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ある有名な先生と、月に一度研究ミーティングをさせて頂いています。
今日がその日だったのですが、準備⇒緊張⇒ディスカッション⇒終了後の脱力感、という流れが、まるでスポーツの様です。
あぁ、疲れた・・・

さて、スタチン続きということで。
スタチンを服用していて肺炎になった人は、服用してなくて肺炎になった人よりも死亡率が低いというもの。


Preadmission Use of Statins and Outcomes After Hospitalization With Pneumonia
Population-Based Cohort Study of 29 900 Patients

Arch Intern Med. 2008;168:2081-2087. 
(デンマーク←9月にシンポジウムで行ったばかり。綺麗な国でした)

Background
・いくつかの報告から、スタチンは重症感染症の予後改善効果の可能性が言われている。
・肺炎については、pro/conあり、議論のあるところ
・入院前にスタチンを服用している患者において、肺炎に伴う死亡率・菌血症・肺合併症が減少するか、検討した

Materials and Methods
・北部デンマークにおいて、肺炎で初めて入院した成人患者29900例を対象(1997.1.1~2004.12.31)
・レトロスペクティブに、statinとその他の薬剤の使用、合併症、社会・経済的背景、血液データ、菌血症、肺合併症、死亡について、記録を検討
・スタチン服用者と非服用者において、以下の検討を行った
 90日間の調整死亡率比(adjusted mortality rate ratios)
 菌血症のリスク比
 入院後の合併症のリスク比

Results
・肺炎患者において、1371例(4.6%)がcurrent statin usersだった
・スタチン服用者において、非服用者より死亡率が低かった
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                              m3.comより
 30日間:10.3% vs 15.7%
  adjusted 30-day mortality rate ratios 0.69 (95%CI, 0.58-0.82)
 90日間:16.8% vs 22.4%
  adjusted 90-day mortality rate ratios 0.75 (95%CI, 0.65-0.86)
・スタチン服用による死亡率の減少効果は、さまざまなサブグループ(菌血症患者、80歳以上の高齢者など)で解析しても保たれていた
・スタチンの服用歴(現在は服用していない)、心血管系保護作用があるとされるその他の薬剤(アスピリン、ACE阻害剤、ベータブロッカーなど)の服用は、肺炎による死亡率減少に強く関与しなかった

・敗血症の調整リスク比:有意差なし
 1.07 (95%CI, 0.69-1.67)
・肺合併症の調整リスク比:有意差なし
 0.69 (95%CI, 0.42-1.14)

Conclusion
・スタチン服用は、肺炎によって入院した患者において、死亡率の低下をもたらす


スタチンと感染症のレビューはないかな・・・と思ってググッたら、一発で出てきた!!
すごいぞ、Google!


感染症および敗血症に対するスタチン:臨床的エビデンスの系統的レビュー
Journal of Antimicrobial Chemotherapy (2008) 61, 774–785
レトロスペクティブな検討ばかりなのが問題のようです。

感想
スタチン、ある種類の癌を減らすかもしれないとも言われており、なんか恐ろしいです・・・
ちなみに、「スタチンが癌を増やす!」というのは都市伝説です。
JAMAの2006年だったかに、meta analysisがありました。
それによると、減らしもしませんでしたが・・・
スタチンのいろんな機序については、いずれ時間ができたら勉強しよう。

日本人として、遠藤章氏に拍手!
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いつもコメントいただいている、Dr.kからの投稿です。
どうもありがとうございます。
このお方は、いつか世界に羽ばたく人だ(・・・かもしれない)と思うのですが、
その前に急激な老化のため寿命を迎えてしまうかもしれない・・・とも思うお方です。

COPDと動脈硬化とスタチンと予後の話。
peripheral arterial disease(PAD)って何の事かと思いましたが、日本で言うASOでした。海外と呼び方が異なるんですね。

Effect of statin therapy on mortality in patients with peripheral arterial disease and comparison of those with versus without associated chronic obstructive pulmonary disease.
Am J Cardiol. 2008 Jul 15;102(2):192-6. (オランダ)

Background
・スタチン製剤は抗炎症作用を持つ為、peripheral arterial disease (PAD)の患者によく使用されている。
・PADとchronic obstructive pulmonary disease (COPD)はどちらも炎症が深く関与する疾患であり、COPDの患者にもスタチン製剤の効果が期待される。

Purpose
・PADの為に外科手術を施行された患者で、スタチン投与と死亡率の関係をCOPDあり・なし群に分けて検証する。

Materials and Methods
・観察期間:1990~2006年 
・腹部大動脈 or 頚動脈 or 下肢動脈での手術を受けた患者3371人について、レトロスペクティブに検討。
⇒COPDの有無・スタチン投与の有無で分類
 COPD (+): 1310人⇒ statins: 330人、no statins: 980人
 COPD (-): 2061人⇒ statins: 480人、no statins: 1581人

・スタチンの用量も分類して検討
 ①low dose (<25% of maximum dose)
 ②intensive dose(>25% of maximum dose)

・End points:①short mortality (30 day) ②long mortality (10 year)

Results
・短期・長期ともに、スタチン投与群で死亡率が低かった。もちろん、COPDはない方が良い結果。
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                             クリックで拡大
・PAD with COPD群で スタチン製剤投与により短期・長期生存率 up (ただし、low doseは短期生存は改善せず)。
 短期: odd ratio 0.48、95%CI 0.23-1.00
 長期: hazard ratio 0.67、95%CI 0.52-0.86
・PAD without COPD群でもスタチン製剤投与により短期・長期生存率 up
 短期: odd ratio 0.42、95%CI 0.20-0.87
 長期: hazard ratio 0.76、95%CI 0.60-0.95

Conclusion
・PAD with COPD群の方が、PAD without COPD群より死亡率が高い。
・PAD with COPD群、PAD without COPD群どちらもスタチン製剤は短期・長期生存率の向上に有用である。
・PAD with COPD群では、low doseよりもintensive doseの使用が推奨される。

感想
詳しく本文を読んでいませんけど、交絡因子がいろいろありそうで、なかなか難しいと思いました。スタチンはどこにでも出てくるなぁ・・・

Dr.k、投稿ありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。
他にも、こんな面白い情報があるという方がおられましたら、連絡ください~

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by tobbyK | 2008-10-31 14:53 | COPD
「COPD急性増悪患者のうち、重症以外には抗生剤は不要なんじゃないの?」
しかし、本音はそこにはない感じの論文です。

Where is the supporting evidence for treating mild to moderate chronic obstructive pulmonary disease exacerbations with antibiotics? A systematic review
BMC Medicine 2008, 6:28 (スイス)

Background
・臨床判断において、薬剤 vs 薬剤のRCTは非常に役立つ情報となる。
・もちろん、これはプラセボとのRCTで、薬剤の有用性を確認してからの話である。

Purpose
・軽症~中等症のCOPD急性増悪患者を対象に、「抗生剤 vs placebo」と、「抗生剤 vs 抗生剤」のRCTのレビューを行う。

Materials and Methods
・historical systematic review
・1957~2005年の間の文献を、以下のデータベースから検索
 Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL, 2005 issue 4)
 PREMEDLINE (1960 to 1965)
 MEDLINE (1966 to March 2006)
 EMBASE (1974 to March 2006)
 the Database of Abstracts of Reviews of Effects (DARE, March 2006)

Results
抗生剤 vs 抗生剤のRCTは1963年に初めて施行されて以降、劇的に増加していた
 →トータルで101件のトライアル、34,029例の患者が参加
抗生剤 vs placeboのRCTは7件しかなく、患者も少数だった
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・抗生剤 vs placeboのRCTのmeta-analysisを行ったところ・・・
 →実は「治療失敗率」の有意差は出ていなかった・・・
 odds ratios:
  最も良い結果で0.39(95%CI 0.04-4.22)
  最も最近の結果で0.81 (95%CI 0.52-1.28, P=0.37)
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                         傾向はありそうなんだけど・・・
⇒基礎となる「抗生剤 vs placebo」のデータが確立していないため、「抗生剤 vs 抗生剤」の検討は無意味。

Conclusion
・COPD急性増悪(重症以外)に対する、抗生剤投与の有効性は確認されていなかった
→それじゃあ、いくら抗生剤 vs 抗生剤の試験をやっても無駄じゃないの?という結論。


ちなみに
GOLD 2007では・・・

COPD急性増悪時の抗生剤投与の基準:
①以下の3つの症状がある時:
 息切れの増悪 
 喀痰の増加
 痰の膿性の増悪  
 ⇒Evidence B:「RCTはあるが、数が少ない」 というレベル
②上記のうち2つしか満たさないが、そのうち1つが「痰の膿性の増悪」の場合
 ⇒Evidence C:「観察研究しかない」レベル
③mechanical ventilationが必要な場合(invasive or noninvasiveどちらでも)
 ⇒Evidence B

*病原体はウイルス、細菌いずれもあり
 →多いのはH. influenzae, S. pneumoniae, M. catarrhalis
*Mycoplasma pneumoniaeやChlamydia pneumoniaeの報告もあるが、診断の難しさから正確な頻度は不明である。

感想
「COPDの急性増悪に、抗生剤を使用しては駄目!」という論文ではないと思います。
「科学的に必要な手順を踏んでないんじゃないの?あんたたち!」という指摘、叱責、または皮肉、もしくは嫌味・・・Discussionにも、「倫理委員会もしくは研究費をつける検討委員会は、新しいスタディを承認する前に、科学的な根拠をもっと明確にすべきだ!!」とありました。おっしゃる通りだけど・・・

しかし、Placebo-controlled trialsがこんなに少なかったとは、意外でした。勉強不足。
この証明はやってみたいですが、RCTをやる勇気はなかなか湧かない・・・
このtrialが少ないのは、多くの医師が同じような感覚をもっているためだと思われます。
科学的に必要なのは確かに分かるが・・・うーん
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by tobbyK | 2008-10-30 19:05 | COPD

「ティアニー先生の診断入門」

「誰も教えてくれなかった診断学」

「オランダには何故MRSAがいないのか? -差異と同一性を巡る旅」


現在勤務中の病院では食堂の隣に本屋があるので、昼食時に本屋に寄り、「薄くて良さそうな本」があればつい買ってしまいます。昼食、アルバイト中、トイレの中くらいでしか読んでませんが・・・
3冊ともすぐに読めて、大変すばらしい本でした。


ただ、ティアニー先生を紹介するときにしばしば用いられる、「メジャーリーガー医」という言葉は発想が安易な上に伝わりにくく、嫌いです。(以前はメジャーリーグのスポーツドクターのことかと思ってました。ジョーブ博士とか?)

弱くても阪神好きな関西人はいっぱいいますしね。
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by tobbyK | 2008-10-30 06:18 | 徒然
呼気NOの使い道がこんなところにもあったとは。
肝肺症候群については過去のお勉強ノートにちゃんと書いていたのに・・・すっかり忘れていた。

Alveolar Exhaled Nitric Oxide is Elevated in Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia
Lung. 2008 Oct 24. [Epub ahead of print] (カナダ)

Background
・肝肺症候群では、肺の微小血管が拡張しており、肺内シャントを生じる。
→このような患者では、呼気NOが高い事が分かっている
→肺胞毛細血管のNO産生上昇による
・肺胞毛細血管のNO過剰産生が、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT、30-45%に肺動静脈奇形が認められる)において、同様の機序でシャント生成に関与していると予想。

Prupose
・HHT患者において、呼気NOが高いことを確認する。

Materials and Methods
・HHTの診断基準を満たした患者58例と、非喫煙の正常コントロール49例について検討

Results
HHT患者のプロフィール
・遺伝子検査の結果
endoglin mutation:23/54 (42.6%)
activin receptor-like kinase-1 (ALK-1) mutation:17/54 (31.5%)
SMAD4 mutation:3/54 (5.6%)
no mutations:11/54 (20.4%)
・29/58例が過去に明らかな肺のAVM指摘

呼気NOの結果
・呼気NO(200 ml/s expiratory flow rate)を計測
HHT:58例 12±3.5 ppb
非喫煙者の正常コントロール:49例 10.5±3.2 ppb
→有意差あり(p=0.02)

*HHT内での肺AVM(+)と(-)の比較では有意差なし
*多血症を伴いやすい疾患だが、HbとNOの相関はなし

Conclusion
・HHTでは、肺毛細血管でのNO産生が増加しているのだろう。
→これが肺AVMの形成に関与しているかもしれない。


☆過去の勉強ノートから抜粋

①肺動静脈瘻(pulmonary AVM)
・HHTを見たら30%に肺AVM、肺AVMを見たら60-90%にHHT
・常染色体優性遺伝なので、家族のフォローも大切
・下葉、中葉、舌区に多い

「診断基準:Curacao criteria」
1.繰り返す鼻出血
2.皮膚や粘膜の毛細血管拡張(口唇、口腔、指、鼻)
3.肺、脳、肝臓、脊髄、消化管の動静脈奇形
4.家族歴…一親等以内にこの病気あり
→満たす項目:≧3つ:definite、2つ:probable、1つ:unlikely

・分類
単純型:80%。1本の肺動脈が、静脈性の拡張部(nidus)を介し、直接肺静脈につながる
複雑型:20%。複数の肺動脈が、nidusを介して、数本の肺静脈につながる

・合併症
脳梗塞・TIA、脳膿瘍→この辺の合併症のため、死亡率10%
喀血

・治療
径3mm以上ならコイル塞栓、10mm以上ならOpeも検討
その他、部位、個数なども考慮

肺AVM・HHTは、過去2例しか経験がありません(両方ともコイル塞栓)
素晴らしい日本語のサイトあり

http://web.mac.com/masakomiyama/Kodomo/welcome.html

②肝肺症候群
・診断基準
1.肝機能異常:肝硬変が最も多いが、必ずしも重症度と相関しない
2.肺内血管拡張:コントラスト心エコー、血流シンチなど
3.低酸素血症:A-aDO2>15-20mmHg。立位での低酸素血症の増悪、呼吸困難の増悪が見られる事が多い(orthodeoxia)
→3項目満たすと診断

・病態生理(Lancet 363:1461-1468, 2004)
[仮説1]
肝障害
→門脈圧上昇
→腸管血流の変化
→腸管内におけるグラム陰性菌やエンドトキシンのtranslocationの増加
→tumor necrosis factor-α(TNF-α)、heme oxygenase由来のCOおよびNOなどの産生増加
→毛細血管血管拡張に働く

[仮説2]
肝肺症候群の動物実験モデルにおいてエンドセリンB受容体の増加
→NO産生の増加
→肺内血管の拡張
*肝肺症候群患者の呼気中NO濃度は上昇しており、肝移植後に正常化した。また、呼気NO高値とA-aDO2の開大が、正の一次相関を示したとの報告あり (Hepatology 26:842-847, 1997)
*メチレンブルーでNOの生成を抑制したところ、患者のシャント量と低酸素血症が改善したとの報告あり

・予後
メイヨークリニックの22名の肝肺症候群患者の診断後平均2.5年間の観察期間で、死亡率は41%であった(Chest 104:515-521, 1993)

肝移植評価の為入院した111名の慢性肝疾患患者において、27名(24%)に肝肺症候群が見られ、肝肺症候群の平均余命は10.6ヶ月で、肝肺症候群なしの患者の40.8ヶ月より有意に短かったという報告あり(文献記載なし)

肝肺症候群の存在は、年齢、Child-Pugh分類、血中尿素窒素とともに予後規定の独立因子であり、死亡率は肝肺症候群の重症度に相関していた報告あり(文献記載なし)


・・・いずれも、遭遇する機会は少ない疾患ですが、普通に呼吸器の臨床をしていれば必ず出会う疾患でもあると思います。時々思い出さないと。
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FDG-PETは、悪性腫瘍の活動性・重症度と相関すると言われています。
小細胞肺癌のLDにおいて初期治療後に病変らしき陰影が残存している時、どうするか悩んだ経験があり、この論文を読んでみました。

Prognostic Significance of (18) F-Fluorodeoxyglucose – Positron Emission Tomography AfterTreatment in Patients With Limited Stage Small Cell Lung Cancer
Clinical Medicine & Research 2008;6(2):72-77 (米国)

Background
・小細胞肺癌は、肺癌の15%~25%を占める。
・初期治療が奏効しても、再発が多く長期予後は不良である。
・正確な治療反応性の評価は重要
 どの患者に追加治療が必要で、どの患者には不要か見極めるため。
・18FDG-PETは、壊死・線維化組織と癌遺残の鑑別に有用であり、治療の必要性や予後の予測が可能かもしれない。

Materials and Methods
・Retrospective chart review study
・Marshfield Clinic, Marshfield, Wisconsinにおいて。2001年12月1日~2007年12月31日まで。
・limited stage SCLCで、化学療法施行後4ヶ月以内にPETを撮影している症例を対象。

Results
・22例(~7%)が治療後にPET撮影されていた:
 陽性11例、陰性11例
・化学療法施行からPET撮影までの期間の中央値は、36 days(range, 3 to 125 days)
・Median follow-up:34.4 months (range, 6.8 to 65.9 months)

・progression-free survivalの中央値
 全例…8.1 months (95%CI, 4.3 to 11.9 months)
 PET陰性群…10.5 months(95%CI, 8.1 to >57.8 months)
 PET陽性群…4.3 months(95%CI, 2.8 to >7.2 months)
 →有意差あり!(P<0.007, log-rank test)
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・survivalの中央値
 全例…19.2 months (95%CI, 10.3 to >65.8 months)
 PET陰性群…29.2 months
 PET陽性群…10.3 months
 →有意差あり!(P=0.10)
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Conclusion
・LDのSCLC患者において、治療後のPETは予後予測に有用である。

感想
症例数が少なく、初期治療後の治療内容についても詳細に論文を読んでないので分かりませんが・・・理屈には合っていると思います。一つの指標になるとよいと思いました。
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「誰も責める気はない」


言葉もありません。

似たような経験を思い出します。


人のせいにするのはやめよう。

また、頑張ろう。
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by tobbyK | 2008-10-28 03:25 | 徒然
前回のサルコイドーシスに引き続いて、また「うつ」ネタ。
COPDにうつや不安が合併するのは有名な話ですが、「うつや不安が、COPD増悪の原因になっているかもしれない」という話です。

Independent Effect of Depression and Anxiety on Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations and Hospitalizations
Am J Respir Crit Care Med Vol 178. pp 913–920, 2008 (北京)

Background
・うつと不安は、COPDの重要な合併症であり、それらは治療の余地がある。
・これらは、急性増悪に影響していないか?

Prupose
・うつと不安が、COPDの急性増悪・入院に対し、独立した危険因子かどうかを検討する

Materials and Methods
・multicenter prospective cohort study
・中国で、491例の臨床的に安定しているCOPD患者について前向きに検討
・うつと不安は、ベースラインでHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)に基づき検討
・その他の検討項目
 sociodemographic、clinical、psychosocial、treatment characteristics
・12ヶ月間、1ヶ月おきにモニター
・Exacerbationの定義
 symptom-based definition:
  worsening of >1 key symptom
 event-based definitions:
  >1 symptom worsening + >1 change in regular medications
・adjusted incidencerate ratios (IRRs)の検討のために、多変量ポワソン分析
・adjusted effects on duration of events(増悪のトータルの日数)の検討のために、多変量直線回帰分析

Results
・symptom-basedで876回、event-basedで450回の急性増悪が認められた
 これらのうち、183回で入院あり

Probable depression(HADS depression score > 11)は、nondepression (score < 7)と比較した場合、以下のイベントの独立した危険因子だった
●symptom-based exacerbations: adjusted IRR, 1.51; 95%CI, 1.01–2.24
●event-based exacerbations: adjusted IRR, 1.56; 95%CI, 1.02–2.40
●hospitalization: adjusted IRR, 1.72;95%CI, 1.04–2.85


・event-based exacerbationsの期間は、probable anxiety (HADS anxiety score>11)のほうが、no anxiety (score < 7)と比較して、1.92 (1.04–3.54)倍長かった

Conclusion
・うつは、COPD急性増悪・入院の原因になっている可能性が示唆された
・増悪期間の長さについては、不安の関与も示唆された
・精神科受診や抗うつ薬で改善するのか、今後の検討が必要

感想
「病は気から」といいますが、「病から気が出て、また病に還元されて・・・」という感じでしょうか。
個人的な臨床感覚とは良く合う気がします。
介入試験を見てみたいものです。
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by tobbyK | 2008-10-27 16:03 | COPD
今年の9月に開かれたヨーロッパ臨床腫瘍学会(ESMO)第33回大会で、以下のような話があったとのこと。
・進行した転移癌の患者での有症状VTEの発生率は9%である
 ⇔しかし無症状のVTEの発生率は50%を超える
・VTEは見つかりにくく、病院で死亡する患者の70%から80%はPEの診断を受けることはない
 ⇒ハイリスクグループをうまく抽出し、適切な血栓予防を行うべきだ


癌患者への血栓予防療法で予後が延長するという話は、東北大学の先生方が言われていたように記憶しています。

Development and validation of a predictive model for chemotherapy-associated thrombosis
Blood, 15 May 2008, Vol. 111, No. 10, pp. 4902-4907. (米国)

Background
・癌があるとvenous thromboembolism (VTE)のリスクは高まる。
・癌で入院している患者(特に手術を受ける患者)に対しては、予防を行うべきとされている。
・しかし、外来癌患者においては、どうすべきかよく分かっていない。現在用いられているrisk factorからは、これらの患者において、high-risk groupを分類できない。

Prupose
・外来で化学療法を行う癌患者において、ベースラインの臨床情報からhigh-risk groupを予測する予測式を作成する

Materials and Methods
・prospective study
・2701の外来癌患者を対象⇒VTE発症の独立因子を抽出(derivation cohort)
・上記の結果からrisk modelを作成し、1365例の独立した外来癌患者で検証(validation cohort)

Results
・derivation cohort
 5つのpredictive variablesが多変量modelから得られた
 ①site of cancer:2 points for very high-risk site, 1 point for high-risk site
 ②血小板≧35万:1 point
 ③Hb<10 g/dL、もしくはerythropoiesis-stimulating agentsを使用している:1 point
 ④白血球≧11000:1 point
 ⑤BMI≧35 kg/m2:1 point

 ⇒low-risk (score=0)、intermediate-risk (score=1-2)、high-risk (score > 3)
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・VTEの発生率(2.5ヶ月間で)
 derivation cohortで…low:0.8%, intermediate:1.8%, high:7.1%
 validation cohortで…low:0.3%, intermediate:2%, high:6.7%

Conclusion
・このモデルにより、短期間内の有症状VTE発症リスクを予測できる
・こういう患者は、血栓予防を行うべき

感想
いいですね、こういう研究。
肺癌はハイリスク。気をつけなければいけません。
元血液内科医として、「Blood」はなんとなく親近感のある雑誌です。
研修医1年目の時は、これと「NEJM」しか読んでなかった・・・

☆本日はH大先生の結婚式ということで、おめでとうございました!!
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感染症とステロイドについてはこれまでも多くの文献を読みました。pro/con色々ありますが、過剰応答を抑えるのは一つの方法論としてアリだと思います。

Methylprednisolone pulse therapy for refractory Mycoplasma pneumoniae pneumonia in children
Journal of Infection 2008;57(3):223-228  (西神戸医療センター

Prupose
・小児マイコプラズマ肺炎で、初期抗生剤投与に反応性不良であった症例に対する、methylprednisolone(mPSL) pulse therapyの効果の検討

Materials and Methods
・Refractory patientsの定義
 7日間以上の適切な抗生剤投与にもかかわらず臨床データ・画像上悪化している
・1998年~2006年の間に、6例の小児(male/female: 3/3、aged 3–9 years)が該当
 *この間、190例のマイコプラズマ肺炎の小児が入院していた

Results
・これらの症例において認められたデータ
 cytopenia
 LDH上昇
 フェリチン上昇
 尿中β2-microglobulin上昇
 →高サイトカイン血症によるものと考えられる

・methylprednisolone(mPSL)
 容量 30 mg/kg 
 静脈投与
 1日1回、3日間連続
 投与開始日 10.2±2.8日目から(mean±SD)

⇒効果
  全例で、mPSL投与開始4-14時間後に解熱
  画像上、肺炎像・胸水も速やかに改善 
  その他のデータも速やかに改善
  副作用なし


Conclusion
・小児で3日間のステロイドパルスの有効性を示した最初のケースシリーズスタディ
・抗生剤不応マイコ肺炎に対し、有効な治療法である

感想
マイコプラズマについては、細菌そのものの直接毒性よりも、過剰な免疫応答のほうが問題であるという話を聞いたことがあります。理論的にはよい方法だと思いますし、症例数は少ないものの、良い結果ですね。
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