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【JW】胸水pH/glucose測定に影響する因子

あまり気にせず測定していました・・・
目のつけどころ次第で、こういう研究も一流雑誌に載るんですね。
見習わねば。

Clinically Important Factors Influencing the Diagnostic Measurement of Pleural Fluid pH and Glucose
Am J Respir Crit Care Med 2008;178:483–490 (オックスフォード、英国)

Background
・胸水貯留患者において、正確な胸水のpHとglucoseの測定は診断と治療に重要である。
・しかし、標準的な測定方法は決まっていない。

Prupose
・胸水のpHとglucose測定に影響する、一般臨床上の因子を検討する。

Materials and Methods
・92の滲出性胸水(穿刺で採取)を、市販の血ガスシリンジへ。
 ⇒血ガス分析器で測定。
・影響する因子
 ①シリンジ内残存air:1.0ml
 ②シリンジ内残存lidocaine:0.2ml, 0.4ml, 1.0ml
 ③シリンジ内残存heparin:~0.4ml
 ④測定の遅れ(24 h):1h, 4h, 24h

Results
・pH
①残存air:上昇 
 平均で0.08±0.07の上昇(mean±SD、95%CI,0.06~0.09; P<0.001)
②残存リドカイン:低下
 0.2 ml残存で、平均で-0.15±0.09の低下(95%CI, -0.13~-0.18; P<0.001)
③残存ヘパリン:低下
 平均で-0.02±0.05の低下(95%CI, -0.01~-0.04; P=0.027)
④室温放置時間:
 1時間では不変
 4時間後上昇(0.03±0.07; 95%CI, 0.01~0.04; P=0.003)
 24時間後さらに上昇(0.05±0.12; 95%CI, 0.03~0.08; P<0.001)
・glucose
 残存air、lidocaine (0.4 mlまで)、24-hour analysis delayの影響は少ない
【JW】胸水pH/glucose測定に影響する因子_c0177128_2244662.jpg
          *クリックで拡大。病態によって分けてみても、そんなに差はない様子。
Conclusion
・胸水pHは、採取から測定までの因子により影響される。
 ⇒残存air、lidocaine、分析の遅れの影響が大きい
・glucoseはこれらの因子の影響は少ない
・きちんとProtocolを決めないといけない。

びっくりするほど大きな変化ではありません・・・24時間どころか、4時間放置ってことも通常ないと思いますし。最も影響が大きいのは残存リドカインですが、リドカインがシリンジに残るような採取法もしていませんでしたし・・・
この内容でブルージャーナルいける!というのが一番インパクトがありました。
by tobbyK | 2008-10-19 22:52 | 検査