Good+DPB

本日貴重な症例に出会いました。
☆以下の症例は現実に少し基づいたフィクションです。実在の人物のものではありません☆
CT撮影依頼: 60歳女性。胸腺腫術後フォロー。最近湿性の咳が強い。
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                        *画像はイメージです。
これは・・・びまん性の気管支壁肥厚・気管支拡張・樹枝状陰影・小葉中心性粒状影に浸潤影。
びまん性汎細気管支炎(DPB)にそっくり。
過去の画像を見直してみると・・・2年前のCTでは肺実質には特に陰影なし。
4年前に胸腺摘出術を施行しているのか。MGがあるとのこと・・・ふむふむ・・・
(病歴を見ていると)・・・おや、低ガンマグロブリン血症が!!
いわゆるGood症候群か~。免疫低下で気道感染はあってもよいけど、果たしてこんな風になるもんか?理論的にはあってもよいが、珍しいだろうなぁと思って調べてみたら、やっぱり珍しかった!!

“Good症候群”
【定義】
・1954年にGoodが、紡錘細胞型胸腺腫(現在のtype A)に
 低γグロブリン血症を合併した成人例を報告
 ⇒ 胸腺腫+低γグロブリン血症=Good症候群

【機序】
・不明
・B/T細胞系両方の異常が生じている⇒液性・細胞性免疫のいずれも低下
・胸腺腫に合併する理由の仮説
 ①胸腺腫による低γグロブリン血症の誘導
 ②低γグロブリン血症からのfeedback mechanismによる
   hyperplastic thymic change
 ③何らかの原因による両疾患の発症
 →全く不明・・・
・その他の自己免疫疾患の合併が多い
 重症筋無力症
 皮膚筋炎
 Sweet症候群
 糖尿病
 赤芽球癆
 汎血球減少
 特発性骨髄線維症
 血小板減少性紫斑病
 顆粒球減少症
 悪性貧血
 *B細胞↓なのに、自己抗体が増加しているという不思議な現象が!!

【疫学】
・欧米:胸腺腫の3-6%
・日本:胸腺腫の0.2-0.3%
・男女差なし
・発症時期(自覚症状出現時期):平均56歳(29-75歳)
 *診断の契機:胸腺腫が先…約35%
           低γグロブリン血症に伴う感染症状が先…約45%

【症状】
○感染症がほとんど
・上気道・下気道感染症が最多…H. influenzaeが最多で、その他にPCPなど。
・腸管感染症:Giardia, nontypical Salmonella, C.jejuni, CMVなど
・菌血症:Candidaなど
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 *日胸 2007;66:105.より。CVIDではあまり見られない、日和見感染症を併発するのが特徴

【診断】
・胸腺腫:type Aが多く、予後は良好
・γグロブリン↓
・B cell↓
・ツ反陰性
・DLST低下
・CD4↓/CD8↑

【治療】
・胸腺摘出にもステロイドにも反応しない
・免疫グロブリン投与(IVがよい)
・予後悪い

“DPB”
長くなってきたので、DPBの詳細は省略させてもらいます。
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  *日胸 2007;66:130より。呼吸細気管支領域の過剰反応性が重要!!
     (珪肺でも同じことが言われているらしい)

Good症候群とDPBの合併の報告は、わが国で3例ほどあるとのこと。正確には、「Good症候群+DPB様病変」か。(日胸疾会誌 1982;20:803, 1996;34:829, 日呼吸会誌 2003;41:421)
「呼吸細気管支領域の過剰反応性の素因+Good症候群による易感染性」と言う病態と推測されます。家族歴や、副鼻腔炎の有無を聞きたいところでした。
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