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肺の結節影 1

今月号のAJRに肺の結節影についてのReviewが出ていました。
これを期に、過去の自分のノートの内容も併せて、
肺野結節影の画像診断についてまとめてみます。
長くなるので、数回に分けて掲載します。

Pulmonary Nodules: Detection, Assessment, and CAD
AJR 2008; 191:1057 - 1069 (NY大学)
要旨+自分の学習ノートから

その1:肺結節影の定義~レントゲンとCTのテクニックまで

【pulmonary noduleの定義】
・円形の陰影で、境界がある程度明瞭であり、3cm以下
                     [Radiology 1996; 200:327–331]
 *サイズによる分類… 2-3mm大を粟粒状*    
               5mm~1cm以下を小結節影*     
               1cm~3cm以上を結節影     
               3cm以上を腫瘤影           
               (*このあたりは少しばらつきありそう)
【CTとレントゲン】
・CTの方が単純レントゲン写真より感度が高い
 石灰化のない結節影については、low-dose CTの方がレントゲンより3倍検出率が高い
 (Early Lung Cancer Action Project (ELCAP)[ Lancet 1999; 354:99–105])

【Chest Radiography】
・単純レントゲンで指摘された7mm以下の結節影の、77%に石灰化あり
 レントゲンで見つかる小結節は、石灰化肉芽腫の可能性が高い
                              [Chest 2000; 118:610–614]
・見逃しやすい部位
肺の結節影 1_c0177128_23434872.jpg

【dual-energyとtemporal-subtraction radiography】
・Dual-energy chest radiography:
 骨と軟部組織のenergy-dependent attenuationの差を利用し、
 組織選択的な画像を作る。
 →石灰化がよく見えるので、良悪の鑑別が良い
     [AJR 2003; 181:1519–1524, RadioGraphics 2006; 26:79–92]
  骨の重なりによるanatomic noiseも減るため、石灰化のない結節影の描出も改善
     [Eur Radiol 2003; 13: 2577–2582, Eur J Radiol 2007; 64:279–284]
・Temporal-subtraction technology(撮影時期の異なるレントゲン画像間で差分処理を
 行い、変化部分を強調させる方法)は、有用だろう。
  [Radiology 2006; 241:663–683, Radiology 2002; 223:806–811,
   AJR 2006; 187:1253–1259] 

【MDCT】
Technique
・IV contrastは常に必要ではない
 縦隔や肺門部近くに結節影があるときは有用。
 AVMとの鑑別には良い。
・ルーチンの再構成は、5-mm sections・nontargeted field of view。
 targeted field of view+thin slice(1-1.5 mm)は、詳細な評価に良い。
                  [J Comput Assist Tomogr 1995; 19:932–935]

【Detection on MDCT】
・見逃しやすい場合:中枢側、小さい、結節が薄い、下葉、他の異常所見の近くにあるなど。
・maximum intensity projection (MIP)、volume rendering、cine viewingなど
 による撮像画像の加工により、見逃しは少なくなる。
              
肺の結節影 1_c0177128_23581679.jpg

                     肺癌の見逃し例。

             ・・・・次回は結節影の性状・分布・経過など