カテゴリ:感染症( 21 )

最近、Latent TB Infectionについて考える事が多かったので、目についた論文を。
日本では原則 INH 300mg/dayの6か月投与。

Three Months of Rifapentine and Isoniazid for Latent Tuberculosis Infection
 Sterling TR et al. N Engl J Med 2011; 365:2155-2166.

背景
潜在性結核菌感染に対する治療は結核のコントロールに不可欠。現在の標準レジメンである 9 ヵ月のイソニアジド投与は有効であるが、毒性と低い治療完遂率が問題。
方法
結核リスクの高い被験者を対象に、直接監視による 3 ヵ月のリファペンチン(rifapentine)(900 mg)+イソニアジド(900 mg)の週 1 回投与(併用群)と、自己管理による 9 ヵ月のイソニアジド(300 mg)の 1 日 1 回投与(イソニアジド単独群)とを比較。
非盲検無作為化非劣性試験。
対象者は米国・カナダ・ブラジル・スペインで、33 ヵ月追跡。
主要エンドポイントは結核の確定診断、非劣性マージンは 0.75%。

結果
修正 intention-to-treat解析;
 結核の発症:併用群 3,986 例中 7 例(累積発症率 0.19%)
         イソニアジド単独群 3,745 例中 15 例(累積発症率 0.43%)
         ⇒差は 0.24 パーセントポイント

 治療完遂率:併用群 82.1% vs イソニアジド単独群 69.0% (P<0.001)
 有害事象により永続的に投与を中止:併用群 4.9% vs イソニアジド単独群 3.7% (P=0.009)
 薬剤関連肝毒性:0.4% vs 2.7% (P<0.001).

結論
3 ヵ月のリファペンチン+イソニアジド投与は、結核予防については 9 ヵ月のイソニアジド単独投与と同程度に有効であり、治療完遂率は高かった。長期間の安全性モニタリングが重要。


今後LTBI治療法が変わるでしょうか。



 ~徒然~

忙しい、というか、体力が低下してきています。
筋トレを開始しようと思うのですが・・・なかなか・・・
今も当直中ですし。。。


来年はたくさんの新人が我が職場に来てくれることになりました。
本当に楽しみです。新たな試みを準備中です。


さ、その前に論文を書・・・か・・・ねば・・・zzz
[PR]
直訳ですが、放線菌(Actinomycetes)のことです。
真菌ではありません。

牛の顎が腫れる病気「Lumpy jaw」の原因として、1877年に最初の報告がなされています。
   (Bollinger O. Centralbl Med Wissensch. 1877;15:481.)

抗菌薬が実用化される前の時代まではありふれた疾患だったようですが、
“The most misdiagnosed disease”
“No disease is so often missed by experienced clinicians”
   (Cope Z. Br Med J. 1949:1311-1316.)
と言われていた事からもわかるように、見逃し疾患としても有名だったそうです。
抗菌薬が発達し早期投与が増え、さらに衛生・栄養状態も改善した現代では頻度が低下しており、
尚更本症を見逃しやすくなっています。
慢性経過/消長を繰り返す+腫瘤様+臓器の境界を越えて進展、
という特徴が悪性腫瘍を想起させてしまうのです。

さて、アクチノミセスによる肺膿瘍+胸膜炎+心外膜炎という症例を経験した事があります。
入院時には心タンポナーデ、入院経過中には不整脈による一時的な心停止、
という派手な経過をたどりましたが、最終的には抗菌薬投与で改善し退院されました。
肺膿瘍の穿刺から確定診断に至りました。
一時的な心停止は、心筋炎による刺激伝導系の異常と想像しております。

このように多臓器に病変が及ぶものをDisseminated actinomycosisと呼ぶようです。
下記論文がよくまとまっていましたので、興味のある方はご参考ください。
   (Kanna B, et al. Infectious Diseases in Clinical Practice 2002;11(7):408-413)

アクチノミセスは口腔内と腸管内の常在菌です。
虫歯はまずいです。
虫歯治療に行きたいのですが・・・時間がない・・・と言って早8年。

自分の口腔内が恐ろしいです。
[PR]
先日ちょっと悩ましい潜在性結核疑い症例に出くわしたので。

Negative and Positive Predictive Value of a Whole-Blood Interferon-g Release Assay for Developing Active Tuberculosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 88–95, 2011

ドイツより

Rationale
・潜在性肺結核(LTB)が活動性肺結核(ATB)へ移行するかどうかの予測について、IFN-γアッセイの有用性は不明。

Objectives
・結核患者の密接な接触者(close contact)において、4年間でATBへの移行予測の有用性についてQuantiFERON-TB Gold in-tube assay(QFT)とツ反(TST)を比較検討する。

Methods
・塗抹陽性結核患者のclose contactについてMay 2005~April 2008から前向きコホートを開始。
・QFTとTSTを施行。
・April 2010まで、ATB発症者を記録。

Measurements and Main Results
・対象となったケース:
  1,414 contacts (141 children)
  1,033は検討終了時までHamburgに居た
  954例でQFTとTSTの結果両方が得られた
・QFT:198例(20.8%)が陽性
 ⇔TST:604例(63.3%)が5mm以上、25.4%が10 mm以上
・QFTは暴露期間と相関した(P<0.0001)
 ⇔TSTは相関せず

・QFTもTSTも行い、かつ化学予防を行わなかった903例では、
 QFT陽性は147例(16.3%)
  ⇒ うち19例(12.9%)がATB発症(化学予防群では発症なし)
 TST 5mm以上は555例(60.1%)
  ⇒ うちATB発症は
     5mmカットオフでは17/552(3.1%)
     10mmカットオフでは10/207(4.8%)
 ⇒QFT陽性の方が有意に高い発症率     

・小児での方がより有用:
 小児のQFT陽性のATB発症率 28.6% (6 of 21)
  ⇔ 成人のQFT陽性のATB発症率 10.3% (13 of 126) (P=0.03)

・Multiple logistic regression analysisによる、ATB発症予測の独立因子;
 IFN-γ level, IU/ml  OR1.93, 95%CI 1.551–2.40 ,P<0.0001
 Age, yr  OR0.94, 95%CI 0.89–0.99 , P=0.02

・QFTのNPVは100%!!
 ⇔ TST>5mmではNPV 99.4%
    TST>10mmではNPV 98.8%

Conclusions
・TB接触者のATB発症予測については、TSTよりもQFTの方が信頼性が高い。 特に小児で。


BCG接種者と非接種者は大体半々くらいの対象で、多変量解析でもBCGの有無は関係ありませんでした。勉強になります。
[PR]

久しぶりに文献を。
JAMAのTHE RATIONAL CLINICAL EXAMINATIONから。

Does This Coughing Adolescent or Adult Patient Have Pertussis?
 JAMA. 2010;304(8):890-896

Context
・百日咳は慢性咳嗽の原因であるが、特に若者や成人においてよく見逃されている
・いくつかの古典的な症状が百日咳に診断的とされているが、その診断的価値は正確に検討されていない

Objective
・3つの古典的症状である、
  発作性の咳嗽
  咳嗽後の嘔吐
  吸気時の笛音(whoop)
 の百日咳診断における有用性について、体系的にレビューする

Data Sources, Study Selection, and Data Extraction
・以下のソースから関連する英語文献を検索;
  MEDLINE(January 1966–April 2010)
  EMBASE (January 1969 to April 2010)
  the bibliographies of pertinent articles
・採用条件;
  対象患者…children older than 5 years, adolescents, or adults
  百日咳の診断…咳嗽を訴える患者において、過去の標準的とされる方法で診断されている
・採用方法;
  二人のauthorが独立して検索し、乖離があれば話し合って最終決断

Data Synthesis
・5つの前向き試験が条件を満たし、うち3つを今回の検討に採用した
 ●発作性の咳嗽;negative LR, 0.52; 95% CI, 0.27-1.0 ・・・ まあまあ
 ●咳嗽後の嘔吐;positive LR, 1.8; 95% CI, 1.4-2.2 ・・・ まあまあ
            negative LR, 0.58; 95% CI, 0.44-0.77 ・・・ まあまあ
 ●吸気時の笛音;positive LR, 1.9; 95% CI, 1.4-2.6 ・・・ まあまあ
            negative LR, 0.78; 95% CI, 0.66-0.93 ・・・ イマイチ

・これらのコンビネーションでの有用性を検討したスタディはなかった。

Conclusions
・流行時期でない状況において、百日咳の診断に有用といわれていた古典的な症状は、あまり診断価値が高くなかった。
・一応これらを参考に臨床に望むべき・・・。


百日咳は本当に難しいです。
患者さんはなかなかペア血清までご協力して頂けないですし・・・



 -徒然-

先日の日曜日に有明まで行きました。
テニスの森にプレーヤーとして、ではなく、
東京ビッグサイトでコミケに参加、でもなく、
ある試験を受けに、です。
疲れました。
[PR]

諸事情により更新が滞っておりました。


さて、以前肺炎球菌ワクチンについてご質問を頂きましたので、UpToDateを中心に再勉強・まとめ書きをしてみました。

COPDの方に関する情報だけ先に抽出しておきます。

COPDと肺炎球菌ワクチン
基本事項:肺炎球菌ワクチンの最大の効果は、IPDの予防にある。肺炎の予防効果そのものはイマイチ
・COPDにおいて、ワクチンの死亡抑制効果があるかは分かっていない
   [Cochrane Database Syst Rev 2006; :CD001390.]
・65歳以上のCOPD患者には推奨されている 
   [NEJM 2003;348(18):1747-55., Chest 1990;97(1):75-83]
・65歳以下でも、%FEV1<40%の患者では市中肺炎を抑制することが報告されている 
   [Thorax 2006;61:189-95]
 →596例のCOPD患者を対象とした検討
   PPV接種群(298例)と非接種群(298例)の前向き検討(平均979日間)
   ⇒患者全体では肺炎の予防効果は明らかではなかった
   ⇔65歳未満の患者では、76%の発症頻度減少効果あり
    特に65歳未満の%FEV1<40%の重症患者では、90%の肺炎減少効果あり
・COPD患者では、PPV23(23価ワクチン)よりもPCV7(7価結合型ワクチン)の方が、
 接種1ヶ月後の免疫応答を高める可能性あり
   [AJRCCM 2009;180:499-505]

「肺炎球菌」という名前だけに肺炎に気が行きがちですが、その他の重症感染症を引き起こす菌でもあります。ハイリスクの方においては、やはり重要なワクチンと言えるのではないでしょうか。


Pneumococcal vaccine(肺炎球菌ワクチン)
 UpToDate参照

肺炎球菌とは

・初めて単離されたのは1881年とのこと。
 George Miller Sternberg (アメリカ陸軍内科医) と、ルイ・パスツール(フランス)
・グラム陽性菌で、球形の菌が2つの菌がくっついて並んでいるように見えることから、1926年に Diplococcus pneumoniae (肺炎双球菌)と呼ばれるように。液体培地内で鎖状の増殖を呈することから、1974年に Streptococcus pneumoniae (肺炎レンサ球菌)と改称された。  (Wikipedia参照)
・90種の血清型がある。多糖体(ポリサッカライド)から成る莢膜を持つものが、人に対して病原性を持つ。
・感染経路:人の鼻やのどの粘膜に付着し定着→保菌者のくしゃみや咳によって生じた飛沫物から


はじめに
・肺炎球菌ワクチンは、莢膜の多糖類から抽出されたはじめてのワクチン
・これにより、抗体産生→オプソニン化(味付け)をもたらし、貪食細胞による肺炎球菌の貪食・殺菌を誘導する
・1945年に4価のワクチンが初めて使用された [J Exp Med 1945; 82:445.]
 →ちょうどペニシリンの発見と同時期だったため、広まらなかった
   (当時は抗菌薬で感染症を支配できると考えられていた)
 →耐性菌の増加などに伴い、現在はワクチンに魅力が出てきた

・1977年:Dr. Robert(オーストラリア)14価の肺炎球菌多糖体ワクチンを開発 
       [Trans Assoc Am Physicians 1976; 89:184.、
        Clin Infect Dis. 2007 Jul 1;45(1):2-3. Epub 2007 May 29.]

・1983年:23価製剤に進化した(PPV23)

・2000年に7価のタンパク結合型ワクチン(conjugate heptavalent vaccine;PCV7)が開発され、大きなインパクトをもたらした
 →多糖体は2歳以下の小児では免疫原性が乏しく、タンパク結合型にすることで
   このようなhigh-risk age groupに対する予防が可能となった

疫学
・肺炎球菌は全年齢層においてcommonな入院の原因
   [Clin Infect Dis 1998; 26:1124.]
・米国では年間4万人が肺炎球菌感染で死亡。髄膜炎が最も死亡率が高い
   [N Engl J Med 1997 Oct 2;337(14):970-6.、
    N Engl J Med 1993 Jan 7;328(1):21-8.、
    N Engl J Med 2002 Nov 14;347(20):1549-56.]
 髄膜炎患者にデキサメサゾンを投与しない場合、生存者の1/2で神経学的後遺症あり
 →多糖体ワクチンは、これらの死亡の1/2を防ぐ事が出来ると考えられている

・CDCの1998年の推計によれば、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD、肺炎球菌による敗血症や髄膜炎)は米国で年間63,000例 (10万人に対し23例)
 ハイリスク群・・・2歳以下の小児、65歳以上の高齢者、黒人
   [JAMA 2001 Apr 4;285(13):1729-35. ]

・50歳以上の24000人が毎年IPDを発症し、4500人が死亡している
   [JAMA 2005; 294:2043–51.]

・23価ワクチン(PPV23)は成人のIPDに対し、約57%の予防効果
   [JAMA 1993 Oct 20;270(15):1826-31.、
    N Engl J Med 1991 Nov 21;325(21):1453-60. ]
 高齢者においては、原因菌の86%がPPV23に含まれる血清型の肺炎球菌による

・65歳以上の高齢者では、肺炎球菌ワクチンの接種率が増加しているが、まだ足りない
 →CDCの2005年の調査によると、65歳以上におけるワクチン接種率は
   州ごとにばらつきが大きく、中央値で66%(range 28~72 percent)であった
   [MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2006 Oct 6;55(39):1065-8.]

POLYSACCHARIDE VACCINES(多糖体ワクチン)について
・肺炎球菌には莢膜の構造が異なるものが90以上あるため、多糖体ワクチンを作成するに当たってはタイプを絞らなければならない
 →実際に感染症を起こしている頻度が高いタイプを選択

・現在市販されている多糖体ワクチンは以下の2つ;
 Merck社の「Pneumovax 23」
 Lederle Laboratoriesの「Pnu-Immune 23」
 →これらは、23種類の莢膜多糖体抗原を含む
  含まれる血清型…1, 2, 3, 4, 5, 6B, 7F, 8, 9N, 9V, 10A, 11A, 12F, 14,
              15B, 17F, 18C, 19A, 19F, 20, 22F, 23F, 33F
  *各種類の莢膜多糖体抗原が25μgずつ生理食塩水に溶解してあり、
    さらに防腐剤が加えられている
  *米国でIPDを起こす血清型の85~90%をカバーするようにタイプを選んでいる

・効果について
○数多くの研究とmeta-analysesの結果、PPV23はIPD抑制効果があることが分かった
  [JAMA 1993; 270:1826., N Engl J Med 1991; 325:1453.,
   Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.,
   N Engl J Med 2003; 348:1747., Clin Infect Dis 2005; 40:1250.,
   Clin Infect Dis 2006; 43:1004., Clin Infect Dis 2008; 47:1328.]
 ⇔しかしながら、肺炎の予防効果は乏しかった
  [Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.,
   Clin Infect Dis 2008; 47:1328., Lancet 1998; 351:399.,
   CMAJ 2009; 180:48.]
  *一つだけ肺炎予防効果があるという報告あり[Clin Infect Dis 2006; 43:860.].

○2008年のmeta-analysisの結果
   [Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.]:
 IPD予防効果は高い (odds ratio 0.26, 95% CI 0.15-0.46)
 肺炎(肺炎球菌以外も含め)の予防効果は断定できず
 全死亡率の抑制効果はなし

・3415例の市中肺炎で入院を要した患者の検討
   [Arch Intern Med 2007; 167:1938.]
 ⇒入院以前にワクチンを投与されていた患者では、そうでない患者と比較し、
   死亡もしくはICU入室の割合が、40%低かった

・肺炎球菌ワクチンの最大の効果は、IPDの予防にある
 ⇒PPV23は、以下のようなハイリスクグループに投与すべき
  ・免疫が低下している者
    HIV感染者
    悪性腫瘍
    慢性腎疾患
    ネフローゼ患者
    先天性免疫不全患者
    免疫抑制剤を投与されている人(ステロイドを含む)
    脾臓がない人
    臓器移植もしくは骨髄移植後の人
  ・免疫が正常でも、以下に含まれる人
    65歳以上
    64歳以下でも、慢性心疾患・肺疾患(喘息含む)・肝疾患・糖尿病・喫煙者・
              アルコール中毒・髄液漏・人工内耳患者は適応
    また、慢性養護施設などに居住している人も


HIV感染者と肺炎球菌ワクチンについて
・23価ワクチンの効果についての報告あり
 ①ウガンダにおける1392例のHIV感染者(成人)での無作為試験
    [Lancet 2000; 355:2106.]
   ⇒有意ではないが、ワクチン接種者の方で、より重症感染者が多かった
    2.2%(ワクチン群) vs 1.4%(プラセボ群)、HR 1.47, 95% CI 0.7-3.3
    感染を起こした菌の血清型は、88%がワクチンに含まれているタイプであった
    肺炎は、ワクチン群の方が多かった

 ②台湾における、HAART治療中のHIV感染者における前向き検討
     [Vaccine 2004; 22:2006.]
   ⇒肺炎球菌による菌血症の発生率は、23価ワクチン投与者(305例)において、
    非投与者(203例)と比較し、10倍低下した
    ワクチン投与により、肺炎が増加することはなかったし、
    もちろんHIVの進行や死亡率を高めることもなかった

 ③サンフランシスコとアトランタにおける、入院したHIV患者についての
   後向きのcase-control study
     [Arch Intern Med 2000; 160:2633.].  
   ⇒肺炎球菌ワクチンは、CaucasiansではIPDが76%減少(有意)させたが、
    African-Americansではその効果は24%で有意ではなかった
    おそらく、African-Americansではワクチン使用率がもともと低く、
    疾患が進行してから接種されたものも多いためと考えられた

・HIV感染者は菌血症のハイリスク群であり、ワクチン接種が必要なグループと考えられた
・いくつかの報告[Clin Infect Dis 2003; 37:438.]によると
 (全てではないが [Vaccine 2006; 24:2567.])、CD4の数に比例して
 ワクチンへの反応が低下するため、特にHIVの感染初期に投与するほど
 効果が高いと思われる

成人への7価結合型ワクチン(PCV7)

・PCV7の方が、PPV23より高い免疫反応を起こす可能性がある
  [Clin Infect Dis 2008; 46:1015.]

・しかし、成人と小児では頻度の高い血清型が異なるという問題点がある
 ⇒より広いスペクトラムの次世代ワクチンが開発中である

・PPV23では効果に限界があるため、PCVと一緒に使用してはどうか?という意見もある
 ○肺炎球菌に一度感染し、その後治癒した成人を対象に、
  PPV23→PCV(6カ月後)もしくはその逆の接種を行った検討
   [J Infect Dis 2008; 198:1019.]
  ⇒最初の接種後、PPV23群もPCV群も同様のIgG値上昇と
    opsonophagocytic killing activity (OPK)を示した
  ⇔6カ月後には、IgG値はPPV23群で接種前のレベルに戻っていたが、
    PCV群では維持されていた
  →PPV23後にPCVを投与した所、IgG値は初回のようには増加しなかった
   PCV後にPPV23を投与した群では、IgG値とOPKが接種後4-8週間にかけて
   劇的に増加したが、6カ月後にはもとのレベルに戻った
  →ゆえに、今のところ、ブースターとしてPPVとPCVを併用しても、
   長期間の効果は乏しいと考えられる
   また、効果があるのもPCV7に含まれる血清型のみであろう

OTHER VACCINES

・その他の開発中・試験中のワクチン
 9価と11価の結合型ワクチン
・肺炎球菌の特徴は、DNAが簡単に変化し、薬剤耐性が簡単に広まること
   [J Infect Dis 1998; 177:707.]
 遺伝子構造の特徴により、莢膜の構造が簡単に変化する
   [Microb Drug Resist 1998; 4:11.]
 →ワクチンの効果もすぐに減少する可能性あり
   [Crit Rev Microbiol 1991; 18:89.].


適応
・PCV7は小児用、PPV23は成人用ということになっている
・しかし、供給が増えればPCV7も成人に使用して良いだろう
・PPV23の適応は上記

・米国のCDCの2009年のワクチン計画では、喫煙者と喘息患者もPPV23接種が推奨された
   [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2008; 57:53. ]
 禁煙も推奨された [JAMA 2008; 300:2713. ]

・以前IPDにかかった人も当然接種の適応
 → しかし、明確な推奨にも関わらず、
   米国では65歳以上の63%しか接種していない(2002年)
     [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2003; 52:965. ]
 ⇔ まあ、1995年には34%だったので、改善はしている
     [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2000; 49(SS-9):39. ]

・ちなみに1995年には、
 若年者のハイリスク群の接種率は18~49歳で12%、50~64歳で20%だった

・2003年の費用対効果の検討では、50歳以上に全てワクチン接種した場合、
 特にAfrican Americansでは効果が高いと報告された
   [Ann Intern Med 2003; 138:960.]

・50~64歳の健康成人にはどうしたら良いかは、よく分かっていない
 再接種もよく分からない(一応不要となっているが)

・PCVが喘息患者で肺炎を抑制するかは、よく分かっていない
   [Cochrane Database Syst Rev 2002; :CD002165.,
    J Gen Intern Med 2007; 22:62.]

・COPDでも死亡抑制効果があるかは分かっていない
   [Cochrane Database Syst Rev 2006; :CD001390.]
・65歳以上のCOPD患者には推奨されている 
   [NEJM 2003;348(18):1747-55., Chest 1990;97(1):75-83]
・65歳以下でも、%FEV1<40%の患者では市中肺炎を抑制することが報告されている 
   [Thorax 2006;61:189-95]
 →596例のCOPD患者を対象とした検討
   PPV接種群(298例)と非接種群(298例)の前向き検討(平均979日間)
   ⇒患者全体では肺炎の予防効果は明らかではなかった
   ⇔65歳未満の患者では、76%の発症頻度減少効果あり
    特に65歳未満の%FEV1<40%の重症患者では、90%の肺炎減少効果あり
・COPD患者では、PPV23(23価ワクチン)よりもPCV7(7価結合型ワクチン)の方が、
 接種1ヶ月後の免疫応答を高める可能性あり
   [AJRCCM 2009;180:499-505]

・Active Bacterial Core (ABC) surveillance-Emerging Infections Program Networkによる、ワクチンで防げる死亡の推測[Clin Infect Dis 2006; 43:141.];
 2001~2003年において1878例の IPD症例があり、
 うち1558例 (83%)はワクチンの適応基準を少なくとも一つは満たしていたが、
 590例 (38%)のみしかワクチンを接種していなかった
 →現行のワクチン推奨基準を守る事で、21%は予防できたと計算
  さらに多くを予防するための新たな基準は以下
 * 50歳まで年齢基準を下げると、5~7%低下
 * 喫煙者を基準に含むと、1.5~2.5%低下
 * 既喫煙者を含むと、0.4~0.7%低下
 * 黒人を含むと、1.0~1.4%低下
 * 喘息を含むと、0.3~0.4%低下

・再接種について
 ○必要な人
  65歳以上で、5年前(その時は65歳以下)に一度接種を受けている人
  免疫不全者(上記)
   [JAMA 2001; 285:1729.,
    MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2003; 52:965. ]
 ○不要な人
  65歳以下
  *健常者の場合、前回接種から5年以上経ったからというだけでの再接種は不要


ワクチン投与の実際
・肺炎球菌ワクチンは0.5 mL筋肉注射⇔皮下注射は局所副反応が強いのでダメ
・インフルエンザワクチンなどと同時に投与して良いが、場所は分ける
  [Arch Intern Med 1996; 156:205.]
・2~3週間以内に、ワクチンの血清型に対する特異抗体が2倍以上になれば成功といえる(実際には調べたりしないが・・・)
・抗体の血清濃度が肺炎球菌感染の頻度と相関するかは分かっていない
・健常成人では、抗体上昇は5年間は持続する→10年という人も
   [Am J Med Sci 1987; 293:279.]
 ⇔9年以上たっても予防効果が落ちないという報告あり
   [JAMA 1993; 270:1826.]

・再接種後の効果や副作用のデータが不十分なため、免疫正常であればルーチンの再接種は必要ない(The Advisory Committee on Immunization Practicesの勧告)
・アラスカ原住民における検討では、複数回接種の副作用は特に無い
  [Clin Infect Dis 2005; 40:1730.]

・1回だけの再接種が勧められている場合;
 65歳以上の成人で、5年以上前に接種しており、その時65歳未満だった場合
 免疫不全の患者で、5年以上前に1度接種している人
  [MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2003; 52:965. ]

副反応
・PPV23接種者の1/3で軽度の局所反応が生じる
 →疼痛、紅斑、腫脹 
  たいてい48時間以内に消失する
    [Cochrane Database Syst Rev 2008; :CD000422.]

・中等度(発熱、筋肉痛)~高度(硬結)の副反応は稀
・PCV7も同様
・5年以上経った後のPPV23再接種では、副作用のリスクは増加しない
・アラスカでの検討[Clin Infect Dis 2005; 40:1730.]
 3回以上接種した人の副作用発現率は1/179 (0.6%)、
 1~2回接種の人の副作用発現率4/81 (2.8%)

・他のワクチンとの同時接種は安全でかつ効果的
  [Arch Intern Med 1996; 156:205.]




以上、長々としたノートでした。
[PR]

本日Abstractのみ流し読みしたので

Accuracy of clinical definitions of ventilator-associated pneumonia: Comparison with autopsy findings
Journal of Critical Care, 07/31/09

Methods
・48時間以上人工換気を必要とし、その後死亡したICU患者の剖検所見の検討
・ventilator-associated pneumonia(VAP)の3つの臨床診断基準の精度について検証
 1.loose definition:
   胸部レントゲンで異常陰影があり、
   「白血球増多」「発熱」「膿性の気道分泌物」のうち2つを満たすもの
 2.rigorous(厳格な) definition:
   胸部レントゲンで浸潤影があり、
   「白血球増多」「発熱」「膿性の気道分泌物」の全てを満たすもの
 3.「clinical pulmonary infection score(CPIS)」による基準
   CPIS>6点のもの

 *clinical pulmonary infection score(CPIS)とは
  Puginら(Am Rev Respir Dis 1991;143:1121-1129.)が提唱したVAP診断基準。
  体温、白血球数、気道分泌物の量と外観、酸素化(PaO2/FiO2)、胸部レントゲン所見、
  気道吸引物の培養結果、をパラメーターとしたスコアリングによる診断法。
  CPIS >6は、感度96%・特異度100%と報告。

 → 剖検の病理所見をスタンダードとし、診断法1・2・3の感度・特異度・尤度比について検討

Results
・253例中142例(56%)が、病理所見で肺炎と診断
・VAPの臨床診断基準について
 1(ゆるい基準)を満たしたのが163例 (64%) …感度64.8%、特異度36%
 2(厳格な基準)を満たしたのが32例 (13%)…感度91%、特異度15.5%
 3(CPIS>6)を満たしたのが109例 (43%)…感度45.8%、特異度60.4%

 (2の結果の感度と特異度が逆じゃないかと思うのですが・・・原文のまま記載しました)

*培養結果を臨床基準に付加すると、少しだけ感度低下・特異度上昇した。

Conclusions
・剖検結果をスタンダードとすると、これら3つのVAPの臨床診断基準の精度はあまりよろしくない



やはりVAPの診断は難しいものですね・・・
ICUで撮影条件の悪いレントゲン写真に異常が出るまで待たなければならないものか・・・
[PR]

保育園で風邪が流行⇒娘が風邪⇒妻が風邪
⇒最後に自分が風邪+急性副鼻腔炎発症で頭痛が・・・

我慢して新しい論文を書き始めていたら、
1ヶ月前に投稿していた論文のreviseが来て作業が止まり・・・

・・・と、ブログを更新しなかった言い訳をしました。
更新していないのにチェックしてくださった方々、申し訳ありません。


さて、高炭酸ガス血症がSIRS・MOFに対して防御的に働くという話が以前からありましたが、実用されているのを私は聞いた事がありません。
今回の論文は、動物実験でその効果を確認しています。
本文はまだ全部読んでいませんが、abstractから。

Hypercapnic acidosis attenuates shock and lung injury in early and prolonged systemic sepsis
Critical Care Medicine: Volume 37 - Issue 8 - pp 2412-2420

Background
・急性呼吸性アシドーシスは、非敗血症/初期肺炎による急性肺障害を抑えるが、呼吸性アシドーシスが長引くと肺障害をより悪化させてしまう。
・呼吸性アシドーシスが、敗血症に伴う肺障害時にもそのような働きをするかは分かっていない。

Objective
・吸気ガスにCO2を加えて急性呼吸性アシドーシスを起こすことにより、重症敗血症による肺障害・全身臓器障害を抑えることが出来るか? 
 *敗血症はラットの盲腸の結紮/穿刺で人為的に引き起こした

Design
・Prospective randomized animal study.

Setting
・University research laboratory.

Subjects
・Adult male Sprague-Dawley rats.

Interventions
①early systemic sepsis series
・ラット達は麻酔され気管切開された後に、無作為にnormocapnia群 (Fico2 = 0.00, n = 12) と hypercapnic acidosis群 (Fico2 = 0.05, n = 12)に分類された
・その後、ラットの盲腸の結紮・穿刺により敗血症を引き起こされ、3時間人工換気された

②prolonged systemic sepsis series
・ラット達は麻酔され、盲腸を結紮・穿刺された後、無作為に以下の環境に分けて住まされた;(A) environmental normocapnia (Fico2 = 0.00, n = 20)、(B) hypercapnia (Fico2 = 0.08, n = 20)
・96時間後ラット達は再び麻酔され、肺障害・循環不全について評価された

Results
①early systemic sepsis
・hypercapnic acidosis群は、normocapnia群と比較し、
  低血圧の発生・重症化に対し防御的に働いた
  乳酸の貯留を抑えた
  中心静脈の酸素化ヘモグロビンを減少させた
  気管支肺胞洗浄液中の好中球数を減少させた
  肺のwet/dry weight ratiosを低下させた

②prolonged systemic sepsis
・hypercapnic acidosis群は
  肺障害の病理学的スコアが低かった
  少なくとも、高炭酸ガス血症が敗血症に伴う肺障害を悪化させた証拠はなかった

・Hypercapnic acidosisは、早期もしくは遷延性の敗血症において、肺/全身の細菌の増加をもたらさなかった

Conclusion
・Hypercapnic acidosisは敗血症に伴う臓器障害に対して防御的に働く可能性あり



以前、この雑誌(Critical Care Medicine)に他科の先生が投稿するのを少しだけお手伝いさせて頂きました。自分もいつか、です。



ところで、我らがビリー隊長が心斎橋にスタジオを開設した模様。
是非行ってみたいですが、サインをもらうだけで十分です。
風邪による体調不良のため、3週間ほどブートキャンプをリタイヤしていましたが、
そろそろ復帰せねば。
[PR]

やっと来ました。この論文。

Early Use of Polymyxin B Hemoperfusion in Abdominal Septic Shock
   JAMA. 2009;301(23):2445-2452

イタリアでの多施設RCT。
腹部重症感染症のため手術をした患者が対象。
術後早期のPolymyxin B Hemoperfusionの有効性を見たもの。

最も気になる28日後の死亡率は、
 polymyxin B group:32% (11/34 patients)
 conventional therapy group:53% (16/30 patients)
  ⇒ unadjusted hazard ratio [HR], 0.43; 95%CI, 0.20-0.94
    adjusted HR, 0.36; 95%CI, 0.16-0.80




敗血症性ショックに対して、
ショックから離脱困難なケースにこの治療を行った事が数回あり、
いずれのケースでも回路を回し始めたらすぐに劇的に血圧が上がって行きました。
「スゴイ!!」
と思ったものです。
もともとの疾患の重症度が高いためその後の救命率が高かったとは言えませんが、
この治療法に可能性を感じていました。

その後色々な感染症の専門家の先生方が、
この治療法をやたらと強く否定されるようになりました。
「否定の根拠は、肯定する根拠がないから」
と言うような話が多く、自分の実感と乖離があって、
「?」となっていました。


今回の報告が、イタリアからと言うのが少し気にはなりますが・・・
[PR]

久しぶりに、以前のスタイルで。


成人の肺炎予防に、肺炎球菌ワクチンは本当に効果があるのか?
これまで多くの患者さんに接種を勧めて来ましたが、
本当に予防できているのかどうか、ほぼ実感がありませんでした。
ワクチンというものは元々そういうものかもしれませんが・・・

カナダからのメタアナリシス。
なかなか残念な結果です。

Efficacy of pneumococcal vaccination in adults: a meta-analysis
CMAJ 2009;180(1):48-58

c0177128_1793676.jpg


c0177128_1716559.jpg

ワクチンによる肺炎予防のエビデンスは乏しい(double-blind trialsのみで検討);
 ・presumptive pneumonia:RR 1.20, 95%CI 0.75-1.92
 ・all-cause pneumonia:1.19, 95%CI 0.95-1.49
 ・all-cause mortality:0.99, 95%CI 0.84-1.17

高齢者・もしくは慢性疾患を持つ成人に対する効果も乏しい
 ・presumptive pneumococcal pneumonia:RR 1.04, 95%CI 0.78-1.38
 ・all-cause pneumonia:RR 0.89, 95%CI 0.69-1.14
 ・all-cause mortality:RR 1.00, 95%CI 0.87-1.14
c0177128_17111131.jpg



今回の検討の対象となったtrialで用いられたワクチンの大半は12価以上で、
23価もかなり多く含まれているのですが、この結果でした。
質が高いとされる、double-blind trialほど結果が良くないのは分かりますが、
ここまでくると少し考え直さなければならないと思います。

トライアルごとに結果のばらつきが激しく、selection biasが大きいのでしょうか?
重症化しやすい血清型とワクチンが合っていないのでは?

一医師ではワクチンの効果は実感しにくいので、なかなか困ります。
また、自信を持って勧めることが難しくなった気がします。



-徒然-

先日ブログに書いた肘内障疑いの2歳の少年が、
その後の経過を教えにお母さんと一緒に来てくれました。
整復の次の日には、全く問題なく動くようになっていたそうで、
本人は元気そのもの。

「あ~良かった」と思って少年に笑顔で近寄った所・・・

「あの時と同じ先生や~!!びぇ~~~!!!」

と言って泣き出してしまいました。

とほほ・・・
[PR]

水曜日に東京出張した際に、「Pneumocystis pneumonia」の講演を拝聴する機会がありました。
非常に臨床的であり、とても勉強になりました。(視点が臨床にある方は好きです)

2004年のNEJMの総説は診断と治療しか読んでなかったので、病態の部分を読んでみました。



MEDICAL PROGRESS:Pneumocystis Pneumonia
NEJM 2004;350(24):2487-2498

Pneumocystis感染に対する宿主の反応
・Pneumocystis感染の除去のためには炎症反応が必要だが、過剰反応は肺障害につながる
・重症PCPでは好中球による肺の炎症が主体であり、DAD→呼吸不全→死亡となる
 ⇒この重症度に影響するのは炎症の強さであって、菌量ではないことが分かっている

・好中球減少患者もPCPになるが、免疫抑制患者のほうが感染のリスクが高いことが分かっている
 ⇒感染自体には、リンパ球数が問題?


Lymphocyte Responses to Pneumocystis
・Pneumocystisに対する免疫反応;以下の複合反応
 CD4+ T lymphocytes
 alveolar macrophages
 neutrophils
 soluble mediators

・特に、CD4+ T cellsの活動性が重要
 動物・人の検討で分かっている・・・感染のリスクはCD4+ T cell < 200/mm3で増加

・CD4+ cellsの働き;memory cells
 炎症反応の指揮者;免疫細胞(単球、マクロファージ)の集積・活性化を行う

・severe combined immunodeficiency (SCID)のマウス(機能するT・B lymphocytesがない)
 ⇒pneumocystis infectionが3週齢までに生じる
  きちんと機能するマクロファージと好中球が存在するにも関わらず、感染症は進行性に悪化する
  ⇔CD4+ spleen cellを用いると免疫システムが再構成され、感染症が改善する

・CD4+ cellsを中心としたpneumocystisに対する防御システムは最近分かってきたばかり
 Macrophageが産生するtumor necrosis factor α (TNF-α)とinterleukin-1は、
 pneumocystis infectionに対する肺での反応に重要な因子と考えられている
 ←CD4+ cellsが調節する
 
・CD4+ cellsはpneumocystis抗原に反応して増殖し、cytokine mediators(lymphotactin、interferon gamma)を分泌
 ⇒Lymphotactin;chemokine
    chemoattractant(化学遊走物質)…多くのリンパ球の集積を引き起こす
   Interferon gamma;
    macrophageのTNF-α、superoxides、reactive nitrogen species産生を強く促す
     →Aerosolized interferon gammaは、Pneumocystisに感染したのラットの重症度を、
       CD4+ cellの数の関わらず改善する

・T lymphocytesはpneumocystisの除去に重要だが、反応が強いと肺障害も強くなってしまう
 ⇒SCIDマウスのpneumocystis感染において、酸素化と肺機能はかなり最後まで保たれる
   →機能的なT lymphocytesが少ないため
 ⇔intact spleen cellsを用いて免疫システムを再構築した場合、T-cellによる強い免疫反応が
   惹起され、ガス交換が悪化する

 ⇒肺の高度の炎症がなければ、pneumocystisの肺機能への直接的な影響はほとんどない
   =弱毒菌である

 ⇒人でも同じ;骨髄移植患者では、pneumocystis pneumoniaと呼吸障害は骨髄機能の
          回復とともに生じる

・Pneumocystis pneumoniaでは、CD8+ T lymphocytesの肺への著明な集積も引き起こす


Pneumocystisに対するマクロファージの働き
・肺胞マクロファージは、肺に進入した最近を貪食する中心的な細胞
 上皮被覆液にopsoninsがない場合、pneumocystisの貪食はmacrophage mannose receptors(マクロファージのsurface mannoproteinと、Pneumocystisのglycoprotein Aとの間で反応するpattern-recognition molecules)により行われる
 →マクロファージが貪食
 →phagolysosomesに組み込まれ、破壊される

・マクロファージの機能が低下した動物モデルでは、pneumocystis infectionの改善が障害されることが証明されている

・AIDSや悪性疾患ではマクロファージの機能が低下
 →pneumocystisの除去能が低下する

・マクロファージはpneumocystisの貪食後、様々な種類のproinflammatory cytokines、chemokines、eicosanoid metabolitesを産生している
 →これらのmediatorsはpneumocystisの除去を行うが、肺の障害も引き起こす


Cytokine and Chemokine Networks
・TNF-α
 PCPで重要な役割をもつ
 PCPの動物モデルの実験では、抗TNF-α抗体の投与によりpneumocystisの除去が遅れる
 TNF-αは好中球、リンパ球、単球の集積を惹起する
  →これらの細胞の集積は微生物の除去に必要だが、oxidants・cationic proteins・
    proteasesなどの放出により肺も障害する

 TNF-αはその他のcytokinesやchemokinesの産生も亢進させる;
   interleukin-8、interferon gamma
   →PCPにおいて炎症細胞の集積・活性化を起こす

 Pneumocystisの細胞壁はbeta-glucansを豊富に含み、肺胞マクロファージによる
 TNF-αの産生はPCPのbeta-glucan成分により惹起されると報告されている
  →マクロファージはglucansの受容体をいくつか持つ;
     CD11b/CD18 integrin (CR3), dectin-1, toll-like receptor 2 
  →PCPによるマクロファージの活性化は、微生物のglucan構成成分であるvitronectinや
    fibronectinなどの宿主の蛋白により増強される

・cysteine-X amino acid-cysteine chemokines(interleukin-8, macrophage-inflammatory protein 2, interferon-inducible protein)は好中球の化学遊走物質であり、PCPにおいて重要な役割を持つ
 Interleukin-8;肺への好中球浸潤とガス交換障害に関連する
            BAL液中のinterleukin-8値は予後予測に有用との報告あり
 
 分離されたPneumocystis beta-glucanは、肺胞マクロファージと肺胞上皮細胞を刺激し、
 macrophage inflammatory protein 2を産生させる
 →好中球が肺に集積し、reactive oxidant species, proteases, cationic proteinsを産生し、
  肺が障害を受ける


Alveolar Epithelial Cells and Proteins
・PneumocystisのTrophic formsはI型肺胞上皮に着する
 →この接着は宿主のfibronectinやvitronectinなどの淡白による
  Pneumocystisと肺胞上皮に存在するintegrin receptorsとの接着を補助する

・Pneumocystisが感染したI型肺胞上皮細胞は、空胞化が見られる
 →培養した肺組織での実験では、Pneumocystisが感染しただけでは、増殖・修復能は
   低下するものの、破壊性変化は生じない
 →やはり、Pneumocystisの付着が重症肺炎の原因ではなく、炎症反応が問題である

・電子顕微鏡による検討の結果、Pneumocystisは淡白が豊富な肺胞被覆液中に存在し、その液中にはfibronectin, vitronectin, surfactant proteins A・Dが豊富に存在する
 ⇔surfactant protein Bは肺炎の場合減少している 
 →surfactant protein Aとsurfactant protein Dは、PCPのglycoprotein A components
   と相互作用をする
 →Surfactant protein AはPneumocystisと肺胞マクロファージの関係を調節する働きがある.
   Surfactant protein DはPneumocystisの集積を調節する
   ;集積したPneumocystisはマクロファージに貪食されにくい

・肺のsurfactant phospholipids、はPCPの際には低下する
 →これはPCPによる直接的な影響ではなく、炎症の結果と考えられる




PCP⇔Ⅰ型肺胞上皮の接着、肺胞マクロファージ、CD4+ Tcell、これらから出る炎症性サイトカインがPCPの炎症反応の本態の様。

PCPは弱毒菌であり、過剰反応が問題、という点では、マイコプラズマに少し似ている気がします。

不思議な感染症です。
[PR]