CT halo sign
本日は、以前ある大学でやっていた企画からの小ネタを。
The CT Halo Sign
Radiology 2004; 230:109–110
*有名な、“Sign in Imaging”のコーナーから
定義:「肺の結節・腫瘤を取り囲むようにすりガラス陰影が存在」
すりガラス陰影(GGA)は、周囲の出血を示唆することが多い
(Radiology 1994; 190:513–515)
解説
【アスペルギルス症】
・Kuhlmanらがinvasive aspergillosisの症例でよく見られると報告したのが最初
(Radiology 1985;157:611–614)
・重症の好中球減少症では、血管侵襲性の真菌感染症(ほとんどアスペルギルス)を強く疑わせるものである。真菌の血管侵襲により小~中血管の塞栓が生じ、虚血性壊死を引き起こす
(Cancer 1978; 41:2028–2039.)
・病理では、真ん中のconsolidationは梗塞巣であり、“halo”は肺胞出血を示す
(Radiology 1998; 208:777–782)
・免疫抑制状態の人ではやっぱりアスペルギローシスが多いので、血清学的検査が陽性になる前でも抗真菌薬の投与を開始するに値するサインである (Chest 1987; 92:95–99.)
⇒CT診断の方が血清抗原診断よりも早く感度が高いという報告がちゃんとある
(Haematologica 2000; 85:745–752.)
*侵襲性アスペルギルス症は免疫抑制状態では死亡率が50~90%
(Rev Infect Dis 1990; 12:1147–1201)
・このサインはアスペルギルス症では病初期に多く、時間とともに消失する
(J Clin Oncol 2001;19:253–259)
→25人の侵襲性アスペルギルス症のCTの検討・・・day0:96%→day14:19%
・air-crescent signは侵襲性アスペルギルス症によく認められるサインだが、
好中球減少から回復すると出やすい所見である
*アスペルギルス以外の真菌も血管侵襲性を示すことがある
Mukor (J Comput Assist Tomogr 1995;19:733–738)
Candida
Coccidiomycosis (Radiology 1994;190:513–515)
【その他】
①腫瘍
・血管新生の強い腫瘍・・・angiosarcoma、choriocarcinoma、osteosarcoma
(Intern Med 1996;35:653–656, Am J Roentgenol 1994;162:468.)
・Kaposi sarcoma (Radiology 1994; 190:513–515)
・腫瘍のTBTB後
・肺胞上皮癌・・・22例のBACのCTの検討で、2例にhalo signが認められた
(J Comput Assist Tomogr 1998;22:215–219)
・腺癌の転移・・・肺外の腺癌の転移65例で、2例にhalo signあり
(J Comput Assist Tomogr 1996;20:300–304)
②Wegener granulomatosis (Radiology 1994; 190:513–515)、
③好酸球性肺炎、器質化肺炎 (J Thorac Imaging 1999; 14:109–113)
④結核・・・GGOは肉芽 (J Comput Assist Tomogr 1992; 16: 827–828)
⑤MAC (High resolution CT of the lung. Lippincott W&W, 2001; 259–353.)
⑥Coxiella burnetti(Q熱です) (Radiology 2000; 215:880–883.)
⑦CMV、HSV (Radiology 1994; 190:513–515)
⑧Myxovirus(インフルエンザ) (J Thorac Imaging 1999; 14:109–113.)
⑨移植後の肺リンパ増殖性疾患 (Radiology 1995; 197:53–58)
他には、サルコイドーシスでも認められたという報告があった気がします。
鑑別疾患は多いですが、病歴・身体所見とあわせれば、かなり絞れると思います。