結核の画像 その④ その他の所見と活動性評価
Tuberculous pleuritis
・結核病巣は付近の胸膜を侵すことがあり、胸膜のさまざまな程度の反応が見られる
Imらの報告:fibrocaseous TBに伴ってよく見られる肺尖部の胸膜肥厚をHRCTで検討
⇒肺尖部の胸膜肥厚は、胸膜外の脂肪を多く含む事が判った
肺が線維化し、縮んだスペースを補うために脂肪が引っ張られるものと考えられている
[Radiology 1991;178:727]
・胸水貯留
肺に活動性病変がなくても認められることがよくある
⇒胸膜の生検でしか診断がつかない場合がある
・CTは指摘に有用 [Acta Radiol 1996;37:482]
まれに細胞成分が多い胸膜反応が生じた場合、胸膜の不整な肥厚が出現し、転移や中皮腫と間違えられることがある
・限局化し、tuberculous empyemaを生じる事もある
壁側胸膜を破り、皮下膿瘍を形成する事もある(empyema necessitanceと呼ばれる)
気管支と瘻孔を作る事もある⇒chronic bronchopleural fistulaとなり、難治性となる
肥厚・被包化した胸膜内に水成分があれば、活動性の結核菌の存在が疑われる
・結核性胸膜炎の治療反応性はさまざま
綺麗に治癒する事も多い
scarを残す事も多く、特に肋骨横隔膜角の癒着を残す事が多い
石灰化・線維化のため、肺の拘束性障害をきたす事もある
結核に伴う喀血
・結核の活動性を示唆する症状
・合併症の出現を示唆する症状でもある:mycetoma、気管支拡張症、肺癌など
・病態
拡張した気管支周囲に気管支動脈が増生
mycotic aneurysm="Rasmussen aneurysm”
・治療・・・手術、気管支動脈塞栓術
Pulmonary collapse therapyの影響
・抗結核薬登場以前の治療法
胸郭形成術:肋骨を数本切除し、胸壁をcollapseさせることによって肺を圧排・虚脱させる
胸腔内に様々なものを入れる方法:paraffin, mineral oil, Lucite balls
人工気胸:常に胸膜肥厚を伴う
[Radiology 1997;204:875, Radiology 1996;200:691,
AJR 1980;135:605, Radiology 1994;193:396]
画像評価
1.Xp
・TBの発見・経過観察に重要な役割を持つ検査
・1回の検査で活動性を判断するのは危険
⇒石灰化や線維化主体の病巣でも、その中に活動性病変がまぎれていることがあるため
長期経過で落ち着いているように見える結核病巣は、内部にviable organismsを含んでおり、あるシチュエーションで再ブレークの可能性がある
[Br J Radiol 1988;61:573]
・活動性を示唆する所見
粟粒影
空洞影
2. CT
*Xp所見が結核に典型的であり、喀痰から菌が検出されている場合、CTの役割は少ない
結核の小児40例の検討で、20%がCTでしか病巣を捉えられなかった
⇒小葉中心性の粒状影が多かった [AJR 1997;168:1005]
・空洞:活動性を示唆する所見
糖尿病や免疫不全患者で多く見られる
空洞内壁は整・不整いずれもあり
内部の液体貯留は少ない [Radiology 1993;186:653]
特に活動性が高いと考えられる所見
⇒ 病巣の境界が不明瞭
周囲に小葉中心性のsatellite "rosettes"を認める
結核の初期のCTの検討:最初のCTで、58%に空洞が認められた⇔Xpでは22%のみ
画像で、空洞影+胸水⇒結核性胸膜炎の可能性が高い
・浸潤影
Xpで見つけられないものを指摘できるのが、CTの利点
・リンパ節腫脹
Xpで見つけられないものをCTで指摘できる
活動性がある場合、典型的には中心部がlow densityで辺縁が造影される
[AJR 1997;169:649, AJR 1998;170:715]
・結節影・粒状影
Xpで見つけられないものを指摘できるのが、CTの利点
miliary TB⇒CTのほうが感度が高い
・石灰化
後期に見られる所見
小さいものはCTが有効
・喀血:以下の所見を見るのにはCTのほうが良い
fungus ball [Radiology 1987;165:123]
気管支拡張
気管支結石 [Clin Imaging 1989;13:36]
Rasmussen aneurysm
・その他、検討にCTが有用な合併症
膿胸 [Semin Respir Infect 1999;14:82]
胸壁への進展(empyema necessitans)
bronhopleural fistula
気胸
fibrosing mediastinitis [J Thorac Imaging 2001;16:191]
気管支結核・・・狭窄・閉塞・瘻孔 [Br J Radiol 2001;74:1056]
心膜炎
esophago-mediastinal fistulas・・・リンパ節の食道への浸潤により生じる
[RadioGraphics 2001;21:839, JCAT 1990;14:89]
骨病変・・・Pott's disease, osteitis of ribs
既存のsilicosis
合併するlung cancer など
【画像による活動性の予測のまとめ】
Indicates or suggests activity
Pulmonary parenchyma
・Centrilobular or branching structure
・"Tree-in-bud" appearance
・Macronodule
・Ground-glass opacity
・Consolidation
・Cavitation
・Interlobular septal thickening
・Miliary nodules
・Pleural/pericardial effusions
・Pleural thickening
Hilar and mediastinal lymph nodes
・Central low attenuation
・Peripheral rim enhancement
・Calcification (20%)
Trachea and bronchi
・Irregular narrowing
・Wall thickening with contrast enhancement
・Obstruction with peripheral peribronchial cuffing
Intermediate/inactive
Pulmonary parenchyma
・Calcification
・Bronchiectasis
・Bronchovascular distortion
・Pleural thickening or retraction
・Fibrosis
・Cavitation
Hilar and mediastinal lymph nodes
・Homogeneous density
・Calcification (80%)
Trachea and bronchi
・Generally smooth narrowing
・Minimal or no wall thickening
・Obstruction without peripheral peribronchial cuffing
ざっとまとめました。本シリーズは、ひとまずこれで終了。
画像は添付しませんでしたので、参考文献もしくは教科書を参照ください。