ヨード造影剤のアナフィラキシー予防法(と樹木希林)
ヨード造影剤によるアナフィラキシーの最後です。
ステロイドによる副作用予防の論文
Pretreatment with Corticosteroids to Prevent Adverse Reactions to Nonionic Contrast Media
Am J Roentogenol 1994: 162; 523-526
・対象と方法
1988年~1991年
3施設でOmnipaque 300投与が101例、Optiray 320投与が1054例
(いずれも非イオン性モノマー)
→予防投薬法を無作為に2群に分類
①methylprednisolone 32mgを造影剤投与の6~24時間前に投与し、2時間前にも再度投与
②プラセボを同時刻に投与
●両群の患者のcharacteristics
青枠に関してはあまり効果なさそうだが、その他は少し良さそう
イオン性では良さげ・・・非イオン性でも良さげだが・・・
その他のステロイドによる予防に関する報告
・ステロイド不要
[Clin Radiol 1993: 48; 225-226、Invest Radiol 1991;26:404–10.]
・イギリスでは、ステロイドを使用する/しないは半々
[Clin radiol 1994: 49; 791-795(アンケート)]
・使用する人は半分。使用する場合は、30mgのプレドニゾロンを、造影剤使用前に1~3回投与していた。ほとんどは11時間前に投与しており、少なくとも6時間前までには投与していた。
[Eur Raiol 2001: 11; 1720-1728 (アンケート)]
・使用すべき。
C1エステラーゼインヒビター活性増加、アラキドン酸の産生抑制のため。
造影剤使用12時間前に投与すべき。
[J Allergy Clin Immunol 1991;87:867–72.]
・H1/2ブロッカーについては不明だった・・・
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ヨード造影剤の代替法
・ガドリニウム
60ml程度使用する必要があり、大量になるため、特に腎機能に注意が必要。
・CO2造影(血管造影などに)
嘔気、腹痛、下肢の疼痛などの副作用あり
・MRIで代用
これでこのネタは終了。
我ながら途中で少し飽きてしまいました・・・
以下、本日たまたま読んだ記事。
「樹木希林、死意識して対面を決意 夫婦の戦いにピリオド」
「・・・死に向けて行う作業は、おわびですね。謝るのはお金がかからないから、ケチな私にピッタリなのよ。謝っちゃったら、すっきりするしね。がんはありがたい病気よ。周囲の相手が自分と真剣に向き合ってくれますから。ひょっとしたら、この人は来年はいないかもしれないと思ったら、その人との時間は大事でしょう。そういう意味で、がんは面白いんですよね。」
ちょっとジーンときました。
内面は知りえませんので、色々あったのだろうなぁ・・・と思うことしか出来ませんが。
「がん」のみならず、病気にこういう側面があることは患者さんから教えられます。
・・・もちろん、逆の側面も身をもって知っていますけれど・・・
現時点では、疾患の「受容の仕方」を一つの方向に強制する事は、医師には出来ないと思っています。
「人は生きてきたようにしか死ねない」と、研修医1年目のときの上司が言っていました。
苦手な上司で、よくぶつかっていましたが(今思えばこちらから一方的に・・・スミマセン)、その通りなのかもしれないと思うことが時々あります。
徒然でした。