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【JW】COPとKL-6と再発と


特発性器質化肺炎(COP)の画像所見については、以前から少し疑問をもっていました。

教科書には、「COPの陰影では、volume lossを伴わないことが多い」とよく書いてあります。
しかし、実際には陰影の辺縁が凹状になっていたり、陰影内部の気管支が拡張しているように見える気がしていたからです。

その後、Radiology 2004; 232:757–761を読み、線維化を示すような所見も少しはある事を学んだのですが、これが臨床上どういう意義があるのかイマイチ分からないなぁと思っていました。
【JW】COPとKL-6と再発と_c0177128_17412077.jpg



今日たまたま、そのポイントについての日本からの論文を見つけました。素晴らしいです。


Comparison of pulmonary CT findings and serum KL-6 levels in patients with cryptogenic organizing pneumonia
British Journal of Radiology (2009) 82, 212-218 (大分大学)

Purpose
・cryptogenic organizing pneumonia (COP)患者のretrospectiveな検討
・high-resolution CT 所見とKL-6の値について検討する

Materials and Methods
・37例のCOP患者を対象
 KL-6正常範囲・・・20例
 KL-6高値・・・17例

Results
・CT所見
 KL-6正常群:consolidation 17例、ground-glass opacity 11例、
          Traction bronchiectasis 1例、architectural distortion 3例

 KL-6高値群:consolidation 13例、ground-glass opacity 13例、
          Traction bronchiectasis 7例、architectural distortion 13例

・経過:初期にステロイド投与を行われた患者はKL-6正常群16例、KL-6高値群16例
 ●1年間以内の再発率・・・KL-6正常群 2例(12.5%)、KL-6高値群 6例(37.5%)
                 統計学的有意差なし(p=0.103)

Conclusion
・traction bronchiectasisとarchitectural distortionがCOP患者のCTで認められた場合、serum KL-6が高値である可能性が高く、治療後の再発率と関連している可能性がある。



今後そのような目で見てみたいと思います。

直感的には分かりやすいのですが、「何故か?」については、臨床・病理・はては遺伝子解析などの詳細な検討が必要かもしれないと思いました。