マクロライドシリーズ②

昨日はサーバーメンテナンスのためお休みでした。
再開します。


~我が国での使用の歴史~
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  (小児科臨床 2002;55:207- 参照)

~作用機序~
・マクロライド系は、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール系、アミノグリコシド系と同様に、細菌の蛋白質合成を阻害する

*細胞のタンパク合成の流れと作用点
・蛋白質をコードする遺伝子から転写されたmRNA上に、その蛋白質を構成する20種類のアミノ酸の順番が刻印されている。
→各アミノ酸は、その運び屋となっているtRNAに結合(アミノアシルtRNA)
→アミノアシルtRNAは、リボソーム・mRNA複合体につくられた2ヵ所のtRNA結合部位のうち、指定された部位に結合する
→続いて、次の指定されたアミノ酸を運ぶアミノアシルtRNAが、別のtRNA結合部位に結合
→前のアミノアシルtRNAのアミノ酸が、今来たアミノアシルtRNA上のアミノ酸に結合する(これをペプチジル転移という)
→この状態のtRNAはペプチジルtRNAとなり、mRNAはリボソーム上をtRNA結合部位1個分だけ移動し、ペプチジルtRNAも自動的に1つ部位を移動する
→そしてまた次に指定されたアミノアシルtRNAが入り、ペプチジル転移が連続して最終的に蛋白質が合成される

・・・わかりにくいですね。リボソームの働きについては、教科書やWikipediaなどご参照ください

⇒マクロライド系は、細菌リボソーム50Sサブユニットの23SRNAに結合することで、このペプチジル転移を阻害する=蛋白合成阻害
・高濃度では殺菌的に作用するが、一般的には静菌的に作用。
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   日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)130,294~298(2007) 参照

~吸収・排泄~
・経口:腸管から吸収、肝臓で代謝され、胆汁排泄。腎障害時に使用できる。
・血中濃度に比べ、肺・肝・腎などの臓器移行性が高い。

~抗菌活性~
Sanford 2007より
+=通常臨床的に有効または感受性>60%
±=臨床試験なし,または感受性=30~60%
空欄=データなし
MSSA=Methicillin感受性S. aureus ; MRSA=Methicillin耐性S. aureus

【エリスロマイシン】
グラム陽性
  A,B,C,G群 Streptococcus ±
  S.pneumoniae +
  S.aureus(MSSA) ±
  S.aureus(市中感染型MRSA) ±
  S.epidermidis ±
  L.monocytogenes +
グラム陰性
  N.gonorrhoeae ±
  N.meningitidis +
  M.catarrhalis +
  H.influenzae ±
  Legionella属 +
  H.ducreyi +
その他
  Chlamydophila属 +
  M.pneumoniae +
  Rickettsia属 ±
嫌気性
  Actinomyces +
  Clostridium(difficile以外) ±
  Peptostreptococcus属 ±

【クラリスロマイシン】
グラム陽性
  A,B,C,G群 Streptococcus ±
  S.pneumoniae +
  S.aureus(MSSA) +
  S.aureus(市中感染型MRSA) ±
  L.monocytogenes +
グラム陰性
  N.gonorrhoeae ±
  M.catarrhalis +
  H.influenzae +
  Legionella属 +
その他
  Chlamydophila属 +
  M.pneumoniae +
  M.avium +
嫌気性
  Actinomyces +
  P.melaninogenica +
  Clostridium(difficile以外) +
  Peptostreptococcus属 ±

【アジスロマイシン】
グラム陽性
  A,B,C,G群 Streptococcus ±
  S.pneumoniae +
  S.aureus(MSSA) +
  S.aureus(市中感染型MRSA) ±
  L.monocytogenes +
グラム陰性
  N.gonorrhoeae ±
  N.meningitidis +
  M.catarrhalis +
  H.influenzae +
  Salmonella属 ±
  Shigella属 ±
  Legionella属 +
  H.ducreyi +
その他
  Chlamydophila属 +
  M.pneumoniae +
  M.avium +
嫌気性
  Actinomyces +
  P.melaninogenica +
  Clostridium(difficile以外) +
  Peptostreptococcus属 +

⇒アジスロマイシンが最もブロード

~感染症治療における使い方~
1.急性呼吸器感染症
・非定型肺炎が市中肺炎の30-40%を占めており、疑われた場合はマクロライド系
 もしくはテトラサイクリン系が第一選択。
・βラクタム系にアレルギーのある場合の代替薬。
 PRSPが疑われる場合には、マクロライドも耐性の可能性が高いため、適応になりにくい
・重症肺炎に、カルバペネムやセフェムの併用薬として用いる。

2.非結核性抗酸菌症
・MAC症。特にCAM。
・CAMを抗結核薬と併用することにより、治療成績が向上した。
処方例
・CAM 500mg経口1日2回(またはAZM 600mg経口24時間ごと)+EB(25mg/kg経口・2カ月その後15mg/kg経口)+RFP 600mg経口24時間ごと(またはRifabutin 300mg経口24時間ごと)
・重症例にはSMまたはAMK 15mg/kgを週3回・2~6カ月を追加しても,クロファジミン100~200mg経口24時間ごと(「tan」まで,その後50mg経口24時間ごとまたは100mg経口週3回)を加えてもよい.
・培養が陰性後1年は治療.
・代替治療:(CAM 500mg経口1日2回+EB 15~25mg/kg経口24時間ごと+Rifabutin 300mg経口24時間ごと)を24カ月まで(Curr Inf Dis Repts 2:193,2000;CID 32:1547,2001).AZM 600mg週3回も有効(CID 32:1547,2001).

3.H.pylori感染症
・胃炎・胃十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・胃癌との関連がある。
処方例
・経口治療12時間ごと・14日間:(オメプラゾールまたはラベプラゾ-ル20mg)+AMPC 1g+CAM 500mg.有効率80~95%,
・または(ラベプラゾール20mg+AMPC 1g)1日2回・5日,その後さらに(ラベプラゾール200mg+CAM 500mg+チニダゾール500mg)1日2回・5日
【第二選択薬】
経口治療14日間:ビスマス,Bismuth subsalicylate 2錠1日4回+TC 500mg1日4回+メトロニダゾール500mg1日3回+オメプラゾール20mg1日2回.有効率90~99%

4.咽頭炎
A群溶連菌、淋菌、クラミジアなど。            

5.非淋菌性または淋菌後尿道炎,子宮頸管炎     ・・・・・などなど。

*今回は感染症治療目的でのマクロライド使用は主眼ではないので、さらっと流します。


次回は「マクロライドの使用量と耐性について」や、「マクロライドの抗菌作用以外の作用について」です。デキる後輩が資料を送ってくれましたので、勉強中です。
「マクロライド少量長期投与は、日本人しかやっていないからダメだ」ともmedicinaには書いてありましたが、外人のstudyもたくさんありました。なぜ卑下するのかな・・・もう少し論文を読んでから判断します。
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