<   2009年 10月 ( 10 )   > この月の画像一覧


COPD急性増悪の起こりやすい季節になってきました。
増悪時のステロイド±抗生剤の自己治療の論文がちょうどありました。

The (cost)-effectiveness of self-treatment of exacerbations on the severity of exacerbations in COPD patients: the COPE-II study
Thorax. Published Online First: 6 September 2009. doi:10.1136/thx.2008.112243


Purpose
・COPD急性増悪の重症度に基づく自己治療(self-treatment on the severity)の費用対効果の検討

マテメソ
・142例のCOPD患者
・無作為に患者教育セッション(2時間を4回)に割付。
 このセッションは、急性増悪時の自己治療が含まれているものとそうでないものに分かれている。
 自己治療群では、プレドニゾロン±抗生剤の自己治療プランあり。

・1年間のフォローアップ期間中、毎日症状に関する日記をつける。
 →急性増悪の頻度とその期間、重症度スコアを計算。

Results
・自己治療群70例、対象群72例
・結果
 ・急性増悪の頻度・・・同等 (平均3.5±2.7回)
 ・急性増悪の期間・・・自己治療群で短い傾向 
     自己治療群の中央値:31日(interquartile range (IQR): 8.9-67.5)
     対象群の中央値:40日 (IQR: 13.3-88.2); p=0.064
 *全症例の90パーセンタイル値は137日であり、これ以上の患者を長増悪期間者とすると、
   これらの症例では両群に有意差アリ  p=0.028

 ・増悪期間中の平均重症度スコア・・・同等
 ・費用対効果・・・自己治療群で一人当たり154ユーロ削減できた
    *入院回数の差
      自己治療群で一人当たり0.2回/年
      対象群で一人当たり0.33回/年 ; p=0.388
    *受診率の差
      自己治療群で一人当たり5.37回/年
      対象群で一人当たり6.51回/年 ; p=0.043

Conclusion
・COPD急性増悪の自己治療は、増悪日数とコストを抑える。


こういうこと、日常臨床でやっているドクターは結構多いのではないでしょうか?
私も経験があります。
増悪を頻繁に繰り返す方に、
「これを渡しておくから、同じような症状が出たら早目に飲んでください」と。

感染症専門医からは何と言われるか・・・?
マクロライド長期投与と同じで乱用は避けなければなりませんので、
適応をよく検証すべきなのだと思います。
自分なりに検証してみたいと思います。
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by tobbyK | 2009-10-30 18:15 | COPD

火曜~水曜と東京出張でした。
「最近ブログで学術的な内容が少ない」とのクレームが多数あり、
反省して帰りの新幹線でジャーナルウォッチしました。

今回のテーマは「小細胞肺癌の新しい治療」です。
分子標的治療が始まって以来、肺癌では次々に新しい薬剤が開発されトライアルに入っています。
小細胞肺癌ではどうなるのか?
レビューするのにちょうど良い論文がありましたので、軽くまとめました。
軽く、と言っても長いですが・・・

New Advances in the Second-Line Treatment of Small Cell Lung Cancer
The Oncologist 2009;14:986–994

 北アイルランドはベルファストより
 (↑ マスターキートンファンの自分としては、行った事も無いのに懐かしい土地です)

はじめに
小細胞肺癌(SCLC)は、肺癌全体の15-20%を占めるといわれている。
非常に進行がはやく、治療をしないと平均2-4ヶ月程度の予後とされる。
進展度は限局型(LDもしくはLS)と進展型(EDもしくはES)に分けられる。
5年生存率はLDで10%、EDで2%である。

ゆえにSCLCは全身性疾患と捉えられ、手術ではなく化学療法が治療のメインとなる。
現在は、やはりプラチナ製剤が中心であり、cisplatin + etoposide (EP)もしくはcisplatin + CPT-11が多い。
carboplatinはcisplatinの代わりとして有効であり、副作用が少ない。
その他、薬剤の種類を増やしたり、用量を増やしたり、第三世代抗癌剤(Gem, taxanes, topotecanなど)を試されたりしたが、EPよりも良い結果は得られていない。

LDの場合は、化学療法に放射線照射を追加する。これにより、3年生存率が5%改善し、局所再発も25%減少する。
そして、first-lineの化学療法でCRとなった患者においては、予防的全脳照射(PCI)により、さらに予後が改善する。
最近では、EDでも化学療法が効いた症例ではPCIの効果が報告されている。

初回治療は比較的良く効く(LDで70-90%、EDで60%)のだが、その後の再発が非常に多い癌でもある。
LDで80%、EDではほぼ全症例で、初回治療後1年以内に再発が生じる。
初回治療が終了して60-90日経っていれば、再治療も効果が望める。
ちなみに、初回治療が効かないものを"resistant"、初回治療後60-90日以内に再発したものを"refractory"と呼ぶ。
SCLCを特定の神経内分泌マーカーの発現により"classic"と"variant"に分け、variant typeは化学療法への反応が乏しく予後不良であるとの報告がある(Cancer Res 1985;45:2913–2923, J Clin Oncol 1990;8:402– 408.)。予後予測において、PSと体重減少が重要なのは言うまでもない。

refractoryやresistantでは、2nd lineの化学療法が考慮される。
2nd lineの化学療法はbest supportive careと比較し、生存期間を長くするし、薬剤によってはQOLも改善すると報告されている。しかし、患者の全身状態が何よりも重要だが・・・
2nd lineの治療法としては、topotecan, irinotecan (CPT-11), amurbicine, Cyclophosphamide+doxorubicin+vincristine(CAV,古いが)など。
2nd lineとしてpemetrexedも試されたが、結果は今ひとつだった。

結局、これまでの"cytotoxic drug"では大幅な予後の改善は望めない現状である。
そこで、"新しい"薬剤に期待が持たれる。

血管新生阻害薬(Antiangiogenic drugs)
bevacizumab(アバスチン)は、vascular endothelial growth factor (VEGF)に対するmonoclonal antibodyであり、非小細胞肺癌(NSCLC)で効果を発揮している。
SCLCでも1st lineとして効果が報告されている。
・1st lineでは2つのphase II studiesあり:
 bevacizumab + 他の抗癌剤の併用 
 対象はES SCLC
 → overall response ratesは、2つの報告でそれぞれ69%と62%だった
   [J Clin Oncol 2007;25(18 suppl):Abstract 7564.、
    J Clin Oncol 2007;25(18 suppl):Abstract 7563.]

・2nd lineでは1つのphase II studiesあり:
 再発SCLCに対しbevacizumab + paclitaxel
 → disease control rate 66% (PR 11.1%, SD 55.5%)
   median PFS time of 13 weeks,
   median OS time of 21 weeks
   [J Clin Oncol 2008;26(15 suppl):Abstract 19013]

・再発症例に対するoral topotecan + bevacizumabのstudyが始まる

SorafenibはRaf kinase, VEGF receptor(VEGFR)-2, VEGFR-3, platelet-derived growth factor receptor β(PDGF β)をターゲットとする薬剤。
単剤としてはphase II、oral topotecanとの併用治療としてphase Iのstudyが始まっている。

AZD2171 もsorafenibと同様のmultiple kinase inhibitorであり、単剤治療としてphase II trialが始まっている。



Inhibition of Downstream Signaling Pathways
phosphatidylinositol 3' kinase/Akt signaling pathwayはSCLCの増殖に重要な経路である。
そして、mammalian target of rapamycin (mTOR)がこの経路の中心的役割を担う。
RAD001 (everolimus)は新しいoral mTOR inhibitorであり、再発SCLCに対してphase II studyが始まっている。preliminaryなデータでは、効果は今一つのよう。副作用は問題ないとの事。



Prosurvival Bcl-2 Family Inhibitors
「アポトーシス誘導」が今後期待できる治療法かもしれない。
もともと、抗癌剤はmitochondrial (or intrinsic) pathwayを介しアポトーシスを促進して効果発現してきた。なので、「新しい話」ではない。しかし、抗癌剤の耐性については重要な問題。
mitochondrial apoptotic pathwayはBcl-2 family of proteinsの相互作用により調節されている。Bcl-2 familyの蛋白はBcl-2 homology (BH) domainsを1つ以上共有しており、構造や機能の特徴から3つのグループに分けられる。
「Bax」と「Bak」は「proapoptotic members」であり、4つのBH domainのうちBH1–3を持つ。そして、化学療法によるアポトーシスに必要な蛋白である。
その他のproapoptotic membersとしては、BH domain 3のみを持つ蛋白があり、「BH3-only proteins」といわれる (e.g., Bid, Bim, Bad, Noxa, Puma)。
そして、「antiapoptotic members」なる蛋白があり、これらは4つのBH domain全てを持つ (e.g., Bcl-2, Bcl-xL, Bcl-w, Mcl-1, A1)。
これらの蛋白質がどのような機序でアポトーシスを誘導していくのかは分かっていないが、BaxとBakを活性化すると、アポトーシスが誘導される事が明らかになっている。
(この辺の詳しいところは難しいので省略)

antiapoptotic Bcl-2 proteinsが高値だと、腫瘍の活動性が高く"malignant phenotype"であり、抗癌剤への抵抗性が高いとされる。そしてSCLCでは、Bcl-2が約80%のケースで高発現しているといわれる。
ゆえに、Bcl-2が新しい薬剤のターゲットとなった。
bortezomib(ベルケード)は20s proteosomeを阻害することで、Bcl-2を抑制する。
日本でも既に骨髄腫などに用いられている。
海外では再発SCLCに対しphase II trialが行われており、単剤での効果は今ひとつと報告されている。
Oblimersenは、Bcl-2 mRNAの最初の6つのコドンと相補的であるアンチセンス・オリゴヌクレオチド薬剤である。なんのこっちゃ?だが、つまりは、Bcl-2を産生するメッセンジャーRNA(mRNA)に対し遺伝学的成分を補充し、結果としてそのmRNAを不活性化し、Bcl-2が産生されるのを防ぐ・・・らしい。
SCLCの1st lineとして、EP+Oblimersenのphase II studyが行われたが、結果はイマイチであった。Bcl-2の産生抑制だけでは不十分という事なのだろう。

そこで、Small-molecule BH3 mimeticsが注目されている。
これは低分子化合物で、antiapoptotic Bcl-2 family membersの親水基に結合し、proapoptotic membersの阻害を抑える。
ABT-263は経口できる"純粋な"BH3 mimeticであり、BaxとBakの発現がないと役に立たないという特徴を持つ。Bcl-2, Bcl-xL, Bcl-wには良く結合するが、Mcl-1やA1には結合しない。
vitroでもvivoでも、単剤もしくは他剤との併用で効果を示す事がわかっている。
現在、再発SCLCに対しphase I/II studyが始まっている。
AT-101 (gossypol)もoral Bcl-2 family inhibitorである。こちらも再発SCLCに対する単剤と、topotecanとの併用でphase II trialが始まっている。
Obatoclax mesylate (GX15– 070)は、Mcl-1を含む6個全てのantiapoptotic proteinsに結合する薬剤である。in vitroではSCLCにも効果が確認されている。現在、ED-SCLCに対して、EPへの上乗せのphase I/II trialが行われている。また、2nd lineとしてtopotecanとの併用のphase I/II trialが症例集積中である。



ここまで読まれた方、ありがとうございました。



東京では色々なアドバイスを色々な方々から頂きました。
また色々と考えてみようと思います。

来月は、仕事+友人の結婚式+国際学会のため、「週末東京」×3→シカゴの予定。
穏やかな週末は12月まで待たねばならぬ・・・
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昨日の夜帰宅後、見るとは無しにつけていたテレビから、
聴き慣れた懐かしい嗄れ声が・・・


「トム・ウェイツ!」


思わず一人で大声を出してしまいました。
テレビドラマ「不毛地帯」のエンディングテーマになっておりました。


以前はよく聴いていたのですが、最近はご無沙汰していました。
まさか地上波のテレビで彼の声を聴くとは。

おススメはアルバム「土曜日の夜」です。
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今日の深夜に仕事しながら聴きなおそうと思います。
この人の歌は、夜しか似合わないと思います。
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by tobbyK | 2009-10-23 07:36 | 徒然

昨日は博多出張。

新大阪からは、東京であれ博多であれ、新幹線で片道約2時間30分。

車中で仕事は進むのだが、
最近、復路で少し気分が悪くなるようになった。

まるで車酔いのような・・・
「新幹線酔い」ってあるのでしょうか?

次からは飛行機にしようかな・・・でも面倒くさいし・・・



しかし、博多でのミーティングはいつも勉強になります。
偉い先生方の"素の声"とアドバイスを聞けるのは大きいです。
裏話も強烈で最高です。



さて、早く論文を完成させよう。



あ、12月のシカゴの学会の準備全くしてない・・・
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by tobbyK | 2009-10-17 12:18 | 徒然

何かと忙しい連休中。

論文を書き上げたい。
週末のミーティングの準備もしたい。
その次の週末のミーティングの準備もしたい。
その次の次の週の実験の準備も・・・
いや、そのための手配も色々と・・・

・・・筋トレもしたい。


とりあえず、クラシックのピアノ曲集を聴きながら、ルーチンワークに逃げる。

ということで、画像の教科書その②、ブドウ球菌性肺炎について。


Streptococcus pneumonia  I-1.6-7

Terminology
Abbreviations and Synonims
・Staphylococcus aureus pneumonia
・院内肺炎の代表の一つ

Definitions
・G陽性菌であるStaphylococcus(通常はaureus=黄色ブドウ球菌)による肺の感染症

Imaging Findings → こんな感じ
Genereal features
●Best diagnostic clue
・急激な発症
 +patchy or lobar consolidation
 +広範囲
 +急速進行
 +破壊性変化が強い(空洞化など、後で出てくる)

・空洞
 *色々な細菌で生じる
 Staphylococcusでは30-40%(25-75%との報告も)
 壁が厚い
 治癒時に薄壁空洞(=Pneumatocele、2%くらい)となり、数年残ることあり

・随伴胸水が2/3に生じる
 特に小児では膿胸の合併も多い
 小児ではMRSAによるものが増えている

・時に気胸の合併も

*小児
 急速に進行する大葉性肺炎・多発性肺炎
 胸水が90%
 Pneumatoceleが40-60%

●分布
・patchy bronchopneumoniaで多区域
 両側肺も多い(60%以上)

●範囲
・小範囲~ARDS様まで色々

*合併症
 髄膜炎、脳膿瘍、腎膿瘍、感染性心内膜炎など
 
Imaging recommendations
●レントゲンは診断と初期の重症度評価に
●CTはabscessや膿胸の存在診断に

Differential Diagnosis
他の細菌性肺炎
●G陽性菌:Streptococcus pneumoniae / pyogenesなど
●G陰性菌:緑膿菌、クレブシエラ、Enterobacter、Serratia
誤嚥
肺挫傷

Pathology
General features
●Genetics
・黄色ブ菌はPanton-Valentine leukocidin(重症化をもたらす毒素)の遺伝子を持ち、急速・出血性・壊死性肺炎を起こす
●Epidemiology
・bronchopneumoniaの起炎菌として多い
・残りは院内肺炎
・インフルエンザのアウトブレイクが起こった時、市中感染として死因となる菌(高齢者ほど危険)

Microscopic features
●G陽性球菌で、塊を作る
●鼻腔からの経路にコロニーを作る

Clinical Issues
●Presentation
・一般的な症状:急激・突発的な発熱と呼吸不全、喀痰
・その他:インフルエンザのシーズンでは、ウイルス感染が先行

●Demographics
・市中肺炎の5%
・年齢:小児と高齢者(特にインフルエンザの時期)
・性別:女性の方がS.aureusのコロニーをよく持っている

●Natural history and prognosis
・菌種類や患者の状況で死亡率は異なる

Treatment
・MRSAが増えているので注意

Selected References
・Eur Radiol. 2002;12(2):391-6
・Thorax 1996;51(5):539-40



侵襲性が強そうな画像ですね。



- 徒然 -

今日聞いた印象に残る言葉

「何かを成し遂げたと思ったら、そこで成長が止まってしまう。人生はまだ続くのだ」
 ― イビチャ・オシム

 ・・・感動。いまだにサッカーばかり観ているらしい。



「知識ではなく、自分の経験からそうおっしゃっておられるんですよね。スゴイなぁ~」 
 - ある脳科学者(子育て特集番組にて)

 ・・・ビスマルクの言葉を送りたい。

マメ知識ですが、「病理学の法王」である我らがウィルヒョウ先生は、ビスマルクの政敵でした。
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「PAST」

ノルウェーのオスロ大学の先生が作成してネット上に公開されている統計のフリーソフトです。

昨日の深夜必死になって統計の勉強をしていた際に、

ネットでこれを発見して「ウォ~!」と一人唸ってしまいました。

タダなのにここまで出来て使いやすいなんて、驚きです!


SPSS base (ver.16.0)をバージョンアップしてさらにadvancedにしようと思っていたところだったのですが、ちょっと様子を見ようかな・・・値段が高いし。。。

他のソフトと比較しながらしばらく使ってみて考えたいと思います。



世界(リアルワールド)の広さと、ネット世界の狭さを感じた夜でした。

今回はもちろん良い意味で。





・・・「R」をいつか勉強する予定だったんだけど・・・もうやめようかなぁ・・・
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by tobbyK | 2009-10-10 18:27 | 統計

苦手な教科書通読を、基礎トレーニングとして自分に課してみます。

まずは画像診断から。
読みやすいものじゃないと続かないので、Gurneyの「Diagnostic Imaging:Chest」「Radiology Review Manual」を併読していきます。

総論からはじめると長続きしない性格ですので、各論から。

Bacterial Pneumonia (I-1.2-5)

Terminology
・診断は培養に基づくものであり、グレイスケールではG染色の代わりにはならない
・Abbreviations and Synonyms
 Bronchopneumonia, lobar pneumonia, lung infection, pneumonitis

Imaging Findings
・Best diagnostic clue
 ●限局性の陰影+発熱
 ●肺に異常陰影がなければ、大丈夫。ただし免疫不全者は除く。
 ●起炎菌の画像パターン分類は難しい。
・Location
 ●誤嚥はdependent zoneに多い
  立位なら下、臥位なら上葉背側とS6、側臥位なら脇の下

Radiographic Findings
レントゲン
・パターンはなんでもあり
・感度は高い
 →免疫不全(特に好中球減少者)、脱水(議論あり)だと見えにくい
・"Classic" pneumonia pattern
 ●Lobar pneumonia→肺炎球菌
 ●Bulging fissure→クレブシエラ
 ●Pulmonary edema様(間質陰影主体という事か)→ウイルス性、PCP
 ●Pneumatocele→ブ菌
 ●小結節→水痘、TB

・Lobar/segmentalかBronchopneumoniaかは起炎菌推定に役立つが、読影者間の不一致が多い
 ●Lobar consolidation
  閉塞性無気肺→癌を疑う
  肺炎球菌、ブ菌、Klebsiella、レジオネラ、嫌気性菌、(マイコプラズマ、ウイルス)
●Bronchopneumonia
  免疫正常→マイコプラズマ、ウイルス、ブ菌、肺炎球菌
  免疫不全→G陰性菌、ブ菌、肺炎球菌、ノカルジア、レジオネラ、アスペルギルス、接合菌
  院内→G陰性菌、緑膿菌、クレブシエラ、ブ菌
  
・その他のパターンからの類推
 ●両側びまん性肺炎
  免疫正常→ウイルス、レジオネラ
  免疫不全→カンジダ、PCP、TB
 ●両側下葉のLobar pneumonia
  嫌気性菌(誤嚥)
 ●末梢の肺炎像
  好酸球性肺炎
 ●Diffuse interstitial pattern
  まれ
  マイコプラズマ、ウイルス、ブ菌
 ●肺門リンパ節腫大
  まれ
  結核、マイコプラズマ、真菌、単核球症、麻疹、ペスト(plague)、野兎病(tularemia)、
  炭疽菌、百日咳
 ●肺炎随伴胸水 vs 膿胸
  被包化・分葉化→膿胸疑い
  大量→好気性・G陰性菌、ブ菌
  初回で胸水あり→ブ菌、肺炎球菌
  後で出てくる→G陰性菌、嫌気性菌
 ●Pneumatoceles
  ブ菌とPCP
  数ヶ月残るが、いずれ消失
 ●空洞(=abscess)
  上葉に多い
  ブ菌、嫌気性菌、G陰性菌
 ●改善パターン
  外来患者、非喫煙者で改善早い(2-3週)
  自然史:2週間で50%改善、4週間で66%改善、8週間で90%改善
  遅れる人:高齢者、多発陰影、合併症(膿胸やabscess)
  →6週間はフォローを
 ●繰り返す人
  90%以上は基礎疾患あり
  同じ部位に繰り返す場合は、構造異常を

 *読影者間の一致率
  均等影・多発陰影・胸水の指摘は一致率高い
  陰影パターン・気管支透亮像は一致率低い

CT findings
・造影
 ●繰り返す場合の原因検索に有効
  肺癌、気管支拡張症、tracheobronchomegaly、COPD、PAP、
  分画症、食道憩室、中葉舌区症候群
 ●abscessと膿胸の区別

Imaging recommendations
・基本的には発見と経過観察はレントゲンで十分
・CTは、免疫不全患者や構造異常がある人で有効

Top differential Diagnosis
・肺水腫
 心拡大、肺高血圧、体位による陰影変化
・肺胞出血
 喀血か貧血がある(80%)、
・誤嚥
 食道疾患、アル中、痴呆など
・無気肺
 容積減少のサイン
・肺梗塞
 melting snowball signが特徴
・BAC
 6-8週治療しても改善しなければ疑うべき
・BOOP
・CEP
 上葉の末梢に多い
 移動することがある
・Farmer's lung
 曝露歴

Pathology
・培養で起炎菌が判明するのは50%未満
・レジオネラは夏、その他は冬に多い

Gross Pathologic and Surgical Features
Lobar vs Bronchopneumonia
・Lobar
 ●好中球を中心とした浸出液が肺胞に充満
 ●すぐに肺葉に拡がる(葉間胸膜でストップ)
  →葉間胸膜を押すので、""bulging pneumonia"という事も。ゆえに容積減少はない
 ●末梢肺から始まる事が多い→気道・Kohnの小孔・Lambert管を通って広がる
 ●中枢部から始まると、round pneumonia(lipidic growth)となる
 ●起炎菌→肺炎球菌、クレブシエラ(免疫不全、アルコール中毒など)、
        小児なら何でもあり、麻疹
 ●鑑別→誤嚥、閉塞性肺炎、肺梗塞
・bronchopneumonia
 ●気道から炎症が始まり、気管支血管束におよび、肺胞にいたる→終末細気管支中心に浸出物
 ●隣の小葉は正常→パッチワークのようになる
 ●起炎菌→ブ菌・緑膿菌(気道周囲の血管の塞栓・壊死・空洞をおこす)
       肺炎球菌、クレブシエラ、レジオネラ、Bacillus proteus、大腸菌、
       嫌気性菌(Bacteroides+Clostridia)、ノカルジア、アクチノミセス
       マイコプラズマ(小さく境界不明瞭な小結節、気道炎症・分泌物増加
                 による閉塞から区域性陰影を呈することあり)

Microscopic features
・非特異的な、急性・慢性の炎症細胞
・細菌の確認
・起炎菌
 ●市中肺炎:ウイルス、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラ、マイコプラズマ
 ●院内肺炎:G陰性菌(50%以上)、クレブシエラ、ブ菌、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌

Clinical Issues
Presentation
・痰
 ●血痰:Klebsiella、肺炎球菌
 ●緑:緑膿菌、肺炎桿菌
 ●ニオイがきつい:嫌気性菌
・歯がない人の空洞→肺癌の可能性
・膿胸では時に患者が元気なときがある
・下痢はレジオネラに多い

・基礎疾患
 ●脾摘後→肺炎球菌
 ●Cystic fibrosis→緑膿菌
 ●COPD→肺炎桿菌、モラキセラ
 ●Sickle cell→肺炎球菌
 ●誤嚥→嫌気性菌、G陰性菌、ブ菌、アクチノミセス

・死因の第5位
・両側胸水+多葉の病変は死亡率高い

・合併症
 ●膿胸
 ●abscess
 ●Pneumatocele
 ●気胸
 ●膿気胸
 ●気管支胸膜瘻




今度こそは続けよう・・・
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昨日iPhoneをコンクリートの上に落として、

液晶のガラスを壊してしまいました。

後が面倒くさいです。

いや、機体の交換は簡単なのですが、

入れていたソフトの再ダウンロードが、、、

たくさん入れすぎていたのですが。

あぁ、面倒くさい。





・・・あ、電話帳が消えてる・・・
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by tobbyK | 2009-10-04 22:58 | 徒然

気がつけば、昨日でブログ開始1周年でした。

飽きっぽい性格なので、始めたのが遠い昔に思えます。
半年くらいで終わるかな・・・と思っていたのですが、

読者の皆様からのメッセージが何よりも継続の燃料となりました。
ありがとうございます。
途中から更新のペースを落とした事も功を奏し(?)ましたが。。。

これからも可能な限り継続したいと思っています。



さて、もう10月です。
大阪での生活は今年度限りなので、残りわずかです。
来年度はどこに行くことやら。

医師になってからこれまでの放浪生活で、
多くの物事を直接目にすることが出来ました。
放浪生活は大変勉強になる反面、
公務員や企業ではないので引越し代も家賃も完全自腹だし、
収入も年ごと(下手すると月ごと)にバラバラで安定しないし、
補償面は全くないし・・・
一家の大黒柱としてはちょっといただけないのも事実です。
家族の仕事・教育・介護なんかの問題も徐々に大きくなってくるので、
そろそろどこかで折り合いをつけないと、と思っています。

あと、転勤が多いのは、担当している患者さんたちとの関係性にも
大きな問題ができるなぁ・・・と感じています。



という事で、今後しばらくの目標は、

「定住呼吸器科医」

にしようと思います。



ブログのタイトルが変わるその日まで、
お付き合い頂ければ幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。
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by tobbyK | 2009-10-02 13:38 | 徒然

諸事情により更新が滞っておりました。


さて、以前肺炎球菌ワクチンについてご質問を頂きましたので、UpToDateを中心に再勉強・まとめ書きをしてみました。

COPDの方に関する情報だけ先に抽出しておきます。

COPDと肺炎球菌ワクチン
基本事項:肺炎球菌ワクチンの最大の効果は、IPDの予防にある。肺炎の予防効果そのものはイマイチ
・COPDにおいて、ワクチンの死亡抑制効果があるかは分かっていない
   [Cochrane Database Syst Rev 2006; :CD001390.]
・65歳以上のCOPD患者には推奨されている 
   [NEJM 2003;348(18):1747-55., Chest 1990;97(1):75-83]
・65歳以下でも、%FEV1<40%の患者では市中肺炎を抑制することが報告されている 
   [Thorax 2006;61:189-95]
 →596例のCOPD患者を対象とした検討
   PPV接種群(298例)と非接種群(298例)の前向き検討(平均979日間)
   ⇒患者全体では肺炎の予防効果は明らかではなかった
   ⇔65歳未満の患者では、76%の発症頻度減少効果あり
    特に65歳未満の%FEV1<40%の重症患者では、90%の肺炎減少効果あり
・COPD患者では、PPV23(23価ワクチン)よりもPCV7(7価結合型ワクチン)の方が、
 接種1ヶ月後の免疫応答を高める可能性あり
   [AJRCCM 2009;180:499-505]

「肺炎球菌」という名前だけに肺炎に気が行きがちですが、その他の重症感染症を引き起こす菌でもあります。ハイリスクの方においては、やはり重要なワクチンと言えるのではないでしょうか。


Pneumococcal vaccine(肺炎球菌ワクチン)
 UpToDate参照

肺炎球菌とは

・初めて単離されたのは1881年とのこと。
 George Miller Sternberg (アメリカ陸軍内科医) と、ルイ・パスツール(フランス)
・グラム陽性菌で、球形の菌が2つの菌がくっついて並んでいるように見えることから、1926年に Diplococcus pneumoniae (肺炎双球菌)と呼ばれるように。液体培地内で鎖状の増殖を呈することから、1974年に Streptococcus pneumoniae (肺炎レンサ球菌)と改称された。  (Wikipedia参照)
・90種の血清型がある。多糖体(ポリサッカライド)から成る莢膜を持つものが、人に対して病原性を持つ。
・感染経路:人の鼻やのどの粘膜に付着し定着→保菌者のくしゃみや咳によって生じた飛沫物から


はじめに
・肺炎球菌ワクチンは、莢膜の多糖類から抽出されたはじめてのワクチン
・これにより、抗体産生→オプソニン化(味付け)をもたらし、貪食細胞による肺炎球菌の貪食・殺菌を誘導する
・1945年に4価のワクチンが初めて使用された [J Exp Med 1945; 82:445.]
 →ちょうどペニシリンの発見と同時期だったため、広まらなかった
   (当時は抗菌薬で感染症を支配できると考えられていた)
 →耐性菌の増加などに伴い、現在はワクチンに魅力が出てきた

・1977年:Dr. Robert(オーストラリア)14価の肺炎球菌多糖体ワクチンを開発 
       [Trans Assoc Am Physicians 1976; 89:184.、
        Clin Infect Dis. 2007 Jul 1;45(1):2-3. Epub 2007 May 29.]

・1983年:23価製剤に進化した(PPV23)

・2000年に7価のタンパク結合型ワクチン(conjugate heptavalent vaccine;PCV7)が開発され、大きなインパクトをもたらした
 →多糖体は2歳以下の小児では免疫原性が乏しく、タンパク結合型にすることで
   このようなhigh-risk age groupに対する予防が可能となった

疫学
・肺炎球菌は全年齢層においてcommonな入院の原因
   [Clin Infect Dis 1998; 26:1124.]
・米国では年間4万人が肺炎球菌感染で死亡。髄膜炎が最も死亡率が高い
   [N Engl J Med 1997 Oct 2;337(14):970-6.、
    N Engl J Med 1993 Jan 7;328(1):21-8.、
    N Engl J Med 2002 Nov 14;347(20):1549-56.]
 髄膜炎患者にデキサメサゾンを投与しない場合、生存者の1/2で神経学的後遺症あり
 →多糖体ワクチンは、これらの死亡の1/2を防ぐ事が出来ると考えられている

・CDCの1998年の推計によれば、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD、肺炎球菌による敗血症や髄膜炎)は米国で年間63,000例 (10万人に対し23例)
 ハイリスク群・・・2歳以下の小児、65歳以上の高齢者、黒人
   [JAMA 2001 Apr 4;285(13):1729-35. ]

・50歳以上の24000人が毎年IPDを発症し、4500人が死亡している
   [JAMA 2005; 294:2043–51.]

・23価ワクチン(PPV23)は成人のIPDに対し、約57%の予防効果
   [JAMA 1993 Oct 20;270(15):1826-31.、
    N Engl J Med 1991 Nov 21;325(21):1453-60. ]
 高齢者においては、原因菌の86%がPPV23に含まれる血清型の肺炎球菌による

・65歳以上の高齢者では、肺炎球菌ワクチンの接種率が増加しているが、まだ足りない
 →CDCの2005年の調査によると、65歳以上におけるワクチン接種率は
   州ごとにばらつきが大きく、中央値で66%(range 28~72 percent)であった
   [MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2006 Oct 6;55(39):1065-8.]

POLYSACCHARIDE VACCINES(多糖体ワクチン)について
・肺炎球菌には莢膜の構造が異なるものが90以上あるため、多糖体ワクチンを作成するに当たってはタイプを絞らなければならない
 →実際に感染症を起こしている頻度が高いタイプを選択

・現在市販されている多糖体ワクチンは以下の2つ;
 Merck社の「Pneumovax 23」
 Lederle Laboratoriesの「Pnu-Immune 23」
 →これらは、23種類の莢膜多糖体抗原を含む
  含まれる血清型…1, 2, 3, 4, 5, 6B, 7F, 8, 9N, 9V, 10A, 11A, 12F, 14,
              15B, 17F, 18C, 19A, 19F, 20, 22F, 23F, 33F
  *各種類の莢膜多糖体抗原が25μgずつ生理食塩水に溶解してあり、
    さらに防腐剤が加えられている
  *米国でIPDを起こす血清型の85~90%をカバーするようにタイプを選んでいる

・効果について
○数多くの研究とmeta-analysesの結果、PPV23はIPD抑制効果があることが分かった
  [JAMA 1993; 270:1826., N Engl J Med 1991; 325:1453.,
   Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.,
   N Engl J Med 2003; 348:1747., Clin Infect Dis 2005; 40:1250.,
   Clin Infect Dis 2006; 43:1004., Clin Infect Dis 2008; 47:1328.]
 ⇔しかしながら、肺炎の予防効果は乏しかった
  [Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.,
   Clin Infect Dis 2008; 47:1328., Lancet 1998; 351:399.,
   CMAJ 2009; 180:48.]
  *一つだけ肺炎予防効果があるという報告あり[Clin Infect Dis 2006; 43:860.].

○2008年のmeta-analysisの結果
   [Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.]:
 IPD予防効果は高い (odds ratio 0.26, 95% CI 0.15-0.46)
 肺炎(肺炎球菌以外も含め)の予防効果は断定できず
 全死亡率の抑制効果はなし

・3415例の市中肺炎で入院を要した患者の検討
   [Arch Intern Med 2007; 167:1938.]
 ⇒入院以前にワクチンを投与されていた患者では、そうでない患者と比較し、
   死亡もしくはICU入室の割合が、40%低かった

・肺炎球菌ワクチンの最大の効果は、IPDの予防にある
 ⇒PPV23は、以下のようなハイリスクグループに投与すべき
  ・免疫が低下している者
    HIV感染者
    悪性腫瘍
    慢性腎疾患
    ネフローゼ患者
    先天性免疫不全患者
    免疫抑制剤を投与されている人(ステロイドを含む)
    脾臓がない人
    臓器移植もしくは骨髄移植後の人
  ・免疫が正常でも、以下に含まれる人
    65歳以上
    64歳以下でも、慢性心疾患・肺疾患(喘息含む)・肝疾患・糖尿病・喫煙者・
              アルコール中毒・髄液漏・人工内耳患者は適応
    また、慢性養護施設などに居住している人も


HIV感染者と肺炎球菌ワクチンについて
・23価ワクチンの効果についての報告あり
 ①ウガンダにおける1392例のHIV感染者(成人)での無作為試験
    [Lancet 2000; 355:2106.]
   ⇒有意ではないが、ワクチン接種者の方で、より重症感染者が多かった
    2.2%(ワクチン群) vs 1.4%(プラセボ群)、HR 1.47, 95% CI 0.7-3.3
    感染を起こした菌の血清型は、88%がワクチンに含まれているタイプであった
    肺炎は、ワクチン群の方が多かった

 ②台湾における、HAART治療中のHIV感染者における前向き検討
     [Vaccine 2004; 22:2006.]
   ⇒肺炎球菌による菌血症の発生率は、23価ワクチン投与者(305例)において、
    非投与者(203例)と比較し、10倍低下した
    ワクチン投与により、肺炎が増加することはなかったし、
    もちろんHIVの進行や死亡率を高めることもなかった

 ③サンフランシスコとアトランタにおける、入院したHIV患者についての
   後向きのcase-control study
     [Arch Intern Med 2000; 160:2633.].  
   ⇒肺炎球菌ワクチンは、CaucasiansではIPDが76%減少(有意)させたが、
    African-Americansではその効果は24%で有意ではなかった
    おそらく、African-Americansではワクチン使用率がもともと低く、
    疾患が進行してから接種されたものも多いためと考えられた

・HIV感染者は菌血症のハイリスク群であり、ワクチン接種が必要なグループと考えられた
・いくつかの報告[Clin Infect Dis 2003; 37:438.]によると
 (全てではないが [Vaccine 2006; 24:2567.])、CD4の数に比例して
 ワクチンへの反応が低下するため、特にHIVの感染初期に投与するほど
 効果が高いと思われる

成人への7価結合型ワクチン(PCV7)

・PCV7の方が、PPV23より高い免疫反応を起こす可能性がある
  [Clin Infect Dis 2008; 46:1015.]

・しかし、成人と小児では頻度の高い血清型が異なるという問題点がある
 ⇒より広いスペクトラムの次世代ワクチンが開発中である

・PPV23では効果に限界があるため、PCVと一緒に使用してはどうか?という意見もある
 ○肺炎球菌に一度感染し、その後治癒した成人を対象に、
  PPV23→PCV(6カ月後)もしくはその逆の接種を行った検討
   [J Infect Dis 2008; 198:1019.]
  ⇒最初の接種後、PPV23群もPCV群も同様のIgG値上昇と
    opsonophagocytic killing activity (OPK)を示した
  ⇔6カ月後には、IgG値はPPV23群で接種前のレベルに戻っていたが、
    PCV群では維持されていた
  →PPV23後にPCVを投与した所、IgG値は初回のようには増加しなかった
   PCV後にPPV23を投与した群では、IgG値とOPKが接種後4-8週間にかけて
   劇的に増加したが、6カ月後にはもとのレベルに戻った
  →ゆえに、今のところ、ブースターとしてPPVとPCVを併用しても、
   長期間の効果は乏しいと考えられる
   また、効果があるのもPCV7に含まれる血清型のみであろう

OTHER VACCINES

・その他の開発中・試験中のワクチン
 9価と11価の結合型ワクチン
・肺炎球菌の特徴は、DNAが簡単に変化し、薬剤耐性が簡単に広まること
   [J Infect Dis 1998; 177:707.]
 遺伝子構造の特徴により、莢膜の構造が簡単に変化する
   [Microb Drug Resist 1998; 4:11.]
 →ワクチンの効果もすぐに減少する可能性あり
   [Crit Rev Microbiol 1991; 18:89.].


適応
・PCV7は小児用、PPV23は成人用ということになっている
・しかし、供給が増えればPCV7も成人に使用して良いだろう
・PPV23の適応は上記

・米国のCDCの2009年のワクチン計画では、喫煙者と喘息患者もPPV23接種が推奨された
   [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2008; 57:53. ]
 禁煙も推奨された [JAMA 2008; 300:2713. ]

・以前IPDにかかった人も当然接種の適応
 → しかし、明確な推奨にも関わらず、
   米国では65歳以上の63%しか接種していない(2002年)
     [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2003; 52:965. ]
 ⇔ まあ、1995年には34%だったので、改善はしている
     [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2000; 49(SS-9):39. ]

・ちなみに1995年には、
 若年者のハイリスク群の接種率は18~49歳で12%、50~64歳で20%だった

・2003年の費用対効果の検討では、50歳以上に全てワクチン接種した場合、
 特にAfrican Americansでは効果が高いと報告された
   [Ann Intern Med 2003; 138:960.]

・50~64歳の健康成人にはどうしたら良いかは、よく分かっていない
 再接種もよく分からない(一応不要となっているが)

・PCVが喘息患者で肺炎を抑制するかは、よく分かっていない
   [Cochrane Database Syst Rev 2002; :CD002165.,
    J Gen Intern Med 2007; 22:62.]

・COPDでも死亡抑制効果があるかは分かっていない
   [Cochrane Database Syst Rev 2006; :CD001390.]
・65歳以上のCOPD患者には推奨されている 
   [NEJM 2003;348(18):1747-55., Chest 1990;97(1):75-83]
・65歳以下でも、%FEV1<40%の患者では市中肺炎を抑制することが報告されている 
   [Thorax 2006;61:189-95]
 →596例のCOPD患者を対象とした検討
   PPV接種群(298例)と非接種群(298例)の前向き検討(平均979日間)
   ⇒患者全体では肺炎の予防効果は明らかではなかった
   ⇔65歳未満の患者では、76%の発症頻度減少効果あり
    特に65歳未満の%FEV1<40%の重症患者では、90%の肺炎減少効果あり
・COPD患者では、PPV23(23価ワクチン)よりもPCV7(7価結合型ワクチン)の方が、
 接種1ヶ月後の免疫応答を高める可能性あり
   [AJRCCM 2009;180:499-505]

・Active Bacterial Core (ABC) surveillance-Emerging Infections Program Networkによる、ワクチンで防げる死亡の推測[Clin Infect Dis 2006; 43:141.];
 2001~2003年において1878例の IPD症例があり、
 うち1558例 (83%)はワクチンの適応基準を少なくとも一つは満たしていたが、
 590例 (38%)のみしかワクチンを接種していなかった
 →現行のワクチン推奨基準を守る事で、21%は予防できたと計算
  さらに多くを予防するための新たな基準は以下
 * 50歳まで年齢基準を下げると、5~7%低下
 * 喫煙者を基準に含むと、1.5~2.5%低下
 * 既喫煙者を含むと、0.4~0.7%低下
 * 黒人を含むと、1.0~1.4%低下
 * 喘息を含むと、0.3~0.4%低下

・再接種について
 ○必要な人
  65歳以上で、5年前(その時は65歳以下)に一度接種を受けている人
  免疫不全者(上記)
   [JAMA 2001; 285:1729.,
    MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2003; 52:965. ]
 ○不要な人
  65歳以下
  *健常者の場合、前回接種から5年以上経ったからというだけでの再接種は不要


ワクチン投与の実際
・肺炎球菌ワクチンは0.5 mL筋肉注射⇔皮下注射は局所副反応が強いのでダメ
・インフルエンザワクチンなどと同時に投与して良いが、場所は分ける
  [Arch Intern Med 1996; 156:205.]
・2~3週間以内に、ワクチンの血清型に対する特異抗体が2倍以上になれば成功といえる(実際には調べたりしないが・・・)
・抗体の血清濃度が肺炎球菌感染の頻度と相関するかは分かっていない
・健常成人では、抗体上昇は5年間は持続する→10年という人も
   [Am J Med Sci 1987; 293:279.]
 ⇔9年以上たっても予防効果が落ちないという報告あり
   [JAMA 1993; 270:1826.]

・再接種後の効果や副作用のデータが不十分なため、免疫正常であればルーチンの再接種は必要ない(The Advisory Committee on Immunization Practicesの勧告)
・アラスカ原住民における検討では、複数回接種の副作用は特に無い
  [Clin Infect Dis 2005; 40:1730.]

・1回だけの再接種が勧められている場合;
 65歳以上の成人で、5年以上前に接種しており、その時65歳未満だった場合
 免疫不全の患者で、5年以上前に1度接種している人
  [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2003; 52:965. ]

副反応
・PPV23接種者の1/3で軽度の局所反応が生じる
 →疼痛、紅斑、腫脹 
  たいてい48時間以内に消失する
    [Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.]

・中等度(発熱、筋肉痛)~高度(硬結)の副反応は稀
・PCV7も同様
・5年以上経った後のPPV23再接種では、副作用のリスクは増加しない
・アラスカでの検討[Clin Infect Dis 2005; 40:1730.]
 3回以上接種した人の副作用発現率は1/179 (0.6%)、
 1~2回接種の人の副作用発現率4/81 (2.8%)

・他のワクチンとの同時接種は安全でかつ効果的
  [Arch Intern Med 1996; 156:205.]




以上、長々としたノートでした。
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