カテゴリ:マクロライドシリーズ( 8 )


前回はcystic fibrosisと気管支拡張症まででした。

今回は、COPD、慢性副鼻腔炎、喘息について。


*感染症以外のマクロライド臨床試験の続き*
 ~COPD、慢性副鼻腔炎、喘息~

3.Chronic obstructive pulmonary disease
・[Respir Med 2005; 99: 208–215.]
対象:中等症~重症COPD 67例   
方法:clarithromycinとプラセボのprospective double-blind randomised controlled trial
     3カ月のclarithromycin therapyの、健康状態・増悪回数・痰の菌数に対する検討
結果:St George’s Respiratory Questionnaire symptom scoreと36-item short-form health survey physical function score で有意差あり。その他はなし。

・WILKINSON et al. [Thorax 2007; 62: Suppl. 3, A15.]
対象:109例のCOPD
方法:erythromycinとプラセボの比較(1年間)
    増悪の治療回数をprimary outcome
結果:placeboで増悪の治療回数多い(odds ratio 1.48; p=0.004)

・COPDへのmacrolide therapyの研究は、とても少ない (クリックで拡大)
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 →大規模な検討が望まれる


4.Chronic rhinosinusitis
・いくつかのopen-label studiesあり
 Acta Otolaryngol Suppl 1996; 525: 73–78.
 Otolaryngol Head Neck Surg 2002; 126: 481–489.
 Acta Med Okayama 1997; 51: 33–37.

・[Otolaryngol Head Neck Surg 2002; 126: 481–489.]
対象:17例の慢性副鼻腔炎術後患者
方法:prospective open-label study
    erythromycin treatment
結果:3・12カ月のフォローで、サッカリンテストと症状の改善(鼻閉・頭痛・鼻炎)を認めた

・最初のdouble-blind randomised placebo-controlled study 
  [Laryngoscope 2006; 116: 189–193.]
対象:慢性副鼻腔炎64例
方法:low-dose macrolide therapy in chronic rhinosinusitis
    3 months’roxithromycin treatment
結果:rhinosinusitis-specific quality-of-life scores
     (20-item Sino-Nasal Outcome Test (SNOT-20))
    saccharin transit time
    nasal endoscopic scoring
    nasal lavage levels of IL-8
  において、有意な改善あり
    *IgEレベルが低い患者で、より良いアウトカムが得られた
    *治療中止後3カ月のときに、SNOT-20再評価→また悪化していた
    →すばらしい結果だが、もう少しスタディが必要


5.Asthma

・randomised double-blind placebo-controlled trialsが結構あり(クリックで拡大)
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・機序
 direct antimicrobial activity
 alteration of steroid metabolism
 anti-inflammatory effects         [Eur Respir J 2004; 23: 714–717.]

・初期のスタディ
1.oral steroid-dependent asthmaticsへのtroleandomycin
  → steroid-sparing roleがあることを報告
 ZEIGER et al.のopen-label study [J Allergy Clin Immunol 1980; 66: 438–446.]
 ステロイド減量中でも、症状と呼吸機能の改善認められた

2.KAMADA et al.    [J Allergy Clin Immunol 1993; 91: 873–882.]
 18 severe steroid-dependent asthmatic children
 → troleandomycin + methylprednisolone group の方が、
    placeboより必要とする経口ステロイド量が少なかった
  *FEV1の改善は認められず

3.Troleandomycinがmethylprednisoloneの排泄を遅らせるという報告あり 
    [J Allergy Clin Immunol 1980; 66: 447–451.]
→しかし、75例のsteroid-dependent asthmaticsに対して、2年間のtroleandomycin±methylprednisoloneのdouble-blind placebo-controlled trialでは、ステロイドの減量・喘息のコントロールに差がなかった
*さらに、骨粗鬆症がマクロライド群で多かった  [Am Rev Respir Dis 1993; 147: 398–404.]
  (最初にも紹介しましたが、残念な研究結果)


*ここでクラミジアやマイコプラズマの話が出てくる・・・
・atypical organisms(クラミジアやマイコプラズマ)による慢性感染が喘息の重症度に影響するとの報告あり
              [J Allergy Clin Immunol 2001; 107: 595–601,
               Allergy Asthma Proc 2000; 21: 107–111.]

*Mycoplasma pneumoniaeもしくはChlamydia pneumoniaeのserological or PCR evidenceがある患者に対しての検討;
1.BLACKら [Am J Respir Crit Care Med 2001; 164: 536–541.]
 C. pneumoniaeの血清学的な診断をされた232人の喘息患者に対して、
 6週間のroxithromycinとplaceboを比較
 →primary end-pointsである朝の平均PEFと症状scoreに差ナシ
   6週間後の夕方のPEFはマクロライド群で良好だったが、さらにその後6週間のfollow-upでは差ナシ

2.KRAFTら [Chest 2002; 121: 1782–1788.]
 BAL液でM.pneumoniae or C.pneumoniaeのPCR陽性であった喘息患者は、陰性であった患者と比較し、マクロライド投与後のFEV1が著明に改善した

→この2つの研究結果の差は、M.pneumoniae or C.pneumoniaeの感染症診断のgold standardがないことによると思われる
 *特にBLACKらの研究では血清診断のみなので、慢性感染なのか既感染なのか分からない
 *KRAFTらはPCRを用いているので、本当に感染している人を選別できていると思われる
 *また、吸入ステロイドを使用したかどうかの違いもある→KRAFTでは30%、BLACKでは75%
 

*気道過敏性改善効果についての報告

1.最初のstudy
 17例のallergy-induced asthmaで、血液と各痰の好酸球が減少し、クラリスロマイシンの抗炎症効果が示唆された[Ann Allergy Asthma Immunol 2000; 84: 594–598.]
 経口もしくは吸入ステロイド使用中の患者はは除外

2.800mg/日のbudesonideを吸入中の患者での臨床試験
 血清のfree cortisol levelsは、clarithromycinで変化ナシ。
 →ステロイド代謝への影響ではないのでは?[Eur Respir J 2004; 23: 714–717.]

3.erythromycin、roxithromycin、azithromycinでも、気道過敏性改善が認められたという報告あり 
             [Chest 1991; 99: 670–673., Chest 1994; 106: 458–461.,
              J Asthma 2002; 39: 181–185.]

4.気道過敏性改善しなかったが、良かったという報告
 SIMPSON et al.  [Am J Respir Crit Care Med 2008; 177: 148–155.];
  難治性喘息患者において、マクロライド投与によりQOLの改善と喘鳴の減少
   ⇔気道過敏性とFEV1では改善ナシ
  QOLの改善は、喀痰中の好中球数・IL-8・好中球エラスターゼの値と相関していた
   →non-eosinophilic asthmaticsにおいて、これらの現象が著明であった
 *対象患者数が少なく、期間が短い(12週)ため、すべての患者に当てはまるとはいえない


・・・それで結局・・・
・Cochrane review of RICHELDI et al.
 「chronic asthmaに対するマクロライドのevidenceは不十分」とされた
            [Cochrane Database Syst Rev 2005; Issue, 4: CD002997.]


*その後、ケトライドの話が出てくる
・JOHNSTON et al. [N Engl J Med 2006; 354: 1589–1600.]
 ketolideであるtelithromycinの、喘息増悪に対する効果を検討
 double-blind placebo-controlled study
 278の成人症例を対象⇒telithromycinもしくはプラセボ10 days
 →primary outcomes:喘息症状、自宅で測定するPEF
 →治療群において、喘息症状が有意に改善(p=0.004)
   自宅測定PEFは有意差なし
   symptom-free daysは増加 (16 versus 8%; p=0.006)
   治療終了時の呼吸機能検査(FEV1, PEF, FVC and FEF25-75)は、治療群で改善
       ⇔6週後のフォローでは有意差なし.   
   *C. pneumoniaeもしくはM. pneumoniae感染が61%で認められた
     →telithromycinへの反応性とは関連がなかった
   *Nauseaがtelithromycinの副作用として多かった(p=0.01)
     その他、肝酵素上昇が2名
 ⇒ketolideも良いかもしれない
  C. pneumoniaeやM. pneumoniaeの感染率が高かったことから、
  抗菌効果も機序として予測される





・・・やはり質の高いエビデンスが不十分という結果。

ですが、どの疾患においても少し光が見えるような研究結果が得られています。

そして、そのほとんどが海外のデータです。

「日本でだけ行われている有害な治療法」らしいのですが、その日本からの報告は少ないというのも、興味深いですね。ただ臨床研究が苦手なだけか・・・?


次回以降では、移植後閉塞性細気管支炎への投与について、そしてディスカッションへ。
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各疾患の臨床試験

1. Cystic fibrosis
・4つのrandomised doubleblind placebo-controlled trialsがある
 - 368例のトライアルをはじめとし、成人・小児において良い結果が報告されている
   (クリックで拡大)
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◎呼吸機能の改善
・最大のトライアル [JAMA 2003; 290: 1749–1756.]
 対象:6歳以上の185例で、緑膿菌の慢性感染があり、%FEV1>30%の症例     
 介入:azithromycin(250 or 500 mg dependent on body weight) or placebo
     three times a week for 24 weeks(半年間)
 結果:azithromycin groupで、ベースラインの値と比較して平均4.4%のFEV1の改善
       ⇔プラセボでは1.8%の低下 (p=0.001)
       FVCにも同じ効果あり
       FEV1は、治療中止後4週間でベースラインに戻った
     azithromycin groupは著明に体重増加
      (0.7 kg; 95%CI 0.1-1.4; p=0.02)
     azithromycin groupはexacerbationが少ない
      (HR 0.65; 95% CI 0.44-0.95; p=0.03)
      ⇒azithromycin groupでFEV1が改善しなかった患者においても、
        exacerbation回数の減少が見られた
               [Am J Respir Crit Care Med 2005;172: 1008–1012.]
     入院期間の短縮はazithromycin groupで47%・・・ここは有意差なし
     経静脈抗生剤投与期間の短縮はazithromycin groupで39%・・・ここも有意差なし
     副作用はazithromycin groupで多かった
      ⇒nausea (17% more; p=0.01)
       diarrhoea (15% more; p=0.009)
       wheezing (13% more; p=0.007)

・呼吸機能へのazithromycinの良好な効果は、他の小規模な研究でも報告されている
[J Cyst Fibros 2005; 4: 35–40., J Cyst Fibros 2003; 2: 69–71., Lancet 2002; 360:978–984., Thorax 2002; 57: 212–216.]

⇒Cochrane review of macrolide therapy(2004)
 「CFへのazithromycin治療は呼吸機能に対して、小さいが、重要な効果をもつ」と記載された
       [ Cochrane Database Syst Rev 2004; Issue, 2:CD002203.]

☆しかし、AZMの呼吸機能への効果は、長期には保たれないということが報告された

・CLEMENT et al. [Thorax 2006; 61: 895–902.]
 対象:CF患者82例(このうち19例はP.aeruginosa感染あり)
 介入:12カ月間以上のazithromycin therapyとプラセボの無作為比較試験
 結果:観察期間の最後には、FEV1について、両群で有意差がなかった
    →treatment armは、初期には劇的なFEV1の改善を見せる(10カ月まで)が、
      その後プラセボと同等になってしまった
     *exacerbationsの回数, 最初のexacerbationまでの期間、追加の抗菌薬投与
      回数は、treatment armで少ない
      ⇒これらの効果は、Pseudomonas statusによらない

◎耐性菌の問題
・TRAMPERSTRANDERS et al. [Pediatr Infect Dis J 2007; 26: 8–12.]
 A retrospective study 100例
 *FEV1の改善がAZMにより最初の1年で得られても、2-3年目で落ちてくる
 *Staphylococcus aureus resistance to macrolidesが増加した
   ⇒最初の1年で83%、2年で97%、3年で100%

・PHAFF et al. [32]
 4年間のAZM治療によるS.aureusとHaemophilus spp.の耐性率増加を報告

☆CFの臨床試験のまとめ☆
・macrolide therapyはinfective exacerbations、追加抗生剤投与を減少させ、栄養状態を改善する。
・呼吸機能は初期~中期までは改善するが、長期には維持されない。
・infective exacerbationsの減少効果が長期間持続するか?、マクロライド耐性菌の増加は臨床的に意味を持つか?についてはさらなる検討が必要。



2.Bronchiectasis
・5つの小規模な検討しかなかった・・・最大でも39例のスタディ (クリックで拡大)
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⇒randomised double-blind placebo-controlled trialsは2つ

・KOH et al. [Eur Respir J 1997; 10: 994–999.]
 対象:気管支拡張症の小児患者
 介入:roxithromycinを12週間投与とプラセボ(13例 vs 12例)
 結果:methacholineへの気道過敏性の低下あり→この意義はよく分からず
     呼吸機能に差なし
     痰の膿性度が低下(6 weeks)

・TSANG et al. [Eur Respir J 1999; 13:361–364.]
 対象:成人の重症の特発性気管支拡張症
 介入:erythromycin (500 mg twice daily) for 8 weeksとプラセボ(11例 vs 10例)
 結果:FEV1とFVCの改善、痰の量の減少あり
     ⇒痰の分析結果
       喀痰中のpathogensとpro-inflammatory mediators
       (IL-8, tumour necrosis factor-a,IL-1a and leukotriene B4)は、
       両群で有意差なし

・小児でのplacebo-controlled trial [J Clin Pharm Ther 2006; 31: 49–55.]
 対象:小児気管支拡張症患者
 介入:clarithromycin × 3 monthsとプラセボ
 結果:FEV1改善なし
     maximal mid-expiratory flow (FEF25-75)が著明に改善
     喀痰減少
     BAL中のIL-8濃度も低下
     喀痰中の病原菌、IL-10やTNF-αなどの炎症の評価では、有意差なし

・CYMBAALA et al. [Treat Respir Med 2005; 4: 117–122.]
 対象:成人例11例
 介入:azithromycin
 結果:喀痰の減少
     →このうち、1/4が下痢(一人は離脱)

・急性増悪予防のprospective cohort study [Thorax 2004; 59: 540–541.]
 対象:増悪を高頻度に起こすBE患者39例(12カ月で4回以上)
 介入:azithromycin4カ月
 結果:その後の増悪回数・抗菌薬の経静脈投与回数・喀痰の量・症状スコアの著明な減少

☆気管支拡張症のまとめ☆
・気管支拡張症へのmacrolide treatmentのトライアルは、研究の数自体が少ない、症例数が少ない、治療期間・観察期間が短い、という問題あり。
 ⇒しかし、増悪回数と喀痰量を減らす効果については、いずれの臨床試験でも良い結果
  が得られている
 ⇒もっと大規模で長期間観察した研究が待たれる(副作用も含めて)



次回はCOPD、喘息、移植後の閉塞性細気管支炎など
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年明けから忙しい日々ですが、本日ようやく一息・・・ついていいのか?

ブログ更新していないにもかかわらず、いつもより多いくらいのアクセスがあり、びっくりしています。申し訳ありません。


さて、ほったらかしにしておいたマクロライドシリーズですが、
呼吸器内科医にとってここからが本番です。

「少量マクロライド投与」について、“Review”をレビューしていきます。

とりあえず、マクロライドの免疫調整・抗炎症効果の細かい機序云々はちょっと置いておき、
本当に「少量長期マクロライドはエビデンスがなく、日本でのみ行われている有害な治療法」なのか、調べてみます。
 (しつこいですが、「Medicina」にあったこの文章がずっとひっかかっていますので)


過去の臨床研究のレビューがちょうどERJにありましたので、読んでみました。
長いので、3~5回くらいに分けていきます。

Long-term macrolide therapy in chronic inflammatory airway diseases.
 Eur Respir J 2009; 33: 171-181 (マンチェスター, UK)

◎はじめに
・Macrolide系抗生剤は市中肺炎などの感染症に対して、first-lineで用いられる
                  [Thorax 2002; 57: 657.]
・directな抗菌活性に加え、macrolidesにはimmune modifying effects
 (免疫調整作用)がある
                  [Am J Med 2004; 117: Suppl. 9A, 5S–11S.,
                   Curr Opin Infect Dis 2005; 18: 125–131.]
【歴史】
・免疫調整作用の臨床応用が最初に検討されたのは、steroid-dependent asthma
                [J Allergy 1970; 45:146–162.]
→macrolideであるtroleandomycinを併用して治療した患者において、
   喘息のコントロールを落とすことなくステロイドを減量できた 
                  [J Allergy Clin Immunol 1980; 66: 438–446.]
→研究の結果、troleandomycinがmethylprednisoloneの代謝・クリアランスを
   60%抑制する効果を持つことが分かった
   ⇒当初考えられたような免疫調節作用が第一義ではなかった
                  [J Allergy Clin Immunol 1980; 66: 447–451.]
 →さらなるダメ出し:NELSON et al.の報告
                  [Am Rev Respir Dis 1993; 147: 398–404.]
   2年間のdouble-blind placebo-controlled studyにより、 
   macrolide+methylprednisolone治療は、steroid-dependent asthma
   において、臨床的にbenefitをもたらさなかったと報告。
   さらに、steroid-induced sideeffects(骨粗鬆症や高血糖など)を増加させたと報告。
   (あらら・・・)

 ・・・マクロライドへの期待はここで一旦途絶えそうに・・・しかし、日本から歴史的な報告が。

・DPB(びまん性汎細気管支炎)についての報告
 erythromycinが劇的な効果を示すことが偶然発見された
 →これにより、macrolidesの気道炎症に対する効果に再注目が集まった
 →cystic fibrosisの応用へ
           [Nihon Kyobu Shikkan Gakkai Zasshi 1987; 25: 632–542.]
*DPB;Diffuse panbronchiolitisとは
・progressive inflammatory disorder of lung airways
・found almost exclusively in Japan
・Clinically;chronic cough, excessive sputum production,
         exertional breathlessness, chronic sinusitis
         and Pseudomonas colonisation
 ・治療されないと、予後不良で呼吸機能障害進行→呼吸不全で死亡
 ・long-term macrolide therapyにより、5-yr survival ratesが63%→92%へ
           [Am J Med 2004; 117: Suppl. 9A, 12S–19S.
            Am J Respir Crit Care Med 1998; 157: 1829–1832.]
  症状の劇的な改善と、呼吸機能の改善も得られた
     [Thorax 1995; 50: 1246–1252., Chest 1995; 107: 120–125,
      Respir Med 2003; 97: 844–850., Intern Med 1995; 34: 469–474.]
  ⇒この機序として、immune modifying effects>direct antimicrobial activity
    と考えられている
    →慢性気道感染がなくても臨床的に改善するため
              [Thorax 1995; 50: 1246–1252.]
     MIC以下の濃度でも、改善が得られるため
              [Respiration 1991; 58: 145–149.]


【macrolidesの抗炎症効果について】
・構造により異なる
 14-員環(member)・・・erythromycin, clarithromycin and roxithromycin⇒あり
 15-員環・・・azithromycin ⇒ あり
 16-員環・・・josamycin ⇒ なし 
              [Am J Med 2004; 117:Suppl. 9A, 2S–4S]

・Macrolidesが気道炎症を抑える機序は、いくつか考えられている
 気道の痰の分泌を抑える
              [Antimicrob Agents Chemother 1995; 39: 1688–1690.]
 抗炎症効果・・・pro-inflammatory cytokines(IL-8など)や、
           接着因子(macrophage adhesion molecule-1など)の分泌を
           抑えることにより、気道への好中球の集積を抑える
              [Am J Respir Crit Care Med 1997;156: 266–271,
               Antimicrob Agents Chemother 2004; 48: 1581–1585.,
               Respiration 1995; 62: 217–222.]
 緑膿菌への効果[Curr Opin Infect Dis 2005; 18: 125–131]

・副作用もある
 通常の抗菌薬の副作用
 macrolides特有の副作用など・・・
   心伝導障害(QT延長) [Am J Cardiol 1984; 54:922–923.]
   耐性菌(以前のマクロライドシリーズ参照) [Lancet 2007; 369: 482–490.]

【少量長期投与について】
・DPBへの効果は確立されたと考えて良い
・その他の慢性気道炎症性疾患に対するエビデンスが不十分(大規模臨床試験がない)
e.g. cystic fibrosis, bronchiectasis, asthma, obliterative bronchiolitis,  
     chronic obstructive pulmonary disease(COPD),
     chronic rhinosinusitis

⇒今回は、これらの臨床試験のレビューを行っていく:効果と副作用について




・・・・・やっぱり長いので、今回はざっとおさらい程度にしておきます。各論は次回以降に。



何事においても、歴史を知る事は大切ですね。

数年前のCHESTにもマクロライド特集があり、それも少しずつ読んでいますが、
日常の仕事もありなかなか進みません。

マンガを読むように論文を読める様になる日は遠い・・・
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マクロライド vs 耐性菌

Round 1 : マクロライド vs マクロライド耐性肺炎球菌

【血中濃度と組織移行性】
・MIC が0.5μg/mL で中等度耐性、1μg/mL 以上で耐性と判定
・NCCLSではマクロライド耐性肺炎球菌のブレイクポイントをR≧2μg/mLに設定
      ↓
 一般的に薬剤濃度は血中濃度でしか測定できない
 ⇒ しかし、マクロライドは組織移行性が良いという特徴を持っている
  ・健常人にクラリスロマイシン(CAM)の常用量を経口投与した場合・・・
   → 最高血中濃度は約2μg/mL
     肺組織や肺胞上皮被覆液の濃度は50μg/mL 前後に達する
      [アボット感染症アワー 2006.01.27より]
   → ブレイクポイントを4~8μg/mLに移してもよいと言う説もあり
    *敗血症では別であろう。でも、重症例にマクロライド単剤で治療することがあるか?

・中等度耐性を示すmef遺伝子によるマクロライド耐性肺炎球菌ならば、マクロライドは有効である可能性あり。日本ではこれがマクロライド耐性菌の約半数。
・[アボット感染症アワー 2006.01.27]によると、erm遺伝子を持つマクロライド耐性肺炎球菌でも、クラリスにより増殖速度が低下し、マウスの肺炎モデルでも生存率改善したとのこと
→ ニューモリシンを抑えるなどの、抗菌作用以外の効果か

【実際は?】
・マクロライド単剤治療が行われる肺炎症例は、基礎疾患のない比較的若年者と思われる
 このような症例の肺炎治療において、実際に治療失敗例が増加したのか?
Journal of Antimicrobial Chemotherapy 2008 61(5):1162-1168
  米国からの報告。米国では耐性菌自体は日本より少ない(30%くらい)。
  マクロライド耐性肺炎球菌≧25%の地域では、
    ・肺炎の初期治療失敗例が多い(19.4%⇔25%未満の地域では16.9%)
    ・治療失敗した場合に、入院が必要となる症例が多い(11.4%⇔4.4%)
    ・ゆえに、肺炎の治療費は耐性菌≧25%の地域で高い

 *おそらく、これがマクロライド耐性肺炎球菌のアウトカムに関する初のstudyと思われる。
  それまでは、PRSPに関するものばかりだった。
 *ちなみに死亡率については、他のstudyを見てもマクロライド耐性の影響はなさそう。
   PRSPについては、影響アリとするものと、ナシとする論文があった。

【その他のstudy】
・マクロライド耐性菌は、マクロライド治療中に敗血症を起こしやすい
  [Clin Infect Dis 35:556, 2002]

・マクロライド(アジスロマイシン)単独療法群の方が入院期間(LOS)が短く、経口療法への切り替えも早く、退院までの期間も短かった
 *エリスロマイシン耐性例でも、マクロライドが効いていた
 → 米国でのマクロライド耐性はmef遺伝子が多いため中等度耐性菌が多いと思われる
 [Arch Intern Med 163:1718,2003]

*併用治療について
・第2、第3世代セファロスポリンにマクロライドを追加すると死亡率が低下
 [Arch Intern Med 159:2562,1999]

☆ここまでのまとめ☆
・mef遺伝子タイプで中等度耐性の肺炎球菌であれば、組織移行性の高いマクロライドは効く可能性アリ。ただし、敗血症や、erm遺伝子タイプでは無効だろう。
・マクロライド耐性肺炎球菌の頻度が高い地区では、市中肺炎のマクロライド単剤治療失敗率が高くなる可能性アリ。さらに、重症化の可能性も。
・重症肺炎への他剤+マクロライド併用は有効かもしれない。抗菌作用以外の効果ありそう。

 ・・・自分が調べた範囲ではこんな感じでした。ご意見ありましたら、ご教示ください。



Round 2 : マクロライド vs 耐性マイコプラズマ
モダンメディア 53 巻11 号2007[話題の感染症] 297に、知りたいところがまとめてありました。
感謝。

まとめ
・約15%が耐性菌
・野生株で証明されているのは、23S リボソームRNA ドメインⅤファイブの点突然変異のみ
   (プラスミドによる広がりはない)
 →必ずしも重症例や難治例が多いわけではない
 →マイコプラズマは独力で肺炎を起こすほどの細胞傷害性は持っておらず、
   肺炎の本態はサイトカインを中心とした宿主の免疫応答である点が特徴
   そのため、菌自体の耐性化が臨床的な重症化には直結していないと考えられる
  *マイコプラズマの肺炎発症機構は本文参照。図解してあり分かりやすい。

・マイコプラズマは培養が難しい
・感受性試験はどこででも出来るものではない

・日本と韓国で、2000年を境に耐性菌増加⇔欧米ではまとまった報告なし
 抗菌薬の乱用うんぬんだけでなく、地域の特性があるかもしれない

・マクロライド少量持続投与療法の結果プラスミド遺伝子によるマクロライド耐性が常在細菌叢の中に誘導されたとしても、そこからマイコプラズマに耐性機構が伝播する可能性はない

・耐性のポイントとなるリボソームのオペロンが1セットしかない
 → 菌の耐性化には有利
   菌の生育には不利
    genotypeとphenotypeがよく一致するため、難しい培養よりも、
    PCRで耐性を推定する方がよさそう

・約6例に1例は耐性菌
 → 日常診療上、そのような数字は実感されていない
  *報告では、耐性菌感染では感受性菌感染と比較して、
    マクロライド投与後の解熱日数は中央値で1日から3日へと2日間有意に延長
    ⇒でも、単純平均4日程度で解熱するため、難治例と認識する事すら困難
      ただ、これにより排菌期間が延長し、感染が広がりやすくなる可能性はアリ

・マクロライドの抗炎症効果による改善効果の可能性

・マイコプラズマ肺炎に対する実際の治療
 第一選択は、14-、15-員環のマクロライド系薬剤が基本
 ⇒投与開始後4日を過ぎても解熱しない場合には、耐性菌にも抗菌作用を有する薬剤考慮

 小児にはミノサイクリンやキノロン剤を使い難い
 ⇒14-、15-員環マクロライドで少し我慢して経過を観察することも必要


☆マイコプラズマのまとめ☆
・マクロライド耐性菌は15%程度。
・耐性化の横の広がりはない。
・治療の抵抗性はほとんど感じないレベル。



我々呼吸器内科医がマクロライド単剤治療を行う肺炎というのは、比較的若年層で、バイタルサインが落ち着いており、基礎疾患がなく、非定型肺炎との区別が難しい症例と思われます。
このような対象群において、マクロライド耐性肺炎球菌が80%近い日本では、マクロライド単剤での初期治療失敗はどのくらいあるのでしょうか?調べた範囲では分かりませんでした。

まあそれでも、「耐性菌が増える」=「肺炎球菌では初期治療失敗率増加」というのは大体理解できました。マイコプラズマでは関係なさそうですが。
ただ、Pub-Medで調べた範囲では、最重要アウトカムである死亡率に関しては、今のところマクロライド耐性化は大きなインパクトはないようでした。


「抗生剤の乱用禁止」は、もちろん賛成です。
では、「乱用」ってなんでしょうか?
次回以降、やっとマクロライド少量長期投与の話に入れそうです。
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~マクロライド使用量と細菌の耐性化の関係~
 [治療 増刊号 Vol.88(2006) 693- を参考に]
 *肺炎球菌をメインに扱います

1.世界における耐性菌の頻度
Antimlcrob Agents Chemother 2001;45:3334‐3340
 1998年~1999年にかけて、スペインの多施設で1684株のS.pneumoniaeを解析
 →約35%がEM耐性・・・MLSB phenotypeが95%で、M phenotypeは約5%

・PROTEKT(Prospective Resistant Organism Tracking and Epidenliology for the Ketolide Telithrmycin) study
 J Anlmicrob Chemother,50(Suppl Sl):25-37,2002. 
 ケトライド系抗菌薬Telithromycinの開発に際し1999年から実施された国際的な疫学調査
  ・肺炎球菌のEM耐性菌分離頻度
   米国:約30%
   ヨーロッパ全体:約24%(イギリス13.2%,フランス57.6%など)
   アジア全体:約80%(日本では77.9%)     
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        ・・・アジアは耐性菌の頻度が高い。
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 ヨーロッパはerm(B)の頻度が高いが耐性菌自体が少ない(フランスは?)
 アジアは耐性菌自体が多く、なかでも高度耐性を示すerm(B)が多い
 米国はその間、といった感じでしょうか
 →その後の調査でもアジア(日本,韓国,香港,中国,台湾)は耐性菌頻度が高いまま
     [lnt J Antimlcrob Agents,26 :479-485,2005]

2. ヨーロッパにおけるマクロライド消費量(1997年)とEM耐性肺炎球菌の分布(2000年)
 J Anlmicrob Chemother,50(Suppl S2):27-38,2002. 
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 →消費量と耐性との間に関係があると直感的に分かる

*同時に行われたS. pyrogenについての研究
 →マクロライド地域別総消費量と耐性頻度の間に有意な相関あり
   マクロライド耐性S.pyrogenの90%以上がM phenotypeだった
   ⇔肺炎球菌と対照的
    [J Clin Microbiol,40:2959‐2963,2002.]

3.投与で耐性菌が実際に増える事の確認
 [The Lancet 2007;369:482-490 (ベルギー)]
・18歳以上のベルギー人224人に二重盲検試験を実施
 → 無作為にアジスロマイシン500mg 3日間(74人)
   クラリスロマイシン500mg 7日間(74人)
   偽薬(76人)
  の3群に割り付け、最長180日間追跡

・口腔スワブを投与前、投与終了から48時間以内(アジスロマイシン群では4日目、クラリスロマイシン群では8日目)と、14日目、28日目、42日目に採取。180日の時点で標本採取が可能だったのは99人。

・投与後、アジスロマイシン、クラリスロマイシン投与群で、耐性連鎖球菌の比率が上昇
 抗菌薬間の比較では、アジスロマイシン群の方が有意に高い
 →多変量解析の結果、耐性菌増加の最有力な独立変数はマクロライド曝露だった
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・遺伝子型との関係を検討
 →クラリスロマイシン投与で、
   mef遺伝子(+)連鎖球菌は減少
   erm(B)遺伝子(+)連鎖球菌は上昇
   ⇒クラリスロマイシン投与は高度耐性のerm(B)の割合を増やす可能性あり

*日本でも似たような検討あり [日本耳鼻科学会会誌 2003;42:296]
 慢性副鼻腔炎 or 滲出性中耳炎に対し、クラリスロマイシンを2カ月以上投与した
 小児例における鼻咽腔細菌叢の検討
  肺炎球菌におけるmefA保有率は投与前29%⇔投与後35%
  erm(B)は投与前12%⇔投与後29%
  ⇒増加傾向であるが、統計学的有意差はみられなかったと報告



・・・「使えば増える」は、どの抗菌薬もおなじですね。
クラリスロマイシンが高度耐性化に関与している可能性がある、というのは興味深い結果です。
エリスロマイシンについては調べた範囲では分かりませんでした。
ご存知の方がおられましたらご教授ください。
ヨーロッパ、米国、アジアの特徴は抗生剤の使用法のみに関連するものでしょうか?
もしくはその他の因子もあるのでしょうか?
仕事がたまっており、自分で調べるのは限界が・・・
一度感染症の専門家に質問してみようと思います。

-追記-
ブログの調子がおかしくて、数回編集しなおしました。
なんだかなぁ
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~マクロライド耐性の機序と頻度~

・耐性の機序・・・2種類のメカニズムが明らかになっている
  THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 2004;57:425より
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①マクロライドの作用点の変化
 ermB遺伝子の獲得
 →リボゾームジメチラーゼが産生される
 →マクロライドの標的部位23SrRNAがジメチル化される
 →高度耐性を示し、16員環やリンコマイシン系にも耐性になる (MLSB phenotype)

②マクロライドのくみ出し機構
 mefA遺伝子の獲得
 →膜蛋自の薬剤くみ出し機構 
 →14/15員環に軽度~中等度耐性を示し、16員環などは効く (M pehnotype)

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・耐性の定義:
基準・・・National Committee for Clinical Laboratory Standards. Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing; Fourteenth Informational Supplement M100-S14. NCCLS, Wayne, PA
 EM・・・MIC>1 μg/mL
 CAM・・・MIC>1 μg/mL
 AZM・・・MIC>2 μg/mL

・耐性菌の頻度の実際
*今回は呼吸器感染症で多く取り扱う、肺炎球菌とマイコプラズマを対象とします*
 肺炎球菌 (Respirology (2008) 13, 240–246 京都大学でのCAPの検討)
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 ⇒80%くらい!!

 マイコプラズマ (モダンメディア 2007;53:297より)
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 ⇒13~15%くらい。2000年から出現している。欧米ではないらしい・・・



次回、マクロライドの使用状況と耐性の増加の関連について。
勉強する事が多いため、このシリーズは長くなりそうです。
ゆっくりやります。





-徒然-

本日研究ミーティングがあり、その準備のため昨夜はブログ更新できず。

来週シカゴで国際学会発表の予定。
これからスライド手直し、英語の暗記、想定質問と回答の準備・・・

明日は、飛行機で読む本とDVDでも買いに行こう。
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昨日はサーバーメンテナンスのためお休みでした。
再開します。


~我が国での使用の歴史~
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  (小児科臨床 2002;55:207- 参照)

~作用機序~
・マクロライド系は、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール系、アミノグリコシド系と同様に、細菌の蛋白質合成を阻害する

*細胞のタンパク合成の流れと作用点
・蛋白質をコードする遺伝子から転写されたmRNA上に、その蛋白質を構成する20種類のアミノ酸の順番が刻印されている。
→各アミノ酸は、その運び屋となっているtRNAに結合(アミノアシルtRNA)
→アミノアシルtRNAは、リボソーム・mRNA複合体につくられた2ヵ所のtRNA結合部位のうち、指定された部位に結合する
→続いて、次の指定されたアミノ酸を運ぶアミノアシルtRNAが、別のtRNA結合部位に結合
→前のアミノアシルtRNAのアミノ酸が、今来たアミノアシルtRNA上のアミノ酸に結合する(これをペプチジル転移という)
→この状態のtRNAはペプチジルtRNAとなり、mRNAはリボソーム上をtRNA結合部位1個分だけ移動し、ペプチジルtRNAも自動的に1つ部位を移動する
→そしてまた次に指定されたアミノアシルtRNAが入り、ペプチジル転移が連続して最終的に蛋白質が合成される

・・・わかりにくいですね。リボソームの働きについては、教科書やWikipediaなどご参照ください

⇒マクロライド系は、細菌リボソーム50Sサブユニットの23SRNAに結合することで、このペプチジル転移を阻害する=蛋白合成阻害
・高濃度では殺菌的に作用するが、一般的には静菌的に作用。
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   日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)130,294~298(2007) 参照

~吸収・排泄~
・経口:腸管から吸収、肝臓で代謝され、胆汁排泄。腎障害時に使用できる。
・血中濃度に比べ、肺・肝・腎などの臓器移行性が高い。

~抗菌活性~
Sanford 2007より
+=通常臨床的に有効または感受性>60%
±=臨床試験なし,または感受性=30~60%
空欄=データなし
MSSA=Methicillin感受性S. aureus ; MRSA=Methicillin耐性S. aureus

【エリスロマイシン】
グラム陽性
  A,B,C,G群 Streptococcus ±
  S.pneumoniae +
  S.aureus(MSSA) ±
  S.aureus(市中感染型MRSA) ±
  S.epidermidis ±
  L.monocytogenes +
グラム陰性
  N.gonorrhoeae ±
  N.meningitidis +
  M.catarrhalis +
  H.influenzae ±
  Legionella属 +
  H.ducreyi +
その他
  Chlamydophila属 +
  M.pneumoniae +
  Rickettsia属 ±
嫌気性
  Actinomyces +
  Clostridium(difficile以外) ±
  Peptostreptococcus属 ±

【クラリスロマイシン】
グラム陽性
  A,B,C,G群 Streptococcus ±
  S.pneumoniae +
  S.aureus(MSSA) +
  S.aureus(市中感染型MRSA) ±
  L.monocytogenes +
グラム陰性
  N.gonorrhoeae ±
  M.catarrhalis +
  H.influenzae +
  Legionella属 +
その他
  Chlamydophila属 +
  M.pneumoniae +
  M.avium +
嫌気性
  Actinomyces +
  P.melaninogenica +
  Clostridium(difficile以外) +
  Peptostreptococcus属 ±

【アジスロマイシン】
グラム陽性
  A,B,C,G群 Streptococcus ±
  S.pneumoniae +
  S.aureus(MSSA) +
  S.aureus(市中感染型MRSA) ±
  L.monocytogenes +
グラム陰性
  N.gonorrhoeae ±
  N.meningitidis +
  M.catarrhalis +
  H.influenzae +
  Salmonella属 ±
  Shigella属 ±
  Legionella属 +
  H.ducreyi +
その他
  Chlamydophila属 +
  M.pneumoniae +
  M.avium +
嫌気性
  Actinomyces +
  P.melaninogenica +
  Clostridium(difficile以外) +
  Peptostreptococcus属 +

⇒アジスロマイシンが最もブロード

~感染症治療における使い方~
1.急性呼吸器感染症
・非定型肺炎が市中肺炎の30-40%を占めており、疑われた場合はマクロライド系
 もしくはテトラサイクリン系が第一選択。
・βラクタム系にアレルギーのある場合の代替薬。
 PRSPが疑われる場合には、マクロライドも耐性の可能性が高いため、適応になりにくい
・重症肺炎に、カルバペネムやセフェムの併用薬として用いる。

2.非結核性抗酸菌症
・MAC症。特にCAM。
・CAMを抗結核薬と併用することにより、治療成績が向上した。
処方例
・CAM 500mg経口1日2回(またはAZM 600mg経口24時間ごと)+EB(25mg/kg経口・2カ月その後15mg/kg経口)+RFP 600mg経口24時間ごと(またはRifabutin 300mg経口24時間ごと)
・重症例にはSMまたはAMK 15mg/kgを週3回・2~6カ月を追加しても,クロファジミン100~200mg経口24時間ごと(「tan」まで,その後50mg経口24時間ごとまたは100mg経口週3回)を加えてもよい.
・培養が陰性後1年は治療.
・代替治療:(CAM 500mg経口1日2回+EB 15~25mg/kg経口24時間ごと+Rifabutin 300mg経口24時間ごと)を24カ月まで(Curr Inf Dis Repts 2:193,2000;CID 32:1547,2001).AZM 600mg週3回も有効(CID 32:1547,2001).

3.H.pylori感染症
・胃炎・胃十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・胃癌との関連がある。
処方例
・経口治療12時間ごと・14日間:(オメプラゾールまたはラベプラゾ-ル20mg)+AMPC 1g+CAM 500mg.有効率80~95%,
・または(ラベプラゾール20mg+AMPC 1g)1日2回・5日,その後さらに(ラベプラゾール200mg+CAM 500mg+チニダゾール500mg)1日2回・5日
【第二選択薬】
経口治療14日間:ビスマス,Bismuth subsalicylate 2錠1日4回+TC 500mg1日4回+メトロニダゾール500mg1日3回+オメプラゾール20mg1日2回.有効率90~99%

4.咽頭炎
A群溶連菌、淋菌、クラミジアなど。            

5.非淋菌性または淋菌後尿道炎,子宮頸管炎     ・・・・・などなど。

*今回は感染症治療目的でのマクロライド使用は主眼ではないので、さらっと流します。


次回は「マクロライドの使用量と耐性について」や、「マクロライドの抗菌作用以外の作用について」です。デキる後輩が資料を送ってくれましたので、勉強中です。
「マクロライド少量長期投与は、日本人しかやっていないからダメだ」ともmedicinaには書いてありましたが、外人のstudyもたくさんありました。なぜ卑下するのかな・・・もう少し論文を読んでから判断します。
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【マクロライドの歴史と分類】
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)130,294~298(2007) を参考

~マクロライド開発の歴史~

*マクロライドという用語は1957年にR.B.Woodwardにより提唱。
・1952
放線菌Streptomyces erythreusの代謝産物から14員環マクロライドのエリスロマイシン(EM)が単離・精製される。
→EMは胃酸による分解を受けやすいために,1回の服薬量および1日の投与回数が多いこと,胃腸管運動促進(酸分解物が原因)があること等が臨床上の問題であった。
ほぼ同時期に、16員環マクロライドのキタサマイシン(ロイコマイシン),オレアンドマイシン,スピラマイシンが発見される。
→抗菌活性の向上や消化管内での溶解性の向上により吸収性の改善が図られている。
・1967・・・ジョサマイシン(天然、16員環)
・1971・・・ミデカマイシン(天然、16員環)
・1974・・・酢酸ミデカマイシン(半合成、16員環)
・1979・・・ロキシスロマイシン(RXM、半合成、14員環)
        酸安定で,マクロライド系抗菌薬の中では最も高い血中濃度
・1980・・・クラリスロマイシン(CAM、半合成、14員環)
        酸分解反応が抑制された。CAM の抗菌活性はEM よりも優れ,
        肺胞上皮被覆液(Epithelial Lining Fluid)および肺胞マクロファージに
        高濃度移行する。
・1981・・・ロキタマイシン(半合成、16員環)
       アジスロマイシン(AZM、半合成、15員環)
        血中濃度は低いものの,組織移行性に優れ,長い血中半減期を有している。
        そのためにマクロライド系抗菌薬としては初めて,1日1回投与が可能となる。
        また、食細胞により感染組織へ薬物が輸送されるという特長を有している。
 *RXM,CAM,AZMは「ニューマクロライド」と呼ばれる
・1998・・・テリスロマイシン(半合成、ケトライド系、14員環)の臨床試験開始
       →2001に発売
        マクロライド系抗菌薬の抗菌スペクトルを保持しつつ,
        耐性肺炎球菌に対して優れた抗菌活性を有する点が大きな特長。

~マクロライドの分類~  (クリックで拡大)
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このシリーズは、ゆっくりやろうと思います。
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