulating agentsを使用している:1 point
 ④白血球≧11000:1 point
 ⑤BMI≧35 kg/m2:1 point

 ⇒low-risk (score=0)、intermediate-risk (score=1-2)、high-risk (score > 3)
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・VTEの発生率(2.5ヶ月間で)
 derivation cohortで…low:0.8%, intermediate:1.8%, high:7.1%
 validation cohortで…low:0.3%, intermediate:2%, high:6.7%

Conclusion
・このモデルにより、短期間内の有症状VTE発症リスクを予測できる
・こういう患者は、血栓予防を行うべき

感想
いいですね、こういう研究。
肺癌はハイリスク。気をつけなければいけません。
元血液内科医として、「Blood」はなんとなく親近感のある雑誌です。
研修医1年目の時は、これと「NEJM」しか読んでなかった・・・

☆本日はH大先生の結婚式ということで、おめでとうございました!!
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