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術前後の肺機能とCT

久しぶりの更新です。

最近はやるべき事・考えるべき事が色々あり、帰宅するとバタンキューの生活です。
本日はわりとゆっくり過ごせておりますので、更新しました。

目に付いた論文。CTを使用した術後肺機能の検討について。

Computed tomography-defined functional lung volume after segmentectomy versus lobectomy
 Eur J Cardiothorac Surg 2010;37:1433-1437.
 山口大学より

Objective
・肺の区域切除は肺葉切除と比較し切除範囲が少ないが、臨床的にどのくらい利益があるのか分かっていない。機能の観点からそれを明らかにする。

Methods
・過去5年間でstage1の肺癌のために区域切除を施行された40例と、肺葉切除を施行された患者で、条件をmatchさせた40例を比較。
・比較する点…切除される方の肺の術前の機能的容積(切除予定部分と残存部分各々)、対側肺の機能的容積を、術前と手術6ヵ月後にCTで計測。
・CTでの計測法…肺の機能的容積の定義は、CTで正常肺野濃度(–600 to –910 Hounsfield units (HUs))を呈する部分とした。
・さらに、stage1の肺癌のため肺切除を施行された他の42例の患者において、CTでの機能的肺容積と呼吸機能の関連を検討した。

Results
・機能的肺容積の切除量;
 区域切除では11.6% ⇔ 肺葉切除では24.5% (P < 0.001)

・術前後での機能的肺容積の喪失率
 区域切除では8.3% ⇔ 肺葉切除では9.2% ⇒ 有意差なし(P = 0.7)
 ⇒残存肺の容積がいずれの場合も増加したため

・術後の機能的肺容積の増加と呼吸機能の改善は相関していた (R = 0.6, P < 0.001)

Conclusion
・区域切除は切除容積は少ないものの、肺葉切除と比較して術後の機能的肺容積が有意に増加するものではなかった。
・肺葉切除の場合、術後に残存肺がより拡張するためと考えられる。


ほぼ同じような研究をしようと以前から企画していたのですが、、
外科医から「う~ん」と何回か言われてストップしていました。
やっぱりやってみようと思います。



- 徒然 - 

埼玉県の食の名物はひそかに「ウナギ」らしく、
あの石川遼選手の出身地ちかくの有名なウナギ屋さんに
少し前に行ってみました。
ウナギの刺身(!)・・・フォアグラのウナギ巻(!!)・・・白焼、そして蒲焼・・・
この先半年間はウナギはいらない、と思っています。
脂が強烈でした。

ところで、この春から勤務している病院には呼吸器外科が無いので、
週に半日だけ近くの病院の外科にOpe見学に行っています。
胸郭や肺を生で見たり外科医とディスカッションするのは本当に勉強になります。
by tobbyK | 2010-06-06 15:59 | 肺機能