「心不全か肺炎か?」

臨床上しばしば問題になり、
呼吸器科と循環器科の仲がギクシャクする原因になっている
・・・という噂が。
そう言えば、あちこち転々としてきましたが、
呼吸器科と循環器科の関係が「とても良好」と言えたのは一施設だけでした。
どちらが良くてどちらが悪い、とか、
そういう事を言いたいのではありませんので悪しからず。

個人的には、急性冠症候群や弁膜症などの専門治療が必要でなければ、
呼吸器科で診ても良いのでは・・・と思っています。
呼吸管理については呼吸器科の方が得意だと思いますし。

EHFSⅡ study(Eur Heart J 2006)によると、急性心不全の誘引は
 急性冠症候群 30.2%;肺水腫の49%、心原性ショックの72%
 不整脈 32.4%
 弁膜症 26.8%
 感染症 17.6%
 治療コンプライアンス不良 22.2%

です。肺炎を誘引とする急性心不全は結構多い気がしていましたが、
全体で見るとやはりこの程度ですね。

私自身が循環器の先生方にお願いしたいことはただ一つです。
「EF正常だしBNPもしょぼいので、心不全はないです」とは言わないで欲しい

そもそも心不全の診断基準にはそんな事書いてないし、
EFが保たれているケースが40-50%と分かってきています。
また、初期診断で「心不全は無い」と言ってしまうと、
安定期/慢性期管理の依頼がスムーズに行きません・・・

もちろん呼吸器科医も心疾患について学ばなければならないです。
呼吸器疾患では心血管疾患の合併も多いですし。
慢性疾患患者さんのスクリーニング、血圧などのリスク因子管理について、
内科医として自分ももっと意識したいと思います。
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RAPID DISEASE PROGRESSION WITH DELAY IN TREATMENT OF NON–SMALL-CELL LUNG CANCER
Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys., Vol. 79, No. 2, pp. 466–472, 2011


Purpose
・Stage1-3BのNSCLCにおいて、診断から治療までの間に進行した症例の割合を検討する

Methods and Materials
・対象:40例のNSCLC
・治療前にCTと18-FDG PETを様々な間隔で2回施行
・「進行」の定義:新たなリンパ節腫大、新病変の出現、もしくはstageの変化

Results
・CT:1回目と2回目のMedian time intervalは13.4 weeks
・PET:1回目と2回目のMedian time intervalは9.0 weeks
・最初の検査において、
 腫瘍の最大サイズ(MTD)の中央値は3.5 cm (0.6-8.5 cm)
 SUVの中央値は13.0 (1.7-38.5)
・MTD中央値は、2回の検査の間に1.0 cm増大(中央値、35%増大)、meanでは1.6 cm増大(59%)

・19例(48%)は進行した;
 何らかの進行は、4週で13%/8週で31%/16週で46%
 ステージが上がった症例は、4週で3%/8週で13%/16週で21%
 遠隔転移は、4週で3%/8週で13%/16週で13%

・最初のT因子とN因子が進行に関連していた因子であり、病理・腫瘍のgrade・性別・maximum SUVは関連していなかった

・stage3の患者における3年生存率は、検査間で進行があった症例で18%なかった症例で67%だった(p = 0.05)

Conclusions
・NSCLCでは治療の遅れが疾患の進行に関連する可能性がある。
・診断・staging・治療の開始は早急に行うべきである。
・4-8週の遅れが生じた場合、restagingを行うべきである。


もう一つの読み方としては、検査の間に進行するような「急速進行型」の症例は予後不良で、そうでないような症例は比較的予後良好、という事でしょう。病理は関連しなかった、という事なので、「臨床的な悪性度」の方が重要であると考えられます。いずれにしろ、診断から治療までは早いに越した事は無いと思います。


-徒然-

以前担当していた患者さんのご家族(先日とはまた別の方)が面会に来てくださり、
医療の中で感じた事を書き綴った文章を下さいました。
「今後の医療でのご参考に」との事でした。
つらい事がたくさんあったと思うのですが、
ご家族の深い、どこか爽やかなお顔が印象的でした。
大変勉強になり、また感動しました。
世に色々な「振り返りカンファ」はありますが、これ以上の機会は無いと思います。
今後もこのような場を多く持てるような仕事を続けたい、
と思います。
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# by tobbyK | 2011-02-01 05:13 | malignancy
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昨日の深夜より淡路島に来ています。
第3回呼吸機能イメージング研究会での発表のためです。
埼玉からは遠かった・・・けれど、
やっと時間が取れたのでブログを更新しています。

大阪に住んでいた時、
淡路島には年に一度家族旅行に来ていたので、
馴染み深い土地です。
海が近いって本当に良いですね~

1月は重症新患が多く、ジェットコースターのような毎日でした。
色々あって一瞬心が折れそうな時もありましたが、
以前担当していた患者さんのご家族がたまたま会いに来て下さり、
その言葉に救われました。
ありがたいです。

2月もきっとあっという間でしょう。
3月はまた引越しです。

残りわずかの間、
埼玉県に思い残す事が無いように過ごしたいと思います。
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# by tobbyK | 2011-01-29 11:03 | 徒然
先日ちょっと悩ましい潜在性結核疑い症例に出くわしたので。

Negative and Positive Predictive Value of a Whole-Blood Interferon-g Release Assay for Developing Active Tuberculosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 88–95, 2011

ドイツより

Rationale
・潜在性肺結核(LTB)が活動性肺結核(ATB)へ移行するかどうかの予測について、IFN-γアッセイの有用性は不明。

Objectives
・結核患者の密接な接触者(close contact)において、4年間でATBへの移行予測の有用性についてQuantiFERON-TB Gold in-tube assay(QFT)とツ反(TST)を比較検討する。

Methods
・塗抹陽性結核患者のclose contactについてMay 2005~April 2008から前向きコホートを開始。
・QFTとTSTを施行。
・April 2010まで、ATB発症者を記録。

Measurements and Main Results
・対象となったケース:
  1,414 contacts (141 children)
  1,033は検討終了時までHamburgに居た
  954例でQFTとTSTの結果両方が得られた
・QFT:198例(20.8%)が陽性
 ⇔TST:604例(63.3%)が5mm以上、25.4%が10 mm以上
・QFTは暴露期間と相関した(P<0.0001)
 ⇔TSTは相関せず

・QFTもTSTも行い、かつ化学予防を行わなかった903例では、
 QFT陽性は147例(16.3%)
  ⇒ うち19例(12.9%)がATB発症(化学予防群では発症なし)
 TST 5mm以上は555例(60.1%)
  ⇒ うちATB発症は
     5mmカットオフでは17/552(3.1%)
     10mmカットオフでは10/207(4.8%)
 ⇒QFT陽性の方が有意に高い発症率     

・小児での方がより有用:
 小児のQFT陽性のATB発症率 28.6% (6 of 21)
  ⇔ 成人のQFT陽性のATB発症率 10.3% (13 of 126) (P=0.03)

・Multiple logistic regression analysisによる、ATB発症予測の独立因子;
 IFN-γ level, IU/ml  OR1.93, 95%CI 1.551–2.40 ,P<0.0001
 Age, yr  OR0.94, 95%CI 0.89–0.99 , P=0.02

・QFTのNPVは100%!!
 ⇔ TST>5mmではNPV 99.4%
    TST>10mmではNPV 98.8%

Conclusions
・TB接触者のATB発症予測については、TSTよりもQFTの方が信頼性が高い。 特に小児で。


BCG接種者と非接種者は大体半々くらいの対象で、多変量解析でもBCGの有無は関係ありませんでした。勉強になります。
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# by tobbyK | 2011-01-16 10:40 | 感染症
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とうとう埼玉でも雪が降りました。

今日は朝5時に家を出たのですが、その時はうっすら積もっていただけだったのに
ふと外を見ると結構降ってました。
センター試験関係者の皆さんは、大変な事と思います。

寒いな~と思って朝病棟に行くと、
患者さんのご家族から自分宛にお手紙が届いていました。
本当に心が温まりました。

また頑張れそうです。
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# by tobbyK | 2011-01-16 07:58 | 徒然