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本日は神奈川県の某呼吸器センターで開かれた研究会に参加させていただき、終了後に勤務先の病院へちょっと寄って先ほど帰宅しました。

数年前に一緒に働いていた当時研修医の先生が、本日は大きな会で立派に英語でプレゼンしており、時が過ぎる速さをしみじみ感じました。。。

研究会は非常~に勉強になりました。日常臨床の疑問がいくつか解け、また新たな疑問やアイデアが湧きました。早速アイデア帳に書き込み、今後のスタディデザインを考えながら皆さんの発表を伺っていました。

しかし神奈川って良い所ですね。電車からの風景を眺めたのと少し歩いただけですが、風情を感じました。風の香りも海が近いせいか、埼玉県と違います。いつか住んでみたいです。

・・・そんな気になったのもつかの間、帰りの電車内は忘年会帰りの多数のサラリーマンから発散される酒とタバコと汗の匂いで、こちらも一気に疲れが出てしまいました。世のお父さんたちは一生懸命働いてるんだな・・・とは思うのですが、床に座り込んで嘔吐する人までいてなかなかカオスでした。

そんな中読んだ本を。

「心理学で何がわかるか」 (ちくま新書)
 村上 宣寛 (著)


満員電車で読むのは正直ちょっと疲れました。

医学論文でよく用いられる研究手法で検討された心理学の研究報告を多数まとめて紹介している、といった内容でした。それによって、過去の言い伝え(長男と次男の性格の違い、子育て問題などなど・・・)を解説してあり、それなりに面白いと思いました。「"ホーソン効果"に科学的な価値がない」なんていうのは特に。

でも結局、自分があまり心理学に興味がない事がわかってしまいました・・・読んでいて「へー」とか「ほー」以上の感想がなく、文章にもひきつけられずで・・・もうこの辺の本はしばらく読まないと思います。
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by tobbyK | 2010-12-18 00:04 | 徒然
以前ご質問を頂いた事項ですが、ようやくまとめと製薬会社からの返答を頂きましたので、記事としてアップします。

COPDに対するPDE4阻害薬について。


1.Phosphodiesterase(PDE)とは

・cyclic nucleotide(adenylyl cyclaseやguanylyl cyclaseにより細胞内で産生されるcyclic AMP;cAMPやcyclic GMP;cGMP)を分解する酵素。

・cAMPやcGMPは気道平滑筋の弛緩や気道炎症の抑制作用を持つため、PDEを阻害する事でこれらが細胞内で増加し、気管支拡張効果や気道・肺の炎症抑制効果をもたらす事が期待される。

・COPDではテオフィリンが古くから使用されているが、その作用機序の一つとして非特異的なPDE抑制作用(特に3,4,5に対する阻害作用)がある。しかし通常の臨床用量では少ない。

・PDEには11のアイソザイムが存在し、COPDにはPDE4が主に関与している  
 *PDEアイソザイムの局在
  気道平滑筋 ・・・PDE 3, 4, 5    
  血管平滑筋 ・・・PDE 3, 5
  好酸球    ・・・PDE 4
  好中球    ・・・PDE 4
  血小板    ・・・PDE 3, 5
  T cell     ・・・PDE 4
  内皮細胞   ・・・PDE 3, 4
  知覚神経細胞・・・PDE 4
  気道上皮細胞・・・PDE 4
  肥満細胞   ・・・PDE 4
  マクロファージ・・・PDE 3, 4

・PDE4にはさらにA,B,C,Dの4つのサブタイプがあり、異なった役割を果たす。
   (Curr Opin Cell Biol 2000;12:174-179, Eur Respir J 1995;8:457-462)



2.PDE4阻害薬のCOPDに対する使用

cilomilast
 第一世代の薬剤
 実際の使用報告は以下のとおり;

 Lancet 2001;358:265-270
 対象:424例の中等症~重症のCOPD
 介入:6週間使用(他の治療薬は継続)
    cilomilast 5mg×2/day 109例
    cilomilast 10mg×2/day 102例
    cilomilast 15mg×2/day 107例
    プラセボ        106例
 primary outcome:気管支拡張薬使用前後の一秒量
 結果:cilomilast 15mg×2/dayの群において、
     6週後一秒量がベースラインより130ml改善(⇔プラセボでは-30ml)

 AJRCCM 2003;168:976-982 
 気管支生検での炎症細胞の減少を報告

 嘔気・嘔吐などの副作用が強かった⇒PDE4Dに対する阻害作用が強いため
 ⇒理想はPDE4B選択的に阻害する薬剤

・roflumilast 
 第二世代
 PDEサブタイプの選択性が低い
 実際の使用報告は以下のとおり;

 Thorax 2007;62:1081-1087
 対象:38例のCOPD患者
 介入:roflumilast 500μg/dayを4週間投与
 primary outcome:2週目と4週目の喀痰中炎症細胞・サイトカイン、気管支拡張薬後の一秒量
 結果:好中球数が35.5%と好酸球数が50%減少
    喀痰中のIL-8、好中球エラスターゼ、ECP、α2マクログロブリンも減少
    気管支拡張薬使用後の一秒量は68.7ml改善

 Lancet 2005;366:563-571
 対象:1411例のCOPD患者
 介入:roflumilast 250μg/day 576例
     roflumilast 500μg/day 555例
     プラセボ 280例
     24週間使用
 primary outcome:気管支拡張薬使用後の一秒量、健康関連QOL
 結果:一秒率は、プラセボと比較し250μg/dayで74ml増加、500μg/dayで97ml増加
    健康関連QOLは250μg/dayで-3.4ポイント
               500μg/dayで-3.5ポイント
               プラセボで-1.8ポイント 
 
    急性増悪回数は250μg/dayで1.03回
               500μg/dayで0.75回
               プラセボで1.13回  

 AJRCCM 2007;176:154-161
 対象:1513例のCOPD
 介入:roflumilast 500μg/day 760例
     プラセボ 753例
     1年間投与 無作為比較試験
 primary outcome:気管支拡張薬使用後の一秒量、急性増悪発生率、SGRQ合計スコア
 結果:気管支拡張薬使用後の一秒量はプラセボと比較しroflumilast群で39ml増加(52週で)
     急性増悪発生率はプラセボ群 0.92回/patient/year
                 roflumilast群 0.86回/patient/year
                     (有意差なし)
      ⇒stage4のCOPDではプラセボ群 1.59回/patient/year
                     roflumilast群 1.01回/patient/year

                     (有意差あり、36%の減少)
     SGRQスコアは両群で有意差なし
     roflumilastの副作用は下痢・嘔気・頭痛が多かったが、治療継続で問題なかった

 Lancet 2009;374:695-703
 対象:40歳以上の中等症~重症のCOPD
 介入:salmeterol(セレベント)+roflumilast 466例
     salmeterol(セレベント)+プラセボ  467例
     tiotropium(スピリーバ)+roflumilast 371例
     tiotropium(スピリーバ)+プラセボ  372例
 primary outcome:気管支拡張薬使用前の一秒量
 結果:salmeterolグループでは、
       roflumilast群で気管支拡張薬使用前の一秒量がプラセボより49ml増加
     tiotropiumグループでは、
       roflumilast群で気管支拡張薬使用前の一秒量がプラセボより80ml増加

 Lancet 2009;374:685-694
 対象:40歳以上の重症COPDで、気道症状、急性増悪歴がある症例
 介入:長時間作用方β2刺激薬+roflumilast 1537例
    長時間作用方β2刺激薬+プラセボ  1554例
    2つの多施設共同無作為比較試験
 primary outcome:気管支拡張薬使用前の一秒量、急性増悪発生率
 結果:roflumilast群でプラセボと比較し気管支拡張薬前の一秒率量が48ml増加
     中等症(ステロイド薬使用必要)以上の急性増悪回数が17%減少
        ・・・プラセボ群 1.37回/patient/year
          roflumilast群 1.14回/patient/year 
(有意差あり)
     嘔気、下痢、体重減少、頭痛などの副作用による試験中止例あり(14%くらい)


 日本では5-6年前にPhase2-3の試験が終了しています。たしか吸入ステロイドとの比較試験だったと記憶しています。治療成績の解析作業は現在製薬会社主導で行われているそうで、日本でもいずれは発売したい意向とのことでした。米国で今年承認されなかったのですが、来年に結論を持ち越しており首の皮一枚つながっているとのことでした。
 これまでの治療への上乗せ効果はありそうなので、期待したいところです。
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by tobbyK | 2010-12-10 15:44 | COPD

気がつけば11月は更新していませんでした。

時間が過ぎるのが早すぎて、恐ろしいです。

臨床×臨床+ちょっと研究、で疲れ果てる日々ですが、

11月末には福岡で著名な先生方と研究ミーティングがあり、

とても刺激になりました。

その後の飲み会でも勉強になる話が山ほどあって、

今は久しぶりに頭が正しい方向(日々のサバイブ→本来の目標)に修正された気がします。

修正されてみると、「今まで何て小さなことで悩んでいたんだろう」と思ってしまいます。



さて、今「風姿花伝」を少しずつ読んでいます。

薄い本ですが、何回か読まないと頭に入りません。

しかし、とても深いと思います。深すぎる。

達人ってこんな感じ、というモデルになりそうです。

ゆっくりと何回でも読もうと思います。
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by tobbyK | 2010-12-07 05:35 | 徒然