肺の結節影 3

今回は肺結節影の「境界」と「辺縁」についての総論を。

以前、「この結節影の辺縁は明瞭です」と言って上司に渋い顔をされた事を思い出します。

- 「境界」と「辺縁」の定義 -
「境界」:病巣と正常肺の間にくっきりと線引き出来るかどうか
     明瞭/不明瞭に分ける。(もちろん一部は明瞭で一部は不明瞭なこともある)
 ・多いもの…結核腫、肺内リンパ節、肺癌、過誤腫
          >>>リンパ腫、肉腫、硬化性血管腫、気管支閉鎖症、アミロイドーシス・・・
 ・悪性の21%(転移、カルチノイド、小細胞癌、低悪性度の肺癌など)が境界明瞭・辺縁整
                     [Radiology 1986;160:319-327]

「辺縁」:病変の辺縁部の形状
     整(なめらかな円形)、直線状(多角形)、分葉状、棘状など。
 ・辺縁が直線状・多角形の結節・・・炎症、肺梗塞などを考える
  *細長い結節→良性の可能性が高い。[AJR 2003;180:955-964]
             ただし、ブラ壁に出来る肺癌には注意。
 ・分葉状(lobulation:結節内部での成長の異なりによる)・・・原発性・転移性腫瘍を。
  *hamartomasやgranulomasでも約半数に認められるので注意。
                          [Radiology 1991;179:469-476]
  *分葉状結節+feeding vessel→AVM

- 過去の検討 -
〇Siegelmanらの検討 [Radiology 160:301-312, 1986]
・辺縁の性状を以下のように分類
 type 1.sharp and smooth(整) → 悪性 21%
 type 2.moderately smooth(分葉状) → 悪性 42%
 type 3.some irregular undulations or slightly spiculation 
                     (2と4の間くらい) → 悪性 88%
 type 4.grossly irregular with spiculations(不整・棘状) → 悪性 92%

〇Zirewichらの検討 [Radiology 179:469-460, 1991]
・悪性結節85、良性結節11の比較
 有意差があった所見は、coarse spiculationとlobulationであった。
 肺癌の場合 → coarse spiculation 87.8%、lobulation 93.9% で認められた

境界・辺縁のみでは良悪の鑑別に大きく役立つことはない。
  その他の所見も加えて考える。

次回以降は、その他の性状も加えた具体的な鑑別診断を。
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