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改めまして、皆様お久しぶりです。

3月末に埼玉県から福岡県に移住し、
4月から新しい病院(古巣ですが)で仕事を始めました。
懐かしい顔(職員、患者さん、親戚など)にたくさん出会えたり、
情熱とポテンシャルをビシビシ感じる若い先生たちに出会えて、
幸せを感じております。

以前から考えていた「ちょっと長い時間を要する臨床・研究計画の実行」や、
子供の成長のこともあり、今後しばらくは大きな異動はしないつもりです。
そのため、「定住」をタイトルに入れました。
ただ、気分が変わるかもしれないので、「?」も入れておりますが・・・
気分一新のため、壁紙も変更しています(エアメールですが、福岡県)。

異動前は震災(埼玉も震度5強)による様々な小~中パニックを体感しました。
関東はまだまだ大変だろうな・・・という所での異動でしたので、
決まっていた事とは言え、ちょっと心残りというか、申し訳ない感じでした。
関係者の皆様、患者さん方、本当にお世話になりました。

諸事情により一人で1300kmのロングドライブで引越ししたのですが、
途中で山口県の下関市に立ち寄りました。
ここは自分の医師生活で何かが大きく変わった大切な土地です。
その時の天気が「快晴!」でして、最高に気持ち良い日差しが降り注いでいました。
空も海も綺麗で、「お帰り」と言ってくれているように感じました。
以前東京で九州出身のある著名な教授とお話させて頂いた時に、
「東京とは細胞外マトリックスが合わないだろ?」と言われたことがありました。
確かに九州に帰ってみると全身がリラックスしている感じがします。

故郷って大事ですね。

これからこのブログも方針を少し改めて、
何か面白い独自情報を発信できる場所にできれば、
と思っています。

またよろしくお願いいたします~
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by tobbyk | 2011-06-12 17:40 | 徒然
長らくご無沙汰いたしておりました。
ようやく再開のめどが立ちましたので、また時々日記代わりに書いていきたいと思います。

まず、残ってしまっていたこの話題から開始したいと思います。

アディポカインとは
  *小児科診療・2010年・2号 (59)223を主に参考にさせて頂きました。
・脂肪細胞から分泌されるホルモン、サイトカイン、ケモカイン、脂肪酸など、様々な液性生理活性物質を総括する概念。脂肪細胞のみに特異的に発現するという「狭義」のアディポカインに該当するものだけで50種類以上。
・その異常はメタボリックシンドロームの病態と深く関わる。
・アディポカインの量的・質的なバランスは糖脂質代謝制御に大きく関与。
・レプチンとアディポネクチンが主役。

○レプチン
1995年に発見された脂肪細胞由来のホルモン。
「脂肪細胞が脳と会話する!」と言われる。
 →末梢の栄養状態を視床下部の受容体に伝達し、食欲とエネルギー代謝の調節、
  下垂体ホルモンの調節や交感神経活動の制御など、多彩な役割。

特徴
・脂肪細胞が肥大化すると分泌量が増加=体脂肪量をアディポカインの中で最も鋭敏に反映する。
・女性に多い=同じBMIなら2倍。女性の方が脂肪量が多い、女性ホルモンによる分泌促進などが理由。
・肥満の場合は、視床下部レベルでレプチン抵抗性が生じる!
 →シグナル伝達経路が可逆的に障害されるらしい
・骨格筋における脂肪酸酸化作用亢進作用あり。代謝改善をもたらす。
・糖・脂質代謝活性化作用があり、今後糖尿病や肥満治療に応用が期待される。
・神経内分泌作用がもう一つの大事な作用。
 飢餓状態では分泌が減少し、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、性ホルモンが分泌抑制
 ⇔副腎皮質ホルモンは分泌増加
 →進化の過程でレプチンの重要な役割はこれであったと考えられる。
  つまり、飢餓状態では余計なエネルギー消費を抑え、成長を抑え、種の保存もストップする。
  そしてCRF-ACTH-コルチゾール系を活性化して生き残りを目指す。

・月経との関連
 バレリーナやマラソンランナーなどで見られる月経異常で、レプチン補充すると改善する。
 海外では視床下部性無月経に対する治療薬として応用が進められている。
 小児期は、体脂肪量の増加に伴うレプチン濃度の上昇が一定の閾値を超えると初経が発来する。
 レプチン濃度の上昇は妊娠・出産・育児に必要なエネルギー備蓄が担保された事を脳に伝達する役割。

○アディポネクチン
「全身の炎症の炎を鎮火し、脂肪細胞がコマンドする全身の代謝調節因子」
メタボリックシンドロームのキー分子。

特徴
・濃度は古典的ホルモンの1000倍と濃い!!
・血中アディポネクチン濃度は古典的ホルモンの1000倍以上の高濃度であり,内臓脂肪量と逆相関する。
・レプチンと対照的に、肥満に伴い血中濃度が減少。内臓脂肪量と逆相関。
 ⇒女性よりも男性において顕著。
・女性より男性で有意に低値=男性ホルモンはアディポネクチン分泌抑制。
・低アディポネクチン血症をもたらすアディポネクチン遺伝子多型が数箇所同定されている。
・作用
 骨格筋や肝臓においてインスリン感受性を増強
 ⇒骨格筋における脂肪酸β酸化の亢進や肝臓における糖新生の抑制による
 血管壁において接着分子群の誘導抑制・マクロファージ泡沫化の抑制→動脈硬化の進展を防御
 ⇒血管壁への直接作用が主体であり、TNF-αやPAI-1
  (plasminogen activator inhibitor-1)の作用に拮抗して動脈硬化巣の炎症鎮静化

・低アディポネクチン血症は、インスリン抵抗性や心血管イベントと相関
・期待される臨床効果:
 脂肪肝炎の線維化抑制効果
 特定のがん発生抑制効果や腸炎の改善効果

・アディポネクチンはPPAR(peroxisome proliferator activated receptor)γの標的遺伝子
 ⇒PPARγアゴニスト(チアゾリン誘導体)により血中アディポネクチンが増加する
  →抗動脈硬化作用、抗炎症作用
 PPARγは脂肪組織の機能調節にかかわる重要な遺伝子群を協調的に制御
 PPARγリガンド抵抗性症候群(PLRS)という病態がある
  ⇒やせ形体系で高度の動脈硬化、強いインスリン抵抗性、部分性脂肪萎縮、高血圧、
    脂質代謝異常、脂肪肝、女性の場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

COPDとアディポネクチン

・COPDでもBMIとアディポネクチン量は逆相関することが確かめられている
  (CHEST 2007;132:135-140
・マウスの肺気腫モデル(elastase-induced emphysema model)での実験 
  (AJRCCM 2011;183:1164–1175
 ⇒アディポネクチン欠損マウスでは、COPDと体重減少や骨粗鬆症に加え、
   全身性炎症(主に血管内皮障害による)を伴った
   →アディポネクチン投与により改善あり


COPD、特に気腫優位型は全身性炎症性疾患であり様々な合併症を併発することがわかっています。今後何らかの方法によるアディポネクチン補充もしくは上昇させる治療法が期待されます。
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by tobbyk | 2011-06-12 16:55 | COPD