【JW】重症患者の血糖コントロール
とうとうNICE-SUGAR studyの結果が出ました。
最初はNEJMのpodcastで聴きました。
Intensive versus conventional glucose control in critically ill patients.
N Engl J Med. 2009 Mar 26;360(13):1283-97.
Background
・重症患者における血糖コントロールの目標値は、これまではっきりしていなかった。
⇒多施設RCTによりこれを検討する。
Materials and Methods
・ICUに3日以上入院すると予測された患者6,104人
⇒ICU入室後24時間以内に無作為に2群に分類
強化血糖コントロール群:81~108mg/dLを目標に血糖管理
従来型血糖コントロール群:180mg/dL以下を目標に血糖管理
・90日以内の死亡をprimary endpointに設定
Results
・90日以内死亡率
強化血糖コントロール群:27.5% (829例)
従来型血糖コントロール群:24.9%(751例)
⇒OR 1.14; 95%CI 1.02~1.28, p=0.02
・ICU入室期間、入院期間、人工呼吸を要した期間、透析を要した期間については、いずれも有意差なし
・外科/内科治療患者のいずれにおいても同様の傾向あり。
・重篤な低血糖の発生率(血糖値40mg/dL以下);
強化血糖コントロール群:
従来型血糖コントロール群:
⇒ p<0.001
Conclusion
・ICUの重症患者では、より厳密な血糖管理よりも、180mg/dL以下を目標に血糖管理した方が良い。
これまで、American Diabetes AssociationとSurviving Sepsis Campaignは、重症患者に対する厳格な血糖コントロールを推奨していました(SSCG2008では150mg/dl以下に変更)。しかし、それは1つのtrial(術後ICU患者)にしか基づいていませんでした(van den Berghe G et al. N Engl J Med. 2001;345(19):1359-1367.)。他のstudyでは結果は様々であり、致死的な低血糖の報告もあったので、再検討が必要でした。
昨年のJAMA(JAMA. 2008;300(8):933-944.)ではメタアナリシスを行っており、厳格な血糖管理の利点はない、というような結果でした。そこで待たれていたのが、今回のNICE-SUGAR studyでした。
現実的な結果で、少し安心しました。
過去に厳格な血糖コントロールをしようとして、低血糖を経験したことがあるもので・・・